第23話 隼人と大悟②
「Troopsのライブあるからさ、啓斗くんとライブ来てよ。これ、バックステージパス」
「毎回毎回タダで見せてもらうの悪いよ、お金なら出すよ?」
「慈善事業とかじゃなくて、俺は純粋にベースを弾いてる俺を見てほしいんだよ。それに幼馴染からお金は取れないよ。中高の友達なら容赦なしに取るけど」
「そ、そっか。じゃあありがたく貰うね。上がってく?」
「これからライブのリハーサルなんだ。」
「あ、だからベース背負ってるんだ。」
「そうそう。じゃあね。」
そう言って大悟はリハーサルのために旅立っていった。Troopsの曲あんまり知らないんだよな。そう思って啓斗からCDを借りることにした。
「啓斗ー、入るぞー。」
「あ、お兄ちゃん」
「TroopsのCD貸してくれない?」
「え!とうとうお兄ちゃんもTroopsハマったの!しょうがないなー、貸してあげるよ!」
イラッとしたがそこはなんとか我慢してCDを借りる。
「1stのTroopsもいいんだけど、お兄ちゃん初心者だからベストを2枚貸すね。」
「ありがとう。助かるよ。」
「どういたしまして。Troopsにハマってね!」
さて、借りてみたはいいが、どうすればいいだろう。パソコンの使用方法ではなく。2枚のベスト盤のうち、片方は優しい曲で構成されている。そして、もう片方は激しい曲で構成されている。
「やっぱり激しい曲だよね」
「Hard Side」と書かれたディスクをパソコンに入れる。
カンカンカンカン!!!
「おわっ」
いきなり莉緒姉さんのシンバルから曲が始まり、パソコンの音を1番最大にしてたのを忘れていて、大音量で曲が始まり、仰け反った。
「びっくりした…」
音を小さくし、曲を聴く。「Grabity」というらしい。
数曲聴いている内に、何となく気分が乗ってきた。気づいたら2枚目にも手を出していた。
自分のパソコンに取り込み、啓斗の部屋に行く。啓斗の部屋を6回ノックしたが出なかったので、中に入ると啓斗は眠っていた。
「何だ寝てんのか。CDここに置くぞー」
CDを置き、何となく我が弟の寝顔を覗く。
「可愛い顔してるよなぁ。ひげの跡も毛穴も無い。小さい頃から可愛かったけど、今も可愛いな。」
「何?告白?」
「うわぁ!」
寝ていたと思っていた啓斗が起きていた。僕はびっくりして仰け反ったあと、尻もちを付く。
「起きてるんなら起きろよ!」
「お兄ちゃん来る気配したから寝たふりしてた」
「しなくていい!」
「CD終わったの?」
「終わったから返しにきたんだよ。」
「良かったでしょ。」
「気に入った曲は何曲かあったな。」
あ、そう言えばと大悟から貰ったバックステージパスを渡す。
「大悟がまた見に来てくれって。」
「ほんと!?やったー?今回のライブ、過去曲限定ライブだから行きたかったんだよね!チケット落ちちゃったし。ありがとう、お兄ちゃん!」
「いや、礼は大悟に言って。バックステージパスくれたの大悟だから。」
「分かった!」
ウキウキしながら啓斗がバックステージパスをスケジュール表に挟む。
「忘れるなよ」
「大丈夫大丈夫!」
7日後
Troopsのライブの日。僕は支度が終わったが、啓斗がまだ終わっていなかった。
「あれー!?お兄ちゃんバックステージパスどこだっけ!!」
「だから忘れんなって言っただろ…スケジュール帳かなんかに入れてなかったか?」
「スケジュール帳…あった!」
「良かったな」
「うん!お兄ちゃんありがとう!」
「おう、行くよ。」
啓斗がそわそわしていた。ライブは何度も見てるだろうに。
「なんでそわそわしてんの?」
「だってこんなにTroops見れること無いんだよ?しかも今日はツアーファイナル!東京ドームで見たのなんて、ちっちゃい頃のウルトラマンショー以来なんだよ!?」
「お、おう。熱量高いな…」
「お兄ちゃんはTroopsの事知らなすぎだよ!」
「あ、はい、すいません」
啓斗のTroops談義を聞いている内に、東京ドームの最寄駅に着いた。後楽園駅である。
「着いたー!何お兄ちゃんぐったりしてるの?」
「何でもないよ…」
東京ドームに着いた。バックステージパスを見せて関係者入り口に入っていく。
「お、大悟に啓斗!来てくれてありがとうなぁ!」
大悟は楽屋でベースを弾いていたが、僕と啓斗の姿を見つけてこちらに寄ってきた。
「ごめんね、邪魔しちゃって。」
「いいのいいの!親友とその弟が来たらベースなんてどうでもいいの!」
良くないと思うが…。
「あ、そうだ。せっかくだからリハーサル見てってよ!」
「ほんと!?」
「ほんとほんと。席まで案内するね。」
案内された席はステージに限りなく近かった。啓斗の顔が輝いていた。
「これってSS席じゃない!?」
「2人が来るからだよ。用意したんだ。」
「ありがとう!大悟兄ちゃん!」
その後、リハーサルを経て本番となった。辺りが暗くなる。
公演が始まる─




