第20話 隼人と仲間たち
卒業式が近づいてきた。大悟も卒業式が近いので、神戸に帰るらしい。ホテルに連泊するらしい。豪勢だ。
「もう隼人ともお別れかー。寂しいなー。」
「別にいつでも会えるじゃん。寂しい事じゃないよ。」
「まぁねぇ。」
「あ、拓郎が今日ご飯食べ行こうって」
「大悟は?」
「神戸だよ。」
「神戸かぁ。」
そんな事を言っている内に卒業式の練習の時間となった。卒業式の別れの歌はPierrotのラストレターだ。誰だ選曲したのと決定したの。別の別れの歌だろう。
僕はこの曲を知っていたので、歌唱指導を行うことになっている。
「叶うはずの無い2人の願いは」なんて浪人が決定した生徒に歌わせられない。
「先生、せめてクリア・スカイにしません?」
「もうラストレターで練習してるからだめ」
何とか卒業式の練習も終わり、下校の時間になった。
「理玖、帰ろ」
「お、うん帰る。」
「駅前で待ち合わせだって」
「了解」
駅前まではバスが出ているので、バスに乗る。理玖と他愛ない話をしていると、もう駅前である。
拓郎が待っていた。
「おー待ち合わせちょうどか。偉いな。」
「普通は間に合わせるもんだよ。」
「そうだな。今日はサイゼな気分なんだ。サイゼ行くぞ。」
「サイゼか、いいね。」
「バイト代まだ振り込まれないから助かるわ」
「なんのバイトやってるんだっけ?」
「スーパーだよ。発注したり売り場作ったり」
「すげぇな…」
「僕たちバイトしてないからね。」
「そうだな…流石だわ。」
理玖を褒め称えている内にサイゼに着いた…僕はミラノ風ドリアとジェラートを頼んだ。
「それにしても俺たちももう卒業か。早かったな。」
「本当に早かったねぇ。でもさ、小さい頃から今までこんなに長く一緒にいるなんて夢にも思わなかったよね」
「そうだね。大抵は小中学校卒業したらフェードアウトしちゃうからね。」
「仲間って大事だな。」
小学校時代の話で盛り上がっていると、スマホが震えた。大悟だ。
「大悟?どうしたの?」
「母さん達俺置いて観光行ったみたいでさ。暇なんだよー。」
「今理玖と拓郎と一緒にご飯食べてる。」
ちょっとごめん。と言って外に出る。
「じゃあちょっとの間話しようか。」
「理玖たちいいの?」
「あっちはあっちで盛り上がるでしょ。」
「ありがとう」
「僕も大悟に会えなくて寂しいし。」
「へー、嬉しいじゃん」
大悟と話し込んでいると、理玖と拓郎がやってきた。
「あ、ごめん。いくら払った?」
「600円でいいよ。」
「本当?ごめんね。はい、600円」
「はい、確かに」
「大悟と話す?」
「話す!」
テレビ通話にして、話し込んでいると、もう20:00を回っていた。
「そろそろ帰ろうか。」
「お、本当だ。早く帰ろうぜ。」
帰宅したのは21:00過ぎだった。母さんに軽く叱られたあと、今日の夕ごはんを食べる。
「そういえば啓斗が今ハマってるバンド?のメンバーさんとご飯行くらしいのよ。」
「ん?あぁTroopsの陽さんかな。そうなんだ。」
「来年高校生だけど、まだ中学生じゃない?ちょっと心配なのよね」
「陽さんなら大丈夫だと思うよ。」
「そう…」
「心配なら僕から啓斗に話するけど。」
「お願いできる?」
「分かった。」
夕食を食べお風呂に入り、啓斗の部屋のドアを叩く。3回叩いても返事が無かったので、中に入る。イヤホンで音楽を聴きながら課題をやっていた。
「まぁ、大丈夫か…」
部屋をそっと出る。
「母さん、大丈夫そうだよ。」
「そう?」
「心配なら、その人に一言伝えとくよ。」
「そう…お願い。」
兄とはなかなか大変である。




