第19話 隼人と猫
卒業式まであと少し。学校に行かない日も増えてきた。その日、僕はベッドの上に寝転んでいた。
「…暇だな。散歩でも行こうかな。」
財布を小さなポシェットに入れ、外に向かう。
「お、隼人どっか行くのか」
「たまには散歩でも行こうかなって」
「いい事だな。散歩は精神にもいいからな。気をつけて。」
「うん。行ってきます。」
啓斗はまだ学校に行っているらしい。とりあえず駅前まで歩いてみるか。
今日は風もなく暑すぎず寒すぎずちょうどいい気候だ。散歩にはちょうどいい。
「今日はwonderでも聞こうかな」
にゃー
「うん?」
にゃー
「猫の声?」
にゃあ
下の方から聞こえてきた。下を向くと段ボールの中に子猫が入っていた。こちらを見て鳴いている。
「お、捨て猫か?今時珍しいね。」
小さな体を撫でてあげると、ぺろぺろとこちらの手を舐めてきた。
「可愛いね、うち来る?」
にゃー
猫を抱いて家に帰る。父と母が驚いていた。
「どうしたんだ、それ?」
「猫。拾った。」
「飼うの?」
「だめかな?」
「まぁ、ペットは情緒の安定にいいって言うしな。幸い父さんも母さんも啓斗も猫好きだし、いいんじゃないか。」
「そうね。じゃあ早速動物病院連れてかなくちゃね。」
「駅前にちょっと大きめの動物病院あっただろ。ドライブと買い物がてら、車で行くか。」
「父さん、母さん、ありがとう。」
30分後、動物病院に着いた。すぐに診察室に呼ばれて検診が始まる。
「にゃー…」
「怖くないよー、大丈夫。」
撫でていると、ひょいっと取り上げられた。全身をくまなく診てもらい、ノミとマダニの駆除薬を飲まされて終わった。
「女の子ですね。一応去勢はしておいた方がいいと思います。それ以外は異常無しですね。」
「良かったなぁ、猫」
「にゃー」
「ありがとうございました。」
「また何かありましたらいつでも。」
併設のペット用品店で猫砂やらエサやらを購入し、帰宅する。啓斗がいた。
「遅かったね、どこ行ってたの」
「新しい家族だよ。」
カートから出すと、よたよたと歩き出し、啓斗の方へ向かった。
「わぁ…!猫だ!」
「女の子だそうだよ。」
「わー、名前付けていい?」
「いいよ」
「んー、じゃあしらたま!」
「しらたまか。可愛いね。」
「いいんじゃない?」
命名・しらたま。
新しい家族の誕生である。
\ピロン/
「隼人!筑波受かったよ!」




