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第18話 同級生が推しになりまして。⑧

会場が暗転する。どこか落ち着くのは何故だろう?

幕が開き、メンバーの姿が現れ、シンバルから曲が始まる。「うわっ」と仰け反ってしまった、音圧が強すぎる。

特に大悟のベース。最初の3曲は激しい曲ばかりだったがメロディアスな曲もやるし、有名な曲(僕も知らなかったが、啓斗に聞いたらCMでやっていた曲らしい。)もやった。


 ライブ後、楽しみに楽しみまくった啓斗とは逆に疲れてしまった。


「お兄ちゃん疲れすぎだよー。超楽しかった!」

「楽しかったなら良かったな…帰るぞ…」

「おーい、隼人に啓斗ー!打ち上げ行くぞ!」

「打ち上げ!?行く!」

「はぁ…分かったよ。行くよ。」


 大悟に連れられたのはメンバーの前だ。紹介したいとのことらしいが。


「こっちがヴォーカルとギターの陽」

「陽です。よろしく!」


 そう言って握手をする。ずいぶんと親交的だ。


「陽さんだぁ…!」

「お、俺の事知ってるの?」

「音源全部持ってます!大好きです!」

「ありがとう。色紙ある?…はい、良かったら」

「うわー!ありがとうございます!」


 啓斗にとってはいい経験になったな、と見ながら思う。


「で、ドラムの莉緒」

「莉緒です。よろしく。」

「あ、よろしく、お願いします。」

「皆さーんそろそろ片付けますので出てくださいー。」

「あ、はーい、行くよ隼人に啓斗。」


 そう言って僕の手を握る。やっぱりこの手が1番いい。


「じゃあソフトドリンクだけど、乾杯!」


 連れていかれたのは、世にも珍しいソフトドリンクしかない料理店だった。


「ってか莉緒さん女の子だったんですね…あんな音圧だから男の子だと思ってました…」

「良く言われるんだけどね、メタルバンドでも叩いてるから」

「へー…すごい…」

「莉緒姉はめっちゃいいドラムを叩くんだよ。作曲は僕と陽がやるんだけど、莉緒姉に楽譜渡すとめっちゃメタルな音になるんだよ。」

「そうなんだ…」


 食べて飲んで語って3時間。机の上の食べ物は綺麗に全員の胃の中に収まり、解散の時間が近づいてきた。


「そろそろお開きかな?啓斗くん眠そうだし。」

「そうだね、じゃあ。」


 解散となった。僕と大悟は同じ道、陽さんと莉緒さんは反対側の道ということで、連絡先を聞いてお別れとなった。


「今日は来てくれてありがとうな」

「いや、こちらこそ。貴重な経験が出来たよ。」


 啓斗は僕の背中ですやすやと眠っている。大悟が苦笑いしながら啓斗の頭を撫でた。


「啓斗にはいい経験になったと思う。」

「隼人には?」

「…いい経験になったよ。」

「なら良かった。」


 そう言って大悟が笑った。大悟の笑った顔がとても好きだ。


「啓斗くんがTroops聞いてるの知ってたからさ。せっかく目の前にいい経験が出来るチャンスがあるのにそれを掴めないのは嫌でしょ?だから今回誘ったんだよ。それに隼人に僕の勇士見て欲しかったしね。」

「大悟、今まで見た中で1番かっこよかったよ。」

「…ありがとう」


 目を見ながら言うと、大悟は照れたように笑う。


「着いたね。」

「そうだね、大悟、お疲れ様。」

「隼人もね。啓斗くんも。」

「ありがとう、じゃ、おやすみ」

「うん、おやすみ。」


 帰宅し、ベッドに啓斗を寝かしてお風呂に入る。今日の体験は自分にとって1番いい体験になった。大悟に感謝だ。


 薬を飲んでベッドに入る。いい夢が見られますように。

 

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