第15話 同級生が推しになりまして。⑤
家に帰ると、母さんが泣きながら抱きしめてくれた。
「そんなに辛いなら言ってくれれば良かったのに…!」
「ごめん…」
「生きてて良かった…」
「薬減らしたからだな。済まなかった。薬ちょっと増やそう。」
「父さん…いや、僕も朝の薬を飲み忘れたから。父さんと母さんのせいじゃないよ。」
「大悟くん、本当にありがとう。大悟くんいなかったら隼人とは二度と会えなかった。」
「いえいえ。ほんとに偶然でした。良かった。助けられて。」
「ありがとう…!」
父さんと母さんが泣いている姿に罪悪感を感じる。大悟は飄々としていた。
「父さん、母さん、ちょっと大悟の家行ってくるから。」
「うん、行ってらっしゃい。」
大悟宅
「散らかってるけど、ゆっくりしていってね。」
「あ、ありがとうございます。」
「いやぁ、6年間って長くて短かったね。」
「そうだね。寂しかったよ。」
大悟のお母さんが淹れてくれたお茶を飲みながら、6年間を回想していた。
「拓郎と旭も中学受験したらしいじゃん」
「うん、2人とも受かって拓郎はそのまま付属の大学に行くとか。」
「へー、そうなんだ、理玖は?」
「理玖とは中学と高校一緒だったんだけど、変わらないよ。」
僕が話す言葉を頬杖をつき、薄い笑顔を見せながら聞く大悟。変わらないなぁと思う。
「大悟は?」
「やっぱり友達関係を一から作るのは難しいね。」
そう言いながらため息をつく大悟。大悟も大悟なりに苦労したんだろう。お茶が美味しい。
「結局あんまり友達作らないまま帰ってきちゃった。やっぱり東京にいた方が良かったかなぁ。」
「でもスリーピースバンド組んでるじゃん。僕よりリア充だよ。」
「まぁそうなんだけどさ。やっぱり気を許した友達欲しいじゃん?」
「これから作ればいいんだよ。そうだ、荷解きある程度終わったら理玖たち集めてご飯でも行こうよ。」
「本当!?」
大悟の目が輝いた。相当来てるなこれ。僕が言えることじゃないが。
「多分拓郎とか理玖も喜ぶと思うよ。」
「嬉しい…」
「荷解き終わったら連絡してよ。日程調整するからさ」
「ありがとう!やっぱり隼人大好きだ!」
そう言って大悟が抱きついてきた。小さい頃と違って、薄くフレグランスの香りがする。落ち着く香りだ。
「じゃあそろそろ帰るね。」
「うん。じゃあね。」
「お邪魔しましたー」
「はーい。また来てね!」
スマホに目を落とすと、父からLINEが入っていた。
「大悟くんのところを出たら下の病院まで来るように。」
言われた通りに病院に着くと、父さんが診察室にいた。ノックをして中に入り、診察室に入る。
「ちょっと薬の調整をしようかと思ってね、前に飲んでた薬は前の量に戻して、気分安定薬を増やして…あ、今日採血するからね。」
「うん、ありがとう父さん、」
「こうなったのも父さんの責任だから。最後までちゃんと診るからな。」
処方せんを隣の薬局に持っていく。かかりつけの薬剤師さんがいるのだ。
「こんばんはー」
「あぁ、隼人くん。こんばんは。お父さんのところのお薬かな?」
「そうです、お願いします。」
大悟から連絡が入った。荷解きが終わったらしい。
そうか、じゃあ…と大悟をグループトークに招待した。
理玖「大悟!久しぶりじゃん!」
拓郎「久しぶり!元気にしてた?」
隼人「今日の夜空いてる?ご飯行かない?」
理玖「行く行く!」
拓郎「空いてるよ!」
大悟「お邪魔させていただきます(*´꒳`*)」
「母さーん、今日夜ご飯要らないから!大悟たちとご飯食べてくる!」
「はーい」
夜。最寄りの駅にはもう理玖と大悟がいた。
「早くない?2人とも。」
「そうでもないよ。ね?」
「そうだね。僕は5分前に着いたし。」
「後は拓郎だけだね。」
「お待たせ。大悟久々だな!」
「ご無沙汰してます。」
「よし、じゃあ行こうか。」




