第十九話-【第三幕:蒸気と怒火。オーバーヒートする職人魂と、甘い香りの鎮圧】(挿絵あり)
アーガスは死のような沈黙に陥った。
彼はあの鋼鉄の怪物の前で呆然と立ち尽くし、頭の中は真っ白になっていた。
彼の作品。
彼の手の中で詩のように描かれたあの精密機器。
彼のすべての心血と夢を背負った技術の結晶が、あろうことか、これほどまでに無骨で低効率、そして反吐が出るような機械のゴミに成り果ててしまったのだ。
沈黙は一分近く続き、空気中には蒸気機関の溜息のような音だけが響いていた。
そして、何かもっと深い場所にあるものが点火された。
彼の理性の炎――地球のエンジニアとしての冷静さと論理が、この瞬間、ドワーフの血脈にある感性豊かな職人の炎と共鳴したのだ。
二つの炎が合流し、天を衝くほどの怒りへと爆発した。
アーガスの体温が急激に上昇した。
汗が滝のように毛穴から噴き出し、肉眼で見えるほどの大量の熱気となって蒸発した。
彼の目は徐々に赤く染まっていった。
それは怒りの赤ではなく、血液が沸騰している赤だった。
赤色は目元から広がり、血管の筋に沿って顔全体、そして首、さらには全身へとゆっくりと拡散していった。
これはドワーフの狂戦士化の兆候であり、戦場において怪力を発揮し、苦痛を無視し、すべてを蹂躙する恐怖の状態だ。
彼の思考の中は怒りの咆哮で満たされ、地球の最も原始的な言語の羅列が脳内で炸裂した。
(ふざけるな! これは俺の作品じゃない! ゴミだ!)
(クソが! 無能な職人が高価な材料を積み上げただけの、意味のない、動く粗大ゴミだ!)
(バカか! 光闇回路の核心は手のひらサイズのレンズユニットにあるんだ、それをこんな愚かな外装で包みやがって!)
(エネルギー変換効率が5%未満だと!? 材料の浪費率が9割を超えてるじゃねえか!)
(こんな設計、見習いだってしねえぞ!)
(ふざけんな! クソ野郎!)
ドワーフの魂もまた怒鳴っていた。
冒涜だ! 工芸に対する冒涜だ! 美に対する冒涜だ! こんなものは作品と呼ぶに値しない! 呪われろ!
しかし、これらの言葉は一つも口に出されなかった。
彼の体は激しく震え、皮膚からは熱気が絶えず蒸発し、彼自身が今にも爆発しそうな活火山のようになっていた。
この決定的な瞬間、彼が完全に制御不能になる寸前に、リナが動いた。
彼女は予想していたのだ。
精巧な魔導具が彼女の袖口から滑り出た。
それは複雑なルーンが刻まれた青い水晶で、柔らかな光を放っていた。感情を緩和させるための高効率な魔導具であり、その価値は計り知れない。
彼女は迅速に魔導具を起動させると同時に、アーガスの背後から手を伸ばした。
温かく柔らかい手で、しかし抗いがたい強さで彼の口を塞いだのだ。
時間が止まったかのようだった。
魔導具の力が冷たい水のように炎に注がれ、アーガスの狂戦士化寸前の状態は強制的に抑制された。
彼の体温は下がり始め、瞳の赤みもゆっくりと引いていき、理性が再び主導権を握った。
一本の腕が彼の背後から胸を包み込み、彼を後ろへと引き寄せた。
感覚が再び鋭くなった時、彼は自分の鼻腔が雨上がりの庭園のような清々しい香りで満たされていることに気づいた。
それはリナ特有の、淡雅で魅力的な香水だった。
彼の背中は彼女の温かい体に密着している。
彼女の鼓動、呼吸、そして二つの柔らかな膨らみが、彼の若き肉体を刺激しているのを感じることができた。
彼は生まれて初めて、家族以外の女性とこれほど親密な身体的接触を持った。
嗅覚、触覚、聴覚、すべての感覚情報が潮のように押し寄せ、回復したばかりの彼の脳を再び混乱に陥れた。
「しっ……」
リナは彼の耳元で囁いた。
その声は絹のように滑らかだが、抗いがたい威厳に満ちていた。
「親愛なる友人さん、ここであまり多くのことを喋ってはいけないわよ」
ミリーは少し離れた所に立っていたが、彼女はこのドラマの唯一の完全な観客だった。
彼女はすべてを見ていた。
正常だったアーガスがいかにして衝撃の中で沈黙し、怒りの中でいかにして制御不能に陥り、いかにして理知的な少年から狂戦士に近い恐怖の存在へと変わり、そしていかにして、あの優雅に見える先輩によって神秘的な方法で制圧されたのかを。
彼女の顔には錯愕、恐怖、そして無力感が書き込まれていた。
彼女は、唯一の友人が正当な怒りを表明した結果、あの優雅なハーフエルフの少女によって魔法に近い手段で強制的に沈黙させられるのを見た。
さらに恐ろしいことに、彼女は、これらすべてがリナの計算の内であったことに気づいたのだ。
あの優雅な少女は、まるで最初から罠を仕掛けていた狩人のように、獲物が自ら飛び込んでくるのを待っていたのだ。
アーガスの最後の記憶は、リナの指が再び彼のこめかみをそっと撫でたことだった。
もう一つの魔導具が起動され、穏やかな催眠魔法が彼の意識をゆっくりと闇の中へと沈めていった。
そして、世界は静寂に帰した。




