第十八話-【第三幕:商会の名に懸けた『雇用』。それは彼を守るための黄金の盾】
リナは振り返り、表面上の冷静さを保とうと努めたが、その声には珍しく動揺が混じっていた。
「アーガス、分かってないわ。この技術の価値は、あなたの想像を遥かに超えているのよ……」
彼女は「知的財産権」や「独占価値」という概念を説明し、この発明がどれほど巨大な商業帝国を築き、どれほど多くの伝統産業を破壊できるかを語ろうとした。
彼女は熱弁を振るい、身振り手振りさえ交えて、この頑固なドワーフに、彼の手の中にあるのがどれほどの宝の山であるかを理解させようとした。
「そう言われれば言われるほど、俺は納得がいきません」
アーガスは首を振り、その若い顔には頑固さが溢れていた。
「もし本当にそんなに価値があるのなら、なおさら不当に利益を得るべきではない。俺は自分の両手、自分の汗で、その報酬にふさわしいことを証明しなければならない。そうでなければ、俺はただの詐欺師です」
あまりの落差に、リナは狂いそうになった。
彼女はこれまで数多くの強欲な商人を見てきたし、数多くの恐怖に怯える弱者を見てきた。
しかし、相手が与えすぎているという理由で契約を拒絶する人間など、一度も見たことがなかった。
最終的に、リナが再びこの契約の「妥当性」を強調した時、アーガスは誰もが予想だにしなかった行動に出た。
バァン!
彼は猛然と机を叩き、大きな音を立てた。
ティーカップがソーサーの上で震え、紅茶が少しこぼれた。ケーキスタンドのマカロンも一緒に跳ね上がった。
彼は立ち上がり、その深い瞳には純粋な、ドワーフ式の頑固さと義憤が燃えていた。
「駄目なものは駄目だ! 協力の基礎は公平性にある! これは協力じゃない、施しだ! 俺には必要ない!」
リナは完全に圧倒された。
彼女は一歩、ゆっくりと後ずさり、窓を背にした。
彼女はこれまで大小様々な会議に出席し、商場はもちろん、王侯貴族の間の権力闘争も経験してきたが、自分が構築した交渉の場で主導権を失ったのは、これが初めてだった。
彼女は怒りで頬を赤らめているこの少年を見つめ、心の中に名状しがたい複雑な感情が湧き上がるのを感じた。
彼女は当初、自分が操っているのは思い通りに動かせるチェスの駒だと思っていた。
しかし今、彼女はようやく気づいたのだ。
この無害そうに見える少年の体の中に流れる血脈が、彼女の計算には全くなかった特質を与えているのだということに。
公平性と正義に対する、偏執的なまでのこだわりを。
部屋は死のような静寂に包まれた。
リナの用意していたプランはすべて無効となった。
彼女は再び部屋の中を行ったり来たりし始めた。檻に入れられた優雅な雌獅子のように。
彼女は悟った。
「利益」や「共同経営」の論理では、この頑固な男の頭を縛ることはできない。
彼が拒絶できない、別の、「秩序」と「職責」に属する論理を持ち出さなければならないと。
突然、彼女は足を止めた。
彼女の放つオーラが瞬時に変わった。
気怠げな態度や面白がるような表情は消え失せ、代わりにヴァンデル商会の後継者としての、有無を言わさぬ威厳が立ち上った。
彼女は懐から、上質な魔獣の皮で作られ、角に秘銀の細工が施された名刺を取り出した。
二本の指で挟んで、アーガスの前へと差し出す。
名刺の中央には、魔法のインクで精巧な紋章が刻印されていた。
巨大な木の葉が、頑丈な馬車の車輪を優しく包み込んでいる。紋章は光を受けて微かな輝きを放っている。
それはアーガスがパラディアに到着したばかりの頃、あの実務的な商隊の馬車で見た、あの印だった。
「あ、これは……!」
アーガスはこの見覚えのある紋章を見た時、心の中にあったドワーフ式の怒りが少しずつ冷めていくのを感じた。
それは数ヶ月前、迷子の不安の中で灯台のように現れた、秩序ある友好的な商会の記憶だった。
「よろしいわ、アーガス・アイアンソーン氏」
彼女の声はもはや先輩としての優しさではなく、商会のリーダーとしての冷徹さと決断力を帯びていた。
「あなたが『協力』を受け入れないと言うのなら、別の方法に変えましょう」
「私は今、ヴァンデル商会の名において、あなたを正式に雇用します。我が商会直属の『特別招聘錬金術顧問』として。期間は……暫定二年間。あなたの職務は、この技術を完成させ、すべての成果を商会に独占的にライセンス供与すること」
「そしてあなたの報酬は、」彼女は言葉を切り、口角に勝利の弧を描いた。「あなたがこれから学院で過ごす……二年間すべての学費、食費、宿泊費、そして研究に必要なあらゆる経費よ。もしあなたのパフォーマンスが良ければ、この契約の延長も『検討』してあげるわ」
彼女は身を乗り出し、その青い瞳でアーガスの目を直視した。
声は柔らかいが、抗いがたい力がこもっていた。
「これは、公平で等価な『雇用契約』よ。あなたは自分の技術で私たちのために働き、私たちはあなたに相応の報酬を支払う。施しでもなければ恩恵でもない、ただの純粋な商業的交換だわ。……受け入れるかしら?」
アーガスは手にある名刺を見つめ、内心で激しい葛藤を始めた。
理性は、これが依然として自分に極めて有利な契約であることを告げていたが、今やそれは「施し」ではなく「仕事」として再パッケージ化されていた。
彼はあの商隊のメンバー一人一人が、自分のスキルをもってチーム全体に価値を提供していた光景を思い出した。
御者の運転技術、護衛の武勇、商人の交渉術……誰もが自分の価値を持ち、誰もが相応の対価を得ていた。
そう考えれば、自分の発明は確かに自分のスキルであり、ヴァンデル商会に提供できる価値なのだ。
そして学費や研究リソースは、自分が得るべき正当な報酬である。
……合理的だ!
これは施しではない。公平な交換だ。
「俺は……」彼は口を開いた。声にはまだ少しの迷いがあった。「一つ確認させてください。これは本当に等価な交換ですか? 俺が提供する技術は、本当にこれらの報酬に見合う価値がありますか?」
リナは彼の目にある、あの純粋で、どこか愛おしくさえある真剣さを見て、心の中に奇妙で優しい焦燥感が湧き上がるのを感じた。
彼女は心の中で思った。(お願いだから受け入れてよ!)
「アーガス」
彼女は優しく言った。声から商業的な冷たさが消え、代わりに何かより真摯なものが宿った。
「あなたの技術には、計り知れない価値があるわ。あなたはこのすべてに、いえ、それ以上のものに値するのよ」
「……分かりました、お受けします」
彼がその言葉を口にした瞬間、部屋の中の陽光がさらに温かさを増したかのように感じられた。
リナの顔には、あの無邪気で危険な笑みが再び浮かんだが、今度の笑みには、アーガスがこれまで見たことのない……優しさのようなものが混じっていた。
リナはようやく安堵のため息をついた。
(これで、将来もし誰かが彼に手を出そうとしても、ヴァンデル商会が彼の盾になれるわ。この愚かで真っ直ぐな……天才を守るためのね)
契約は彼らの手の中で柔らかな白い光を放ち、魔法の誓いが彼らの運命を固く結びつけた。
黄金の鳥籠の扉が――いや、彼を守る「盾」が、背後で音もなく閉ざされた。
しかし奇妙なことに、アーガスは束縛感を感じなかった。
それどころか、リナが大切そうにあの写真をしまう姿や、彼女の顔に浮かぶ守護者のような専心した表情を見た時、彼はかつてない安心感を覚えたのだ。
もしかしたら、この「少し変わった先輩」は、彼がこの世界で初めて信頼できる人物なのかもしれない。
窓の外では、秋の夕日が空を金紅色に染めていた。
新しい物語は、まだ始まったばかりだ。




