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第十八話-【第一幕:違禁品で呼び出し!? 歴代会長が見下ろす密室でのチェックメイト】(挿絵あり)

【第十八話:エリート令嬢の誤算――正直すぎる工匠エンジニアと「等価交換」の罠】

 翌日の午後。

 パラディア学院の石の回廊には、ブーツの底が石板を叩く冷たい音が響き渡っていた。


 生徒会の制服を着た一人の幹事がアーガスの寮の部屋の前に立ち、事務的な口調で運命の鼓動を鳴らした。


「アイアンソーン君。ヴァンデル先輩が、あなたのあの『違禁品の疑いがある物品』の事後処理について話があるそうです。至急、生徒会室へ出頭してください。その物品を持参して向かうように」


 違禁品。

 その三文字が、氷の錐のようにアーガスの胸に突き刺さった。


 彼の手は無意識に、心血を注いだあの作品が置かれていた作業机へと伸びた。

 だが、そこには今や空虚な木目と、乾いた感光薬の数滴の残渣が残っているだけだった。


(……終わった。違禁品エラー判定だ……!)


 生徒会ビルの三階。私用アーカイブ室。


 アーガスがその重厚なオーク材の扉を押し開けた時。

 目に飛び込んできたのは、学生の世界とは全く無縁の空間だった。


 巨大なフランス窓が秋の斜陽を金色の幾何学的な光のブロックへと切り刻み、ペルシャ絨毯が敷かれた床の上にぶちまけていた。


 壁には歴代生徒会長の伝統的な油彩肖像画が掲げられている。

 とうの昔に死に絶えた権力者たちが、絵具によって固定されたその眼差しで、審判者のように部屋の隅々を見下ろしていた。


 リナ・ヴァンデルは、部屋の中央にある主賓席に優雅に座っていた。


 彼女は生徒会の正装をまとっていた。

 深紺色のロングコートに白いシャツ、襟元には生徒会の銀の紋章が輝き、コートの縁には精巧な金糸の刺繍が施されている。


 服が彼女の身分を定義しているわけではない。

 彼女の気品そのものが、制服の意味を塗り替えているのだ。


 背後の窓から差し込む陽光が彼女に神聖な光輪を授け、彼女をただの学生ではなく、古の神話から俗世へと降り立った貴族のエルフのように見せていた。


「あら、アーガス」


 彼女は顔を上げ、無邪気でありながら危険な笑みを口元に浮かべた。


「この『少し変わった先輩』が、あなたを呼んじゃいけなかったかしら? 相応の報いを受ける覚悟は、できているわよね?」


 彼女は「報い」という言葉を特に強調した。

 その一音一音が、細い針のように空気を刺した。


 部屋にはほのかな紅茶の香りが満ちていた。


 テーブルの上には湯気を立てる二杯の紅茶が置かれ、青と白のコントラストが美しい磁器の縁には繊細な金線が施されている。

 セットの銀のスプーンが陽光を浴びてキラキラと輝いていた。


 ティーカップの横には三段式のケーキスタンドがあり、小ぶりなスコーンや色とりどりのマカロンが精巧に並べられていた。

 そして、それら美しい茶器の隣に、一枚の「ブツ」が静かに横たわっていた。


 あの、写真だ。


挿絵(By みてみん)


 アーガスの呼吸が瞬時に止まり、心拍音が耳元でドラムのように鳴り響いた。


 冷や汗が背筋を伝い、掌が湿り始める。

 彼は自分の瞳孔が無意識のうちに収縮するのを感じた。まるでその写真が、目を射るような強烈な光を放っているかのように。


「さて」


 リナは優雅に立ち上がり、その写真をアーガスの前へと押し出した。

 その語気には三分のからかいと、七分の商人としての鋭さが混じっていた。


「この『少し変わった先輩』が、史上最高に臭いドラゴンの糞を煮込んで、一体何を作ったのかじっくり拝見させてもらうわよ」


 アーガスの顔は瞬時に真っ赤になった。


「あれは……」


「見てごらんなさい」


 リナは彼の抗議を無視し、指先で写真の縁を軽く叩いた。


「壁にあるあんな古臭い肖像画より、ずっと面白いわ。あの絵師たちは後ろにあるあの肖像画を描くのに数ヶ月もかけたけれど、あなたは価値ある一塊の『ドラゴンの糞』を使って、一瞬でその神髄を完璧に再現してみせた」


「この一点だけで、王国中の貴婦人たちが、自分専用の『ドラゴンの糞』を手に入れるために狂喜乱舞するわよ」


 しかし、彼がまだ「ドラゴンの糞」という言葉に混乱している間に、リナは突然からかいを止めた。


 彼女の表情は瞬時に厳粛になり、眼差しはナイフの刃のように鋭くなった。


「まあいいわ、ドラゴンの糞じゃないことは分かってる」


 彼女は軽く笑って彼をなだめると、すぐに語気を変えた。

 そこには人を震え上がらせるほどの専門性が宿っていた。


「でも、あなたのその『薬液』がいくらで売れるかより、私が驚いているのは、あなたの技術そのものよ」


 彼女はあの黒い箱の前まで歩み寄ると、身を屈め、指先でレンズ水晶の縁をそっと撫でた。


 彼女の視線は虫眼鏡のように細かく、一つ一つのルーンの筆致、回路の向き、さらには水晶の表面にある微細な切削の痕跡までも、一つずつ丹念に見極めていった。


「この水晶一つをとっても、これほど狂気じみた設計は見たことがないわ。光と闇の魔法は本来反発するものなのに、あなたはその反発特性を利用して光束を収束させるなんて……」


 彼女の声には、畏敬に近い微かな震えが混じっていた。


「さらには機械的な方法で魔法陣を微調整し、物理的に可変な魔法陣を構築するなんて? こんな奇想天外な構造、熟練の職人ですら目を見張るわ。教科書通りのことしか知らない付与術の大家たちなら腰を抜かすでしょうね」


 彼女は振り返り、その青い瞳でアーガスを直視した。

 まるで彼の魂を見透かそうとするかのように。


「教えなさい、アーガス・アイアンソーン。あなたは一体どこでこんなことを学んだの?」


 その瞬間、アーガスはかつてない「理解された」快感に包まれた。


 ようやく、自分のあの他人が鼻で笑うような狂ったアイデアを理解できる人間が現れたのだ。

 彼は無意識のうちにリナを「同類」と見なし、久方ぶりの承認の中で警戒心が急速に崩壊していった。


 しかし彼が知る由もなかったのは、今この瞬間のリナが、心の底で激しい衝撃に耐えているということだった。

 彼女の表情は専門家としての好奇心を保っていたが、内面は巨大な嵐に襲われた海面のようだった。


 彼女はかつて一族の秘密の典籍の中で、似たような理論の記述を見たことがあった。

 それは古代エルフの禁忌の文献の最深部に深く埋められた、知識の断片だった。

 彼女は元々それが単なる伝説であり、古代の学者の狂想だと思っていた。しかし、今……。


 彼女は目の前の、一見無害そうな少年を見つめ、心の中に恐怖に近い畏敬の念を抱いた。


 この子は、一体どのような秘密を握っているというのか?

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