第十六-【第三幕:シャッターチャンス――「先輩、もしかして人間じゃないんですか?」】(挿絵あり)
「口で言うだけなら何とでもなるわ」
彼女はすべてのからかいを収め、指先で机の上の黒い記憶の鏡を軽く叩いた。
語気は平坦だったが、命令の響きを帯びていた。
「今、一度操作してみせて。私の、そうね、『写真』が一枚欲しいわ。永久に保存できるやつを」
アーガスは深呼吸をし、記憶の鏡を手に取り、各部品が正常かどうかチェックし始めた。
リナの圧迫感に満ちた視線の下で、彼は先端の銅のリングを回し、光学魔法陣の角度を微調整した。
歯車の微細なカチャカチャという音と共に、金属リングに刻まれたルーンが一つ一つ整列され、魔力回路がそれに伴い安定していく。
彼が作業モード(ワーキングステータス)に入ると、その雰囲気は一変した。
あのオドオドした少年は消え去り、代わりに集中して厳格な職人が現れた。
「窓辺に立ってください」
彼は顔も上げずに指示を出した。
自分が先輩に、しかも極めて危険な先輩に命令を下しているという自覚は全くなかった。
「いや、もう少し左。そう、そこです、光の具合が一番いい」
リナは最初呆気に取られ、眉を微かにひそめた。
つい先ほどまで戦々恐々としていたこの後輩が、まさか自分にこんな口調で話しかけるとは?
しかし、アーガスの全神経が集中した表情や、記憶の鏡の角度を調整する正確な動きを見た時、彼女は今の彼が完全に自分の専門領域に没頭していることに気づいた。
面白いわね。
彼女は心の中でそう思い、そして驚いたことに、素直に彼の指定した位置へと歩いて行った。
「顔を少し傾けて……そう、そんな感じです。手はもう少しリラックスして……」
アーガスは前世のカメラマンのように、絶えず調整を繰り返した。
窓の外の秋の光はすでに正午の強烈さを失い、柔らかな金色へと変わり、流れる琥珀のように部屋の中へと降り注いでいた。
リナはそこに立ち、横顔をその温かい光の中に浴びせていた。
アーガスは記憶の鏡のファインダー越しに彼女を見て、初めて真に気づいた。
彼をずっと震え上がらせていたこの「少し変わった先輩」が、こんなにも美しいということに。
光線が彼女の精巧な輪郭を描き出している。
高く通った鼻筋が優雅な影を落とし、ふっくらとした唇は淡いバラ色を帯びる。
海のように青いその瞳は夏の空全体を湛えた湖のようで、金色の光の中で細かな星の瞬きを放っていた。
彼女の肌は透き通るほどに白く、秋の光の愛撫を受けて真珠のような光沢を放っている。
それは意図的に作られた美しさではない。渾然一体となった高貴さだ。
言葉では言い表せないある種の空虚さと疎遠さを帯びていて、人に近づきたいと思わせる一方で、冒涜することを恐れさせるのだ。
アーガスが最後のパラメータを調整し、魔法陣を起動しようとしたまさにその時。
いたずらな秋風が窓の外から忍び込み、リナの額の金糸のような髪を数本なびかせた。
彼女は手を上げ、優雅で自然な動作で、その言うことを聞かない髪の毛をそっと耳の後ろへと払った。
まさに、その瞬間だった。
彼女のハーフエルフ特有の耳が、太陽の光の下で完璧に現れた。
人間よりも少し長く、先端は優美な弧を描き、輪郭は芸術品のように精巧だ。
薄い耳たぶは光を透かして半透明の質感を呈し、その下にある細かな血管の模様がかすかに見えた。
彼女のその絶世の容姿に、俗世のものとは思えない神秘性を一抹添えていた。
アーガスの心臓が一つ、鼓動を打つ(スキップ)した。
彼女の種族に気づいたからではなく、その画面の美しさに衝撃を受けたからだ。
秋の光、金髪、エルフの耳、そして彼女が無意識に見せた自然な姿。
すべての要素がこの瞬間に完璧に融合し、彼が永遠に忘れたくない一枚の画面を構成した。
彼の指はほとんど本能的に、起動ボタンを押していた。
記憶の鏡が柔らかい唸り声を上げ、魔法陣が銀白色の光を放ち、この瞬間を永遠に固定した。
撮影が完了した後、アーガスは記憶の鏡から、手動で薬板を引き出した。
粘り気のあるスライムの薬液が塗られた、白いフィルムのような薬板だ。
それを、まだ悪臭を放っているあの小鍋の中に慎重に浸した。
短く攪拌した後、錬金ばさみでそれを挟み上げ、傍らに用意しておいた黒い布の上に固定して乾かした。
「よし、あとはこれを冷暗所に置いておくだけです。絶対に光に当ててはいけません。大体一日後には……」
彼が技術的な詳細に集中して説明している時、先ほど一瞬目にしたあの画面が突然脳裏に浮かんだ。
あの精巧で、他とは違う耳……。
何かを理解したように、彼は思わず口走った。
純粋な好奇心に満ちているが、同時に極めて唐突な口調で尋ねた。
「……先輩、もしかして人間じゃないんですか?」
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【あとがき】
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