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第十五話- 【第一幕:棘のある小包。底辺に届けられた『職人の証』】

第十五話:あたしンち――遠き故郷からの「最高傑作(マスターピース)」

 午後の陽光は、希薄でありながらも温かかった。


 それは溶けた蜂蜜のように、高い窓の石枠をすり抜ける。

 伽藍堂の六人部屋の中に、沈黙する光の斑点となって凝縮していた。


 アーガスはうつむき、木炭のペン先を魔法の設計図(ブループリント)の上で滑らせる。

 羊皮紙に細かな注釈(コメント)を一行また一行と書き残していた。


 周囲は静かで、ペン先がざらついた紙面をこするサラサラという音がはっきりと聞こえるほどだった。


 空っぽの五つの鉄のベッドフレームは、まるで忘れ去られた五体の骸骨のようだ。

 彼と共にこの死の静寂の中で息を潜めていた。


 三回のノックの音が、鈍く、そして頑固に、停滞した空気を破った。


 彼が立ち上がるのを待たずして、ドアの蝶番が耐えきれないような呻き声を上げた。


 ドアが外から押し開けられる。

 寮長の事務的な影が、彼の身体よりも先に、まるで染みのように部屋の中へと投げ出された。


「アーガス・アイアンソーン」


 寮長の視線は鈍いスクレーパーのように、登録簿の縁に沿ってこすられた。

 吐き出された言葉にはいささかの温度もなかった。


「お前に小包だ」


 その言葉は、死んだ水に投げ込まれた小石のようだった。


 廊下の外で、元々聞こえていた細かな足音は瞬時に凍りつく。

 続いて、押し殺したような、覗き見するようなひそひそ話へと変わった。


 いくつかの頭が、ドア枠の端から覗き込んできた。


 寮長は意地悪な角度に顎を上げ、冷たい石ころのような言葉を吐き出した。


「ヴァンデル商会の特急便(エクスプレス)だ。おまけに通関手形まで付いているぞ」


 彼の視線は、いかなる家紋もないアーガスの胸元の粗末な布を舐めるように過ぎた。

 隠しきれない嘲笑の響きを帯びる。


「通常、このレベルの貨物が、平民の手に届けられることはないんだがな」


 アーガスは勢いよく立ち上がった。


 驚きと不安が入り交じった熱い流れが首筋に駆け上がる。

 彼は無意識に手で机の上の図面を押さえつけ、力のあまり指の関節が微かに白くなった。


 それに伴うのは喜びなどではない。

 脳内で激しく鳴り響く警報(アラート)だった。


 一人のアルバイト学生が、角を鉄で補強された小さな木箱を抱えて入ってきた。


 箱は大きくなかったが、鋼のタガが極めてきつく締められている。

 木の表面には長旅の土埃がまだ残っていた。


 その隅には、二つの焼印が並んで押されていた。

 一つはヴァンデル商会の蔦と車輪。

 もう一つは、アイアンソーン家の戦斧だった。


 寮長の視線は、その戦斧の焼印に二秒ほど留まり、口角に冷たい弧を描いた。


「家紋すらない小僧が、自分専用の職人印は持っているらしいな。これがどういうことか、きちんと説明(エクスプレイン)してもらった方がよさそうだな」


 廊下の外のひそひそ話がさらに大きくなった。


 アーガスは深呼吸をした。

 その空気は、鍛冶屋の焼き入れ桶からすくい上げたばかりのように冷たかった。


 彼は図面を押さえていた手を離し、受領簿と先のすり減った木炭のペンを受け取った。


 彼は自分の名前を書き込んだ。

 一筆一筆が、まるで鋼の針で蝋板に刻み込んでいるかのようだった。


 サインを終えると、彼は鉛封の貨物番号(トラッキングナンバー)を、一字一句違えずに備考欄(コメント・フィールド)へと書き写した。


 彼は顔を上げ、寮長の値踏みするような視線を真正面から受け止めた。

 いささかの波立ちもない平坦な声で言った。


「これは私の父の工房から送られてきたものです。まさか家族からの贈り物まで差し押さえられる必要があるのですか? もし差し押さえるというのなら、学院の規定(ルール)に合致した正式な文書を提示してください」


 寮長は彼のあまりにも静かな黒い瞳をじっと見つめ、数秒後、鼻から軽く冷笑を漏らした。

 彼は体を横に向け、道を空けた。


「三日以内に、物品の用途申告書(フォーム)を提出しろ」


 ドアが、再び閉められた。


 その鈍い「バタン」という音が、すべての覗き見と悪意を外へと遮断した。

 部屋は再び死の静寂を取り戻し、窓の外から、陽射しに炙られて力なく鳴く数匹の蝉の声だけが残った。


 アーガスは箱の前に歩み寄った。


 指の腹が冷たい鋼のタガに触れる。

 見慣れた、故郷の溶鉱炉から来る温もりが、掌を伝ってゆっくりと浸透してきた。


 彼はその温かい流れを胸の奥へと押し戻した。

 机の上を片付け、道具を並べる。


 まるで精密な外科手術(サージェリー)の準備をしているかのようだった。

--

【あとがき】


応援や★★★★★評価、ブックマークが、この物語の火力になります。

次の章も、全力で鍛えます。


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