第十二話-【第三幕:失敗録(ゴミ)の中の宝。スライム結石が導く「フィルム」の可能性】(挿絵あり)
まさにその時。
忘れ去られていた一つの語彙が、微かな稲妻のように彼の脳内の迷霧を切り裂いた。
フィルム(感光フィルム)だ!
思い出した!
デジタル時代が到来する前、世界を約一世紀にわたって支配していた、純粋な化学の奇跡!
それは、ある特殊な材料が光を浴びた際に生じる不可逆的な化学反応に依存し、立体世界の光と影を平面上に固定させる。
この原理には、複雑な回路も、精密な工業も必要ない。ただ、化学があればいいのだ!
カラーである必要はない。白黒で十分だ。
そして感光材料は……。
彼の視線は、図書館から書き写してきた金属精製の実験記録のノートの山へと勢いよく向けられた!
彼は覚えていた。
ある失敗事例の隅で、全く目立たない注釈を見たことを。
「……ある種のスライムの体内にある結石は、強い光にさらされると急速に黒く変色する……」
その実験自体は彼の研究とは無関係だったため、当時の彼はただ何気なく書き留めただけだった。
しかし今、隅に忘れ去られていたこの手掛かりが、突然、窮地を打開する鍵となったのだ!
彼はすぐに机の前に駆け寄り、両手でその分厚いノートの山をかき回した。
興奮で指先が微かに震えていた。
羊皮紙がパラパラと音を立て、彼の狂喜の伴奏をしているようだった。
見つけた(ヒットした)!
それからの数日間、アーガスは自分を完全に孤島へと変えた。
彼は寝食を忘れ、「感光材料」と「光魔法の原理」に関する見つけ出せるすべての断片的な手掛かりを、それらの古紙の山から一つ一つ選別し、整理し、帰納していった。
彼はジグソーパズルのように、異なる典籍の隅に散らばった、一見無関係に見える破片たちを、少しずつ完全なシステムへと繋ぎ合わせていった。
最終的に、彼のすべての心血が注ぎ込まれた一枚の図面がペンの下でゆっくりと形を成していった。
この工芸レベルが高くない時代でも辛うじて製作できるよう、極限まで簡略化された「魔法の写真機」の設計図だ。
しかし、新たな困難もそれに伴って現れた。
彼は「疑似魔法」を使い、実験室で一時的にそれらの部品や材料を創り出し、理論の実現可能性を検証することはできるかもしれない。
しかし彼が必要としているのは、「永久保存」が可能な、本物の完成品だ。
彼には、工房で丁寧に精製された高純度のスライム感光薬が必要だった。
さらには鉄木で作られた、絶対に光を通さない暗箱が必要だった。
最も重要なレンズとシャッターに関しては、彼はすでに魔法で代用する解決策を持っていた。
瞬時に開閉できる「光と闇のルーン配列」をシャッターの代わりにし、「焦点」の光魔法を刻み込める特殊な水晶をレンズの代わりにするのだ。
だがそれ以外のすべては、彼一人で完成させられるものではなかった。




