第十二話-【第二幕:絶望の底で廻る思考。異世界に「カメラ」を実装(ビルド)せよ】(挿絵あり)
自分がどうやって寮に戻ったのか、彼には分からなかった。
アーガスの意識が再び凝結した時、彼はあの冷たい鉄板の机の前に呆然と座っていた。
窓の外は、ちょうど良い陽光に包まれている。
華麗な制服を着た数人の貴族の新入生たちが、三々五々連れ立って、中央の中庭へと続く石畳の道を歩いていた。
彼らの顔に溢れる、青春に特有の屈託のない笑い声は、毒を塗った錐のように、彼の鼓膜を激しく抉った。
彼は無意識に立ち上がり、唯一の小窓の前に歩み寄ると、冷たいガラスに額をそっと押し当てた。
その寒さは皮膚を伝って浸透してきたが、彼の内心の冷たさには遠く及ばなかった。
窓の外の明るく笑い声に満ちた世界と、窓の内の影に覆われた孤独な姿。
薄いガラス一枚を隔てているだけなのに、まるで全く異なる二つの時空のようだった。
世界から完全に見捨てられたかのような孤独感が、刺すような寒波となって背筋を伝い、彼を凍りつかせる。
彼は無意識に、ミリーのことを思い出した。
この冷たい学院の中で、彼の「でたらめな言葉」を唯一理解できる、あの小柄な姿を。
だがその考えは一瞬浮かんだだけで、より深い絶望のもとに彼自身の手で打ち消された(キャンセルされた)。
(……ミリー? いや……無駄だ)
(彼女も俺と同じように、この知識の障壁の下に閉じ込められたもう一人の『囚人』に過ぎない。彼女は俺に先祖の手稿をくれることはできても、あの扉を開ける鍵をくれることはできない)
(俺たちの直面している困難は、とうに友人が支援できる範疇を超えているんだ)
この極限の孤独の中で、彼のエンジニアに属する、問題解決のヒューリスティクスが、自傷に近い姿勢で狂ったようにフル回転し始めた。
彼は椅子から立ち上がり、檻に閉じ込められた野獣のように、あの狭く空虚な六人部屋の中を行ったり来たりした。
窓の外から聞こえてくる貴族の新入生たちの屈託のない笑い声。
今やひときわ耳障りに聞こえ、まるで彼の無能さを嘲笑っているかのようだった。
彼は無意識に爪を冷たい鉄の机の縁に押し当て、力強く引っ掻いた。
微かで鋭い「キーッ」という音を立てた。それは彼の内心の、行き場のない焦燥感の伴奏のようだった。
彼には方法が必要だった。
限られた時間の中で、最大容量のデータ(資料)を「保存」できる方法が。
彼の二十一世紀に属する魂は、記憶のデータベースの中で、「情報記録」に関するあらゆる技術を狂ったように検索していた。
彼は急に立ち止まり、脳裏に最初の考えが閃いた。
活版印刷か?
彼はすぐに首を振った。
そのアイデアには精密な活字の金型と機械式プレス機の製造が必要だ。
その煩雑な工程を想像しただけで、無力感に襲われた。
ましてやこの世界は、合金の冶金でさえ手工業の作業場の段階に留まっているのだ。
彼は再び歩き出した。
次の考えは、以前なら簡単に手に入ったスマートフォンの撮影機能、すなわちデジタル撮影だ。
その考えは一瞬浮かんだだけで、苦笑と共に否定された。
その背後にある知識体系は、彼が今研究している魔法よりも数百倍も複雑だ。
回路、センサー、データストレージ……それは工業体系全体の産物であり、一人の人間が中世で再構築できるものではない。
彼は苛立たしげに、冷たい鉄のベッドフレームに拳を叩きつけた。
「ドン」という鈍い音が伽藍堂の部屋に響き渡った。
しかし指の関節から伝わる鈍い痛みは、逆に彼の思考をさらにクリアにさせた。
【あとがき】
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次の章も、最高の温度で仕上げます。




