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第10話-【第四幕:それは使い捨ての手品ではない。汎用基盤(プラットフォーム)だ】(挿絵あり)

 リナはこのすべてを静かに見つめていた。

 彼女の心にあるその衝撃は、とうに純粋な学術的好奇心を越え、未知の創造プロセスに対する純粋な畏敬の念へと昇華していた。


 まさにその時、練習室内のアーガスが、最後の準備を始めた。


 彼は、すでに様々な廃材や図面で山積みになった机の前に歩み寄る。

 小さな革袋の中から、親指ほどの大きさしかない四枚の薄い黒鉄のカードを取り出した。


 一枚一枚のカードには、秘銀ミスリルを用いて、それぞれ全く異なる基礎魔法陣が焼き付けられている。


 リナは、彼がそれら四枚のカードを扱う様子を見た。

 まるで精密な錬金装置にコアとなるルーンを埋め込むかのように、儀式的な荘厳さをもって。

 左手の「曙光」の手袋の、四本の指の関節にあるスロットに順番に挿入インストールしていく。


 カチャッ、カチャッ……。


 常人離れした正確さを持つ、四回の軽快な音が響く。


 リナは息を呑んだ。

 これは魔法の発動キャスティングではない。

 これは……間もなく実行される術式のシーケンスを構築しているのだ。


 準備は整った(スタンバイ)。


 アーガスは振り向き、五十尺先にある、とうに千瘡百孔になった黒曜石の的と向き合った。

 彼はゆっくりと、黒い革手袋をはめた左手を持ち上げた。


 次の瞬間。

 リナの海のように青い瞳が大きく見開かれ、これから自分の認識を覆すかもしれないいかなる細部をも見逃すまいと、呼吸すら無意識に止まった。


 先ほど製造されたばかりの完璧な金属の管は、伝統的な魔導具のように彼の腕と融合して腕当てに変わることも、流れる光となって指先に絡みつくこともなかった。


 それはアーガスの黒い手袋の手の甲から音もなく浮かび上がった。

 彼の腕と互いに接触しない極めて微妙な距離を保ちながら、空中に静かに浮遊していた。


 続いて、リナはさらに理解しがたい細部を目にした。


 その完璧な金属管の先端に、小さく、不釣り合いで、全く意味がないように見える突起物が一つ追加されていたのだ。

 この蛇足とも言える設計に彼女が困惑していると、アーガスはわずかに首を傾け、右目を閉じた。


 左目で、その奇妙な突起物を通して、遠くの的の中心と見えない直線を結んでいるようだった。


 そして、彼は魔力を注入した。


 華麗な魔法の光のエフェクトもなく、耳を劈くような元素の轟音もなかった。

 空気を切り裂く、鈍く重い「爆音エクスプロージョン」が一つ響いただけだった!


 最も基礎的な「石弾術」で凝縮された一つの石弾が、鈍い爆音と共に、灰色の稲妻のように瞬時に空気を引き裂いた!


 実体オブジェクトでありながら、放物線の軌道トラジェクトリを描かない。

 魔法の常識に完全に反する、ほぼ絶対的な直線の姿勢。

 肉眼では捉えられない残像を引きずりながら、五十メートル先の的の中心に正確に命中したのだ。


 パーン!


 清らかで甲高い音が響いた。


 五十尺先、堅い黒曜石の的の中心。

 そこには、硬貨大のきれいな円形の貫通穴が残された。


 アーガスはゆっくりと手を下ろした。

 空中に浮遊していたあの銃身バレルも、それに伴い光の粒となって空気中に消え去った。


 その完璧な成功によってアーガスの精神が緩み、二週間張り詰めていた神経がようやく解き放たれた瞬間。

 練習室のドアがそっと押し開かれた。


 清らかで、少し面白がるような拍手の音が響いた。

 リナが影の中からゆっくりと歩み出た。


「……面白いわね」


 彼女の口角には、面白がるような、悪戯っぽい笑みが浮かんでいた。


挿絵(By みてみん)


「つまり、あなたは丸二週間もここに閉じこもって、どんな新入生でも最も簡単な『石弾術』でできるような魔法を……わざわざ発明していたというわけ?」


 アーガスは声を聞いて勢いよく振り返った。

 顔に浮かんでいた疲労混じりの狂喜は、リナを見た瞬間に、誰かと分かち合いたいという純粋な興奮へと変わった。


 彼は彼女の言葉の裏にある意味を全く聞き取っていなかった。


「そうなんだ! 見たか?!」


 彼は遠くの的を指さし、興奮で少し声を震わせた。


「直線だ! 真っ直ぐ飛んだんだ! 俺はついに方向性の問題を克服デバッグしたんだ!」


 教師に宝物を見せるような、その無邪気な姿を見て、リナの顔の笑みはさらに深まった。


 アーガスは自らの成果を「証明」するために、興奮した様子で右手の指を使った。

 左手の「曙光」の手袋を素早く数回叩き、魔力カード(モジュール)を切り替えた。


 彼は再び手を上げた。


 今度、何もない空間から生成された銃身から噴き出したのは、石弾などではない。

 あろうことか、長さ十尺にも及ぶ、巨竜の息吹のような「火炎放射」だった!


 リナはその場に呆然と立ち尽くした。


 彼女の顔にあった、あの面白がるような余裕の笑みが、完全に凍りついた。


 彼女は「石弾」と「炎」を自在に切り替えられるその不可思議な鉄の管を見つめた。

 そして、興奮で赤く染まったアーガスの純粋な顔を見る。


 彼女の内心は、かつてない、衝撃と一抹の……畏敬が混ざり合った巨大な波に、完全に飲み込まれていた。


(……違う。私の勘違いだわ)


(彼が発明したのは『使い捨ての手品』じゃない……)


(彼が発明したのは、『機能』を自在に入れ替えられる……汎用基盤プラットフォーム!?)

【あとがき】


応援や★★★★★評価、ブックマークが、この物語の火力になります。

次の章も、全力で鍛えます。



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