表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/88

第十話-【第一幕:理論は完璧。だが『推進力』のバグが立ち塞がる】

第十章:銃身バレルの創造――異世界の常識を粉砕する工匠エンジニア

 図書館の三階。


 あの忘れ去られた隅で、アーガスとミリーは空中に静かに浮かぶ、透き通った「疑似水」を呆然と見つめていた。

 呼吸すら忘れていた。


 彼らは成功したのだ。


 歴史に見捨てられた設計図ブループリントと、異世界から来た論理ロジックを用いて。

 魔法文明全体を覆すに足る真理を、共同で証明したのだ。


 アーガスの内心は、創造者としての、かつてない狂喜に飲み込まれた。


 しかし、彼のエンジニアとしての魂は、感情の衝撃による短いフリーズを経験した後、すぐに冷たく、いささかの温度も持たない姿勢を取り戻した。

 そして、彼の最初の、唯一の目標コア・ターゲットに再び焦点を合わせた(フォーカスした)。


(……理論検証プルーフ・オブ・コンセプトはパスした。だが……これがゴール(エンドポイント)じゃない)


 彼の視線は再び冷たく鋭くなった。


(俺がこれを研究しているのは、手品をするためじゃない。『絶対安定アブソリュート・スタビリティ』を備えた、方向を与えることができる弾頭モジュールを創造するためだ!)


(……純粋なエネルギー体は、魔法陣から離れると俺の意志では制御できなくなる。だがもし、俺が放射リリースするのが『エネルギー』ではなく『実体オブジェクト』だとしたら?)


(『凝結金属』の技術を使って、何もない空間から微小で完璧な『弾丸』を創り出す)

(そして、最も基本的な『衝撃術』を使ってその後方で爆発させ、『火薬』の推進力スラストとする!)

(弾丸自体が物理法則に従う実体であれば、その弾道トラジェクトリは必然的に直線になる!)


 この完璧で隙のない思考アルゴリズムは、彼を興奮で身震いさせた。


 彼はすぐに身を翻し、ミリーを呆然とさせたまま、学院の個人練習室へと突進した。

 実験テストを、直ちに開始する。


 彼は習得したばかりの「疑似魔法」を用い、空白の鉄板を取り出した。

 疑似魔法金属の魔法陣を描き、その中心に鉄の分子配列を書き込む。


 「曙光」のスロットに挿入インストールする。


 彼は人差し指を伸ばした。

 指先の上に、微弱な魔力の光が灯る。


 それに伴い、空気中から、米粒大の、金属の光沢を放つ鉄の弾が凝縮して現れた。


 第一段階フェーズワン、成功だ。


 彼は慎重に、その鉄の弾を空中に浮かせた。

 そしてその真後ろで、最も基本的で教科書通りの「衝撃術」を発動させた。


 理論上、この衝撃波は銃身の中の火薬のように、この完璧な弾丸を真っ直ぐ前へと推進させるはずだ。


 しかし、次の瞬間。


 「推進力」となるはずのその魔力は、前への推進を生み出さなかった。

 あろうことか、あの哀れな鉄の弾の周囲で、無秩序で全く不規則な球状のエネルギーとなって轟然と爆発したのだ!


 鉄の弾はその混沌としたエネルギー流に乱暴に弾かれた。

 悪ガキに投げられた小石のように空中で回転し、無力に地面に落ちる。

 清らかで、嘲笑に満ちた「カラン」という音を立てた。


 アーガスはその場に立ち尽くした。


 彼は理解した。

 「弾丸」は創れても、爆発の推進力は四方へ拡散してしまうのだ。


 俺には「銃身バレル」が必要だ!


 銃身を解決デバッグしなければ、彼の最も核心的な欠陥バグは、依然として解決できない……。

 疑似魔法金属の成功は、この瞬間、全く役に立たない、哀れな奇跡へと変わってしまった。


(銃身、か……。一つの難題エラー解決フィックスすれば、また別の難題が生まれる)


(異世界に来てまで、俺はデバッグの運命から逃れられないのか?)


 神の領域を突破クラッキングしたとはいえ、凡人の枷までは外せていないのだ。


 彼は魔力が尽きて消散していく鉄の弾を失意の中で見つめ、黙って練習室を出た。

【あとがき】

応援や★★★★★評価、ブックマークが、この物語の火力になります。

次の章も、全力で鍛えます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ