第九話-【第四幕:異端同士の共鳴――魔法陣(サーキット)に描く「H2O」】(挿絵あり)
三日間連続で、アーガスはこの紙くずの山の中に自分を生き埋めにしていた。
彼は寝食を忘れ、数十年、数百年の間に記された「凝結金属」に関するすべての失敗した実験の記録を読み漁った。
一言半句違えずに自分のノートに書き写し、整理し、帰納していった。
彼は最も偏執的な暗号学者のように、破棄された文字化けのような廃棄電報の中から、たった一つの暗号化された原文を復元しようとしていた。
すべての実験記録は、共通の、解決不可能な難題を指し示していた。
それらの失敗した魔法陣の構造はどれも大同小異だった。
エネルギーを供給する外環、構造を安定させる中環、そして……最も中心にある、完全に空白の領域だ。
ほとんどすべての錬金術師が、当たり前のように思い込んでいた。
この空白の「基礎」に十分な魔力を注ぎ込めば、物質は自然に「凝結」して形を成すものだと。
そして、いくつかのさらに古く、より徹底的に失敗した実験日誌の隅で。
アーガスは実験者自身によって「無意味」と定義された、混沌とした落書きをいくつか発見した。
それらの落書きは、あの空白の「中央領域」の上に描かれており、絶望のあまり手当たり次第に試した痕跡のようだった。
アーガスはその落書きをじっと見つめ、首をひねった。
「……いや、これは落書きじゃない」
彼は呟いた。
「これらが現れるのには法則がある……だが……一体どういう意味なんだ?」
彼が物思いに沈んでいた時、おずおずとした声が背後から響いた。
「あの……アイアンソーン君?」
アーガスが振り返ると、ミリーがいた。
彼女は『万物の構成式』と名付けられたあの巨大な古代の手稿を抱え、少し不安そうに少し離れた所に立っていた。
「私……あなたがここ数日ずっとここにいるのを見て、」
彼女の声はとても小さかった。
「私の先祖の手稿の中に、たしか……物質の構成に関する推測があったはずなの……もしかしたら……あなたの役に立つかもしれないと思って」
彼女は机の前に歩み寄り、家族の歴史全体を背負ったその重い手稿を、慎重に、そして優しく広げた。
彼女があるページをめくると、そこには錬金術に関する記載は一切なかった。
あったのは、奇妙で、目がくらむような幾何学的な美しさに満ちた図の数々だけだった。
それは、現在の芸術のように蔓を主体とした魔法陣とは全く異なっていた。
それはミリーの先祖が、数千種類の鉱石の結晶体を観察した後、天才的な想像力を駆使して推論した図だ。
異なる魔法粒子が実際の物質を構成する際の、最も基礎的な、神託のような「結晶構造の推測図」だった。
蜂の巣のように完璧な六角形の構造。
ピラミッドのように安定した四面体の構造。
そして星辰のように煌びやかで複雑な十二面体の構造……。
アーガスがこの「神聖幾何学」の美しさに満ちた構造図と、自分が失敗した日誌から書き写した、いわゆる「混沌とした落書き」を並べて比較した時。
彼は瞬時に頓悟した。
彼は勢いよく立ち上がった!
その激しい動作で椅子が後ろに下がり、耳を劈くような音を立てた。
彼はその二枚の図を見て、目の中に狂喜と前人の愚かさに対する怒りが入り交じった、明るい光を爆発させた!
「これは錬金術じゃない……」
彼はエンジニアとしての、震えの混じった低い唸り声を上げた。
「これは分子構造だ! 魔法を使って、あの中央の空白の領域に、実際の物質の結晶構造図を『描く(レンダリングする)』んだ!」
この狂気じみた理論を検証するために、アーガスはすぐに木炭のペンを手に取った。
きれいな羊皮紙の上に、最もシンプルで、彼が最もよく知っている、別の世界からもたらされた構造、H2Oを描き出した。
ミリーは首を傾げ、困惑した表情を浮かべた。
その見慣れない記号は彼女にとって何の意味も持たず、彼女は「水素」や「酸素」などという名詞を聞いたこともなかった。
しかし彼女はアーガスの邪魔をすることなく、ただ静かに見つめていた。
まるで何か言葉にできない儀式を見届けているかのように。
彼は二つの水素粒子と一つの酸素粒子で構成された、あの象徴的なV字型の構造図を描き出した。
そして、その「設計図」を、空白の「凝結金属」法陣の中央にそっと置いた。
とうの昔に「粉塵」のように極限まで純粋に研磨された自身の魔力を注入する。
結果は、もたらされた。
法陣の中央に、金属は凝縮されなかった。
その代わり――何もない空間から、透き通った純粋な「疑似水」が一滴、凝結して現れたのだ。
静かに空中に浮かんでいる。
その一滴の水は、魔力が尽きると無害な霧となり、空気中へと消え去った。
アーガスは呆然とこの光景を見つめていた。
ミリーも両手で口をきつく覆い、その薄茶色の瞳には、奇跡を目の当たりにした信じられないという涙の光がいっぱいに溢れていた。
二人の視線が空中で音もなく交差した。
その瞬間、彼らは互いの瞳の中に全く同じものを見た。衝撃と狂喜が入り交じった涙の光を。
決して単独での勝利などではない。
彼とミリーが初めて協力し、共に生み出した成果なのだ。
「異端」の理論と「異端」の工芸が、数百年の時空を越え、この瞬間に達成した、最も壮麗な共鳴だった。
彼らは、共同で証明したのだ。
世界から見捨てられ、とうに死に絶えたと思われていた鉄屑の中に。
本当に、真理へと通じる光り輝く聖剣が隠されていたということを。
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【あとがき】
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