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第八話-【第一幕:歴史の重みと、「獅子」の致命的なバグ】

 幾重もの書棚を通り抜けてきた希薄な陽光。

 それがスポットライトのように、広げられた巨大な古代の手稿を優しく包み込んでいた。


 アーガスとミリー。

 共に主流の世界から「異端」と見なされている二人の孤独な者は、こうして無言のうちに最初の同盟を結んだ。

 忘れ去られた知識の墓場の、その最深部で。


 周囲の空気も、この無言の暗黙の了解によって、少しだけ暖かさを増したかのように感じられた。


 その静寂を破ったのは、少しぎこちない、若者特有の自己紹介だった。


「私……ミリーって言うの」


 少女の声は相変わらず小さかった。

 だが、その瞳にはかつてないほど明るい光が宿っていた。


「ミリー・アドラーよ」


「アーガス・アイアンソーン」


 アーガスも自分の名を名乗った。


 短い沈黙の後、アーガスは自分が最も好奇心を抱いている問いを口にした。

 その好奇心は、一つの「貴重な資産アセット」の管理方法に対する、エンジニアとしての純粋な困惑から来ていた。


「こんなに貴重な手稿が」


 彼の視線は、どれほどの歳月に浸食されたか分からないその典籍に落ちた。


「なぜここにあるんだ?」


 ミリーはそれを聞き、極めて複雑な表情を浮かべた。

 自嘲と辛さが混じり合い、それでいて一抹の感謝を帯びた奇妙な表情だった。


「……なぜなら、これはとうの昔に私たちのものじゃなくなっているから」


 彼女は小声で言った。


「厳密に言えば、これは今、学院の財産なの」


 彼女は手稿の表紙の裏を指さした。

 そこには、封蝋で押された目立たない学院の紋章があった。


「数百年前、私の先祖であるあの偉大な工芸の大家は、生活の糧を得るために、生涯の心血を注いだこの手稿を売るしかなかったの。当時まだ設立されたばかりだった、この学院の図書館にね」


 彼女の声には、災い転じて福と為すような喜びが微かに混じっていた。


「そのせいで所有権は失ってしまったけれど。私の家族が異端の名を冠されて、流浪を強いられた数百年の間。学院の完璧な保存設備のおかげで、この知識は奇跡的に、完全な形で保存されることになったわ」


「私がこうして毎日ここに来て、それを読めるだけでも」


 彼女はアーガスを見つめた。

 その目には純粋な感謝が浮かんでいた。


「すでに……神様から私たち家族への、最大の恩寵なのよ」


 アーガスは沈黙した。

 彼はついに理解した。


 目の前の小柄な少女の、その華奢な肩に。

 どれほど重い、歴史の重量がのしかかっているのかを。


「ミリー」


 アーガスは話題を変え、二人を結びつけた最初の問いを口にした。


「君がさっき言っていた……『雄獅子ライオン派』って、一体何なんだ?」


「それは今のこの世界の主流よ」


 ミリーの声には、隠しきれない軽蔑が混じっていた。


「腕力に任せて、より大きく、より騒々しい爆発音だけを追求する、筋肉馬鹿の集まりだわ」


 彼女はアーガスの顔に浮かぶ純粋な困惑を見た。

 外界から隔絶された山城から来たこの少年が、外の魔法体系について何も知らないのだろうと悟る。


 彼女は深呼吸をし、説明を始めた。


「主流の魔法使いたち、つまり『雄獅子派』の核心的な理念は、ただ一つ。『より大きな火の玉を創る』ことよ」


「彼らが生涯をかけて追求するのは、自分の中の『魔力容量』を絶えず拡張し、より多くの『燃料』を貯蔵できるようにすること」

「そして、その膨大だけれど粗雑な燃料を使って、構造が単純な低位魔法を、より暴力的に、より頻繁に放つことなの」


「シンプルで、直接的で、しかも十分な破壊力がある。だから彼らは軍隊や大多数の実戦魔法使いから重宝され、この世界において、有無を言わさぬ覇権を握っているわ」


挿絵(By みてみん)


【あとがき】

応援や★★★★★評価、ブックマークが、この物語の火力になります。

次の章も、全力で鍛えます。

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