第二話-【第三幕:公になった欠陥、崩れ去る信頼】挿絵あり)
その時だった。
外から、急ぎ足の音が聞こえてきた。
普通の客の歩き方ではない。乱れて、つまずき、泣き声を伴った足音だった。
その声が、工房に作られていた偽りの平穏を切り裂いた。
槌の音が止まった。
話し声が消えた。
見習いたちは工具を持ったまま動きを止め、一斉に入口を見た。
ブレイクの顔から血の気が引いた。
泣き叫ぶドワーフの女が、転がり込むように工房へ飛び込んできた。
髪は乱れ、顔は涙と鼻水でぐしゃぐしゃになっている。服には血の跡があった。彼女の声は高く、鋭く、工房に残っていたあらゆる音を突き破った。
「ブレイク大師! ブレイク大師はどこ!」
彼女の後ろから、二人の隣人が担架を運び込んできた。そこには年老いたドワーフが横たわっている。額には厚い包帯が巻かれ、血が布に滲んでいた。顔色は紙のように白い。
さらにその後ろで、誰かが壊れた車椅子を引きずっていた。
時間が止まったようだった。
工房の入口には、近所の者、通りすがりの商人、様子を見に来た見習いたちが、あっという間に集まり始めた。すべての視線が、泣き叫ぶ女、担架の老人、そして壊れた車椅子へ集まる。
「何があったんです」
ブレイクは奥から急いで出てきた。どうにか冷静でいようとしていた。
「奥さん、落ち着いてください。何かあったなら、私たちが」
「落ち着けですって!」
女は金切り声を上げ、ブレイクの手を払いのけた。
「どうやって落ち着けって言うの! 見なさいよ! あなたたちが何をしたのか、よく見なさいよ!」
彼女は壊れた車椅子を指差した。
「私たちはあなたたちを信じたのよ! 兄妹で少しずつ金を出し合って、父に買ったの! 頑丈で、安全で、一生使えるって言ったじゃない!」
「なのに、これよ!」
彼女の震える指が、担架の老人へ向いた。
「父は家の前の平らな場所で、少し日向ぼっこをしようとしただけよ! それなのに肘掛けがいきなり折れたの! 体がひっくり返って、頭を石段に打ちつけたのよ! 今も目を覚まさない!」
彼女の声は、工房の前の広場に響き渡った。
「これがあなたたちの傑作なの? これがあなたたちの希望なの!」
一言一言が、周囲の人々の耳へ刃物のように突き刺さっていく。
ざわめきが広がった。
「本当なのか」
「うちも一台頼もうと思っていたのに」
「安全だって聞いていたぞ」
「人を殺す椅子を売っていたのか」
疑念は、恐怖へ変わる。そして恐怖は、怒りへ変わっていく。
トールの顔色は、赤から青白く変わった。彼は壊れた車椅子の前へ飛び出し、膝をついた。震える指で、断裂した鉄木の断面を撫でる。
その瞬間、彼は見てしまった。
不自然な灰色。
朽ちた木のように脆くなった断面。
パラディアから戻ってきた残骸と、まったく同じ壊れ方だった。
同じだ。
アーガスの言った通りだった。
「そんな……」
トールの声は震えていた。
「これは俺が打ったんだ。全部、俺がこの手で確認した。ホゾも、軸受けも、何もかも……どうして……」
だが証拠は目の前にあった。
残酷なほど、はっきりと。
ブレイクは女をなだめようと前に出た。だが彼女は、激しく彼を突き飛ばした。
「触らないで! よくもそんな顔で私に触れるわね! あなたたちは金のために、良心まで売ったのよ!」
彼女は振り返り、集まった人々へ叫んだ。
「みんな見て! これがアイアンソーン工房の本性よ! この人たちが売っていたのは、人を助ける椅子なんかじゃない。人を傷つける椅子だったのよ!」
ざわめきはさらに大きくなった。
責める声。疑う声。すでに背を向けて立ち去る者もいた。その顔には、二度とこの工房を信用しないという意思が浮かんでいた。
アイリーンが車椅子を進めた。声は何とか理性を保っていた。
「奥さん、どうか落ち着いてください。私たちは最後まで責任を持ちます。治療費も、賠償も、必要なものはすべて」
「賠償ですって?」
女の涙は止まらなかった。
「父の命を賠償できるの? 医者は頭を強く打ったと言ったわ。父は今、私たちのことも分からないのよ。あなたたちは、父の頭を元に戻せるの?」
アイリーンは言葉を失った。
彼女の理性は、血と涙を前にして、あまりにも無力だった。
やがて女は、隣人たちに支えられながら去っていった。老人の呻き声も遠ざかっていく。だが壊れた車椅子だけは、工房の入口に残された。
まるで告発の証のように。
集まった人々も少しずつ散っていった。けれど彼らの目は、もう以前のものではなかった。敬意も信頼も消え、そこにあるのは疑いと恐れ、そして軽蔑だった。
工房は死んだように静まり返った。
炉の火はまだ燃えている。だが誰も石炭を足そうとはしない。作業台には半完成の部品が置かれたままだったが、誰も手を伸ばさなかった。見習いたちはその場に立ち尽くし、師匠たちの顔を見つめている。
彼らが守ろうとした平常は、一日も持たなかった。
トールは残骸のそばに膝をつき、折れた木片を両手で包んだ。体が小さく震えている。
ブレイクは入口の柱にもたれていた。数えきれない作品を生み出してきた大きな手が、今はひどく老いて、力なく見えた。
サラは台所で声を殺して泣いていた。
アイリーンは車椅子の肘掛けを握りしめていた。指の関節が白くなるほど強く。昨夜、自分が引き受けた商会への対応など、もう意味を失っていた。問題はすでに爆発した。それも、最悪の形で。
アーガスだけが黙っていた。
彼は壊れた車椅子のそばへ歩み寄り、しゃがみ込んだ。指先で断裂口をなぞる。
これで四台。
パラディアの三台。
そして、この町の一台。
場所は違う。使われた環境も違う。
だが壊れ方は同じだった。
これは偶然ではない。
材料の内部で、何かが起きている。
そして今、家族の全員が、その事実を信じるしかなくなった。
だが、もう遅かった。




