第十二話:【第三幕:黄金世代の異変】
教室のざわめきは、少しずつ別の色を帯びていった。
学生たちは校内報を回し読みしながら、それぞれ気になる箇所を探している。
トーマス導師も校内報を受け取り、老眼鏡を押し上げた。
自分のクラスが第三位に入っているのを確認した時、その顔には驚きと喜びが浮かんだ。
しかし、最終順位の一覧へ視線を移した瞬間、その喜びは凍りついた。
「……あり得ない」
導師は小さく呟いた。
「九つ……一年生のクラスが、九つも入っている……?」
そこに並んでいたのは、常識外れの順位表だった。
クラス対抗戦最終順位、上位十組。
一位。聖白学院一年一組。
二位。青風学院二年一組。
三位。灰色学院一年一組。
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十位。灰色学院一年二組。
第二位の青風学院二年一組を除き、残りの九枠は、すべて一年生のクラスで埋まっていた。
トーマス導師はその一覧を見つめ、世界の法則が突然書き換えられたものでも見るような顔をしていた。
長年教壇に立ってきた彼は、学年間の実力差を誰よりも知っている。
例年なら、一年生が上位十組に一つ食い込むだけでも、黄金世代と呼ぶに足る出来事だった。
今年は、九つ。
「おかしすぎる……」
トーマス導師は、誰に聞かせるでもなく呟いた。
「こんなことは、過去に一度もない……」
アーガスも、その一覧を見つめていた。
旗を守っていた時の戦闘を思い返す。
最初に現れた火学院の二年生たちを除けば、襲撃してきた敵は、確かにほとんどが一年生の制服を着ていたように思える。
しかも、彼らの魔力制御は、一般的な一年生のものではなかった。
いや、二年生と比べても、妙に洗練されていた者がいた。
彼は一つの場面を思い出す。
風学院の新入生の制服を着た学生が、跳躍の魔法で、地雷原を直接越えようとした。
アーガスはそれを魔法で阻止した。
だが、あの跳躍の軌道を思い返せば、もし止めていなければ、相手は中央砦の上へ直接着地していたはずだ。
あの距離感。
あの魔力の扱い。
あれは、本当に入学したばかりの一年生にできることなのか。
答えは、まだ見えない。
教室の議論は、やがて各自の関心へ散っていった。
誰かは聖白学院を笑い、誰かは青風学院の記事に不満を言い、誰かは自分たちの第三位にまだ浮かれている。
その中で、ヴァレリウスだけが、言葉にしにくい複雑な顔をしていた。




