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第六話-【第三幕:魔法地雷と決裂。腹黒令嬢への深夜の材料申請】(挿絵あり)

 指揮権を獲得すると、アーガスは直ちに現在の人員リソースの棚卸しを開始した。


 彼は、灰色学院が他の学院から「寄せ集めの雑牌軍」と嘲笑され、特化した属性を持たないことに気づいていたが、この時ばかりはそれが逆に利点となった。

 彼は異なる属性の同級生たちを利用して、陣地の構築をサポートできるのだ。


 アーガスは地図を広げ、机上での推論シミュレーションを開始した。


「水属性の人は泥濘地を作り、敵の移動を遅らせる。火属性は植生を消去し、射線(射界)を構築する。土属性は……」


 この古典的でありながら極めて実用的な戦術を聞いて、ヴァレリウスは初めて彼に対して少し心が揺らいだ。

 眉をわずかに上げ、固く握りしめていた拳が一瞬だけ緩んだ。


 なるほど、この平民は地図が読めるだけでなく、地形の活用法も知っているらしい。

 しかしその直後、アーガスが核心となる戦術を口にした。


「最も重要なのは、魔法地雷マジック・マインの埋設だ」


 ヴァレリウスは瞬時に毛を逆立てた。


「雷だと? お前狂ってるのか? あれは人間がコントロールできる力じゃない、神代の魔法だぞ! 禁忌の魔法だ!」


 彼は元々、この平民が何か顔を立て直す方法を持っているのではないかと、一縷の望みを抱いていた。

 しかし今となっては、基本的な常識さえ分かっていないではないか!


 雷魔法?

 この世界に雷魔法など存在しない。それは神代のみに存在した禁忌の力であり、手の届かない雲の上の力なのだ!


 ヴァレリウスは、派閥のメンバーたちが向ける失望の眼差しを感じた。それは最後の藁が折れた瞬間だった。

 彼の声には絶望的な怒りがこもっていた。


「やはり……こうなると思っていたぞ!」


 アーガスは、魔法地雷は雷の魔法ではなく一種の罠なのだと説明しようとした。

 しかし、すでに心が死んでしまったヴァレリウスの表情を見て、「これは雷魔法じゃない、工芸だ。一種の……ドワーフの工芸だ」と言い換えた。


 この回答は誤解を解くどころか、ヴァレリウスをさらに激怒させた。

 彼から見れば、この平民はいまだに自分の間違った認識を頑固に主張し続けているように見えたのだ。


「俺は自分の栄誉を、基本的な常識すら持たない狂人なんかに賭けるつもりはない」ヴァレリウスは自身の派閥のメンバーたちに向かって言った。「行くぞ!」


 この決裂はアーガスの全くの想定外エラーだった。

 彼は上手く説明できると思っていたが、かえってさらに大きな誤解を生むことになるとは。


 だが、この予想外の結果も悪くはない。

 ヴァレリウスの退出によって、思いがけずチームの選別が完了したのだ。


 残ったのは、本当にスコアを気にし、新しい手法を試す意志のある同級生たちだけだった。


 ***


 その夜、リナの寮の部屋は明るく照らされていた。


 魔法の電球が精巧な彫刻が施された真鍮の台座の上に置かれ、机の中央に吊り下げられて、温和な暖光を放っていた。


 それこそがアーガスの作った作品。

 元々は質素な球状の電球だったが、リナの創意工夫によって上品なランプベースとシルクのランプシェードが添えられ、瞬時に品味溢れる芸術品へと変貌を遂げていた。


 柔らかな光線が、彼女の仕事に完璧な照明を提供していた。

 アーガスがノックして入ってきた。その手には分厚いリストが握られている。


 リナは商会の書類を処理していたが、足音を聞いて顔を上げた。

 彼の顔にあるあの集中して揺るぎない表情を見て、目に興味の色を走らせた。


「こんな夜遅くに、何かご用かしら、親愛なる首席先生? 私、今はとても忙しいの。補習をする時間はなくてよ!」


 彼女は羽根ペンを置き、背もたれに寄りかかりながら、口角に見慣れた小悪魔の笑みを浮かべた。

 アーガスはリストを差し出した。


「リナ先輩。いくつかの材料を申請したいんです。その……新しい研究のために」


 リナはリストを受け取り、細長い指で紙をめくりながら、視線を材料のリストの上で泳がせた。

 項目は少ないが、数量は膨大だった。


 鉄片、銅線、樹脂、魔晶の粉末……。

 彼女の瞳が微かに細められた。それはまるで、獲物の匂いを嗅ぎつけた子猫のようだった。


「ふふっ。私たちの首席顧問の『新しい研究』に使う材料は、ずいぶんと……質素で地味ね」


 彼女はリストを灯りの下でじっくりと検分した。


「でも数量は少なくないわ。どうやらあのボロい錬金実験室を、工場にでも改造するつもりかしら?」


「そう言っても過言ではありません」


 アーガスは正面から答えなかったが、その目の光はさらに明るさを増した。


挿絵(By みてみん)


 リナは軽く笑い、羽根ペンを手に取ってリストに自分の名前をサインした。

 その筆致は優雅でありながらも決断力に満ちていた。


「とても楽しみだわ。あなたがこの『廃材』を使って、一体どんな驚きのフルコースを用意してくれるのか」


 彼女はリストを机に残した。


「でもね、もし今回の『研究』がまた前回みたいに大反響を引き起こすようなものだったら、一番に私に報告すること。約束よ」


 この理由を問わない支持は、彼女からアーガスへの最大の信頼の証だった。

 アーガスは期待に満ちたリナの瞳を見つめ、口元に神秘的な笑みを浮かべた。


「先輩自身が、直接体験することになりますよ」


 そう言い残し、彼は身を翻して去っていった。

 残されたリナは一人灯りの下に座り、その表情は期待から錯愕へと変わり、やがてさらに深い好奇心へと変わっていった。

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