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26 起こしたら殴る


 協会内部最上階。


 血魂銃で頭を撃ち抜かれたバースは、断末魔を上げると乾燥した土のようにボロボロと崩れていった。

 分身達も本体の崩壊に合わせてあっという間に消えてしまう。残ったのは、バースが着ていた白いシャツだけだった。


 風化した残骸の中から離津留がひょっこりと顔を出す。


「やれやれ、最後までうっとおしいですわね」


 土を払いながら這い出した離津留は、すぐに夜衣の元へと移動し定位置の肩へ戻った。リリガスを蹴落として。

 床に激突しそうになりながらもリリガスは根性で服の端を掴み、夜衣の足へしがみついた。


「何すんのよ!」


「夜衣様に密着してもいいのはわたくしと破切果君だけですわ。変態は引っ込んでいなさい」


 いつ誰が決めたんだと夜衣が無言で睨む。人間型の離津留ならともかく、軟体生物や幼児に密着されても全く嬉しくない。


「馬鹿やってる場合か。早くここから出るぞ」


 バースを含め、魔物達は敵地にいるという自覚がまるで無い。

 長らく魔物に脅かされながらも人間が生き残ったのは、こういった間抜けな奴が多かったからではないかと彼は思った。

 ずる賢さも残忍さも人間の方が余程上だ。


 ライーザの姿は見えない。恐らく目覚めたロベオと共に脱出したのだろう。やっと占い師コンビから解放されたと喜びたいところだが、代わりにオカマブラッドマンという余計なオプションが付属している。


 夜衣が脱出を急ぐ理由には早くこの部屋から出て、リリガスと別れたいという切実な願いもあった。


 隊長は逃げ出そうとしている夜衣を止めようとはしない。

 夜衣達が攻め込んでいなければ、協会内部に魔物が巣食っていた事は分からなかった。近年女性の生贄の減りが妙に早く、協会から追加補充の命令が度々出ていたのはインクが原因だったのだ。


 放っておけば生贄だけでなく町の住人にも魔の手が及んでいただろう。未然に防ぐ事が出来たのは予言者の襲撃のおかげ。

 最終的に魔物を始末したのは輝士団という面目も保てた。知らんふりをして見逃そうというのが隊長の感謝の気持ちだ。


「待ていっ!」


 だが、そんな空気を読めない、もとい読まない者もいた。


 危険を察知した夜衣が飛び退くと、彼が立っていた場所に銃弾が降り注ぎ床を削った。銃を構えて立ちはだかっていたのは美しい黒髪を持つ軍服女性。鬼雀の司令官だった。


「誰が貴様を逃がすと言った。魔物を倒した今、次に処刑されるのは予言者と決まっているだろう」


 司令官が鬼雀から戻っているのなら、乗員達を物理的な衝撃で正気に戻し、浄化剤を撒き終えたという事。

 他の隊員達も目を覚まし同じように武器を手にしていた。


 ところが不敵な笑みを浮かべる司令官とは裏腹に隊員達の表情は晴れない。ヘルメットで隠れていても隊長には雰囲気で分かる。

 皆隊長の意向を理解しているので黙っていたのだが、司令官の命令を無視する訳にもいかない。

 目覚めていないフリでもしようものなら、顔面が崩壊するまで殴られそうだと気付いているからだ。


「悪いが、そういう訳だ」


 自力で何とかしてくれと隊長が眼差しを夜衣に向ける。

 普段なら売られた喧嘩は全て買い取る夜衣も、苛立ちを通り越してうんざりした様子だ。


 思えば夢流との争いから始まり、砂漠を越え輝士団本部で大暴れ。汽車を奪ってからも占い師コンビ、鬼雀などと休む間も無く戦闘を繰り広げた。


 ハッキリ言って疲れた。とっとと帰って寝たいというのが彼の一番の願い。

 帰還のために残しておいた最後の予言の力を、敵を蹴散らすために使うつもりは無い。


「お前の出番だ」


 夜衣はリリガスを掴み上げて司令官の方へ投げようとする。


「えぇ~!」


「俺を助けに来たんだろうが」


 必死に腕にへばりつき、飛ばされまいとするリリガス。

 確かに変身してブラッドマンの姿になれば輝士団はそちらを優先して攻撃するだろう。しかし血魂銃で武装した集団の中で正体を現せば、一斉射撃を受けるのは明らか。あっという間に殺されてしまう。


 消耗しているのはリリガスも同じ。血液を補給していないのでろくな反撃も出来ない。


「いくら夜衣ちゃんのためでも無駄死にはイヤよ」


「だったら奴みたいに色仕掛でもやってみろ」


 オカマといえどもブラッドマン。黙っていればバースにも劣らない美青年だ。


「そこまで出来たら絶滅寸前まで人間に追い込まれてないわ」


 最強の魔物でも不可能なものもある。もし使えたとしてもバースの誘惑が通用しなかった司令官には役に立たないし、浄化剤が撒かれた部屋では意味が無い。夜衣は隠しもしない盛大な舌打ちをした。


「役立たずが」


 せめて心の中で呟いて欲しかったとリリガスは思った。


「ひどいわ!夜衣ちゃんのためを思って頑張ってるのに。見損なったわ」


 夜衣の手を振り払ったリリガスは床に着地。号泣しながら壁に開いた穴へ走り去ろうとする。

 が、目の前に弾丸が撃ち込まれ急停止した。無論撃ったのは司令官。リリガスは慌てて夜衣の元へと舞い戻った。


「見え透いた芝居は止めるんだな。魔物のように騙せると思ったのか」


 司令官の言う通り、リリガスは外へいる破切果へ助けを求めようと飛び出すつもりだったのだ。


「もう!完璧な作戦だと思ったのに。夜衣ちゃんの迫真の演技が通用しないなんて」


 ぎりぎりと歯ぎしりをしながら悔しがるリリガスを見て、輝士団や隊長も心なしか残念そうだ。


 離津留は夜衣の態度が演技などではなく本気だったのを見抜いていた。

 勝手に勘違いをして危険を冒したリリガスを笑いたい気持ちを堪えている。


 司令官が目で合図を送ると怒羅魂の照準が夜衣に合わせられた。


「おっと、これ以上お喋りは慎んでもらおう。逆らえばどうなるか分かっているだろう?」


 装填されているのは先程バースに使用した追尾矢。

 無駄に強い夜衣でもハァズの様なボディーガードも予言も無いのでは防ぐのは不可能だ。物理攻撃や兵器に滅法強い離津留も、隊員達が持つ血魂銃だけは無効化出来ない。


「予言者、貴様には色々と聞きたい事もある。秘密結社の幹部という肩書きに免じて命だけは保証しよう。ただし、危険な口を塞ぎ手足は拘束させてもらうがな」


 予言者相手には至極真っ当な対応だろうが、女性司令官が口にすると途端に言葉の響きが卑猥に感じられる。

 この場にいた者達の脳内に、縛られた夜衣を鞭で痛めつける司令官の姿が容易に浮かび上がった。

 しかもなぜか司令官は軍服にハイヒールという妙な格好で。


「不潔ですわー!夜衣様の体の自由を奪って服を脱がして、あんな事やこんな事をしようだなんて。わたくしの役目ですのよ!何のために触手があると思っていますの?」


「おい」


 聞き捨てならない言葉に夜衣がツッコミを入れようとするも、ざわめきにかき消されて届かない。


「司令官にそんな趣味があったなんて」


「噂は本当だったのか」


「予言者なんかより俺を調教して下さい!」


 最後に台詞を吐いた隊員は、司令官が直々に鉄槌を下し黙らせた。


「何を勘違いしている。お前達はアホか」


 呆れ顔の司令官が殴り倒した隊員の頭を踏みつける。足蹴にされている隊員の顔が喜んでいるので、かえって誤解を増長させている。


「夢魔を飼う総帥に、SM女王率いる輝士団。しばらく見ない間に協会も変わったのね」


 リリガスは自分の事を棚に上げてしみじみと呟いた。反論しようと口を開きかけた司令官の肩を誰かが優しく叩く。

 振り向かなくても司令官は相手が隊長だと分かった


「人の趣味をとやかく言うつもりは無いが、公の場では慎むべきだと思うよ。私は」


「貴様まで何を言っている!」


 付き合いの長い同期からも憐みの眼差しを感じた司令官は声を荒らげた。


「特に私以外の男の前では止めてくれないか」


 隊長の言葉に妙な違和感があった。予言者から目を離す訳にはいかず、司令官は銃を構えたまま体の向きだけを変えた。

 少しでもおかしな動きがあればいつでも銃弾を撃ち込めるように。


 隊長はやけに熱のこもった視線でこちらを見つめていた。何のつもりだと言おうとした司令官は、周りの隊員達も自分を注視している事に気付く。


「?」


 心なしかじりじりと距離を縮められているような気がする。


 周りの反応もおかしいが、今は肩を掴んで離さない邪魔な隊長を何とかするべきだと考えた。鬼雀の乗員はともかく精鋭部隊を仕切っているのは隊長だ。

 こいつがきちんと指示を出せば妙な混乱を起こしている隊員達も正常な判断力を取り戻すだろう。


「いい加減にしないか!奴を拘束するための鋼鉄縄と猿ぐつわを用意しろ。ついでに目隠しも必要だ。早く指示を出せ」


「目隠しプレイなんてマニアックな」


「ひ、卑猥ですわー!」


 リリガスと離津留の叫びに釣られて一層ざわめきが大きくなる。騒がしい外野を黙らせろと意味も込めて隊長を小突く司令官。

 だが、ようやく離れた隊長は真顔でとんでもない言葉を口走った。


「君を愛しているのは私だ。これ以上あんな男に関わらないで欲しい」


 司令官は一瞬何を言われたか分からなかった。


「結婚してくれ」


 言いながら抱きつく隊長。思わず銃を取り落とし、固まる司令官。言葉の意味を理解するとこれ以上無いかという位の怒鳴り声を上げた。


「おのれは何を考えとるんだ!」


 外見は女性でも中身はれっきとした男。しかも妻子を持っていた友人に向かって愛を告白するなど血迷ったとしか思えない。

 これは明らかに攻撃を受けている。隊長や隊員達ではなく自分が。


 仕掛けたのは予言者ではない。予言を使う素振りも怪しい動きも無かった。

 奴に張り付いている魔物達も騒ぐばかりで攻撃してくるような気配は感じない。


 だとしたら他に何かが潜んでいるのか。インクの誘惑の力は浄化剤で解除されたはずなのに。


 バースを連想した司令官はハッとした。

 良く考えれば奴は妙に間抜けだった。長年協会に潜み正体を隠し続けていた狡猾な魔物が、あんな簡単にボロを出すだろうか。

 それも都合良く輝士団が駆け付けた途端に。


 もしかしたら自分はあの時の魔物と同じような状況に立たされているのではないか。

 注意深く辺りを観察した司令官は、視界の端に丸い物体を捉えた。


 コソコソとほふく前進をする手足の生えた水晶玉。明らかに怪しい。


「夜衣ちゃん、何だか分からないけど今のうちよ」


「口に出すんじゃねぇよ」


 司令官が隊長の告白に動転していた間に、夜衣は既に外へ通じる穴へと到達していた。


 常日頃から仲間内での小競り合いや他の予言者の襲撃が多発する夜幻秘密結社。予言の実力に劣る夜衣は、身体能力を生かした逃げ足の速さで幾多の修羅場を潜り抜けてきた。

 最強兵器のハァズの攻撃を避けられたのもこれらの経験があってこそ。


「ええい、こんな事をしている場合か!誰でもいいから奴を捕えろ!」


「あの男を捕まえてどうするつもりなんだ。君には私というものがいるではないか」


 依然抱きついたままの隊長を振り払おうとするも、周りを他の隊員達にも囲まれて身動きが取れない。

 せめて銃さえあればと思っても落とした血魂銃は押し寄せた隊員の間に隠れてしまい、どこへいってしまったか分からない。


 隊長以外にも「愛人にして下さい!」「いっそ犬でもいいです!」などとふざけた台詞を言いながら錯乱している者が大勢いる。


「寝言をぬかしている場合か!」


 輝士団の騒ぎを背にした夜衣は、そのまま壁の穴から外へと飛び降りた。


「じゃあな、女王サマ」


 去り際の予言者が台詞を言った後ブチリと、部屋内で何かが切れるような音を聞いたと当時現場にいた輝士団の一人が語った。

 魔物よりも恐ろしい鬼だったと証言する者もいる。


 駆け付けた警備隊の話によると、最上階の部屋はまるで爆弾が落ちたようで、両足で立っていたのは折り重なる男達を踏み台にした鬼雀の司令官ただ一人だったという。

 


 最上階から飛び出した夜衣はすぐに破切果に気付き、近くの柱へ視線を移動させる。


「お任せ下さいな」


 彼の意図を読み取った離津留は柱に触手を伸ばした。残りの部分を夜衣の腕にしっかりと絡ませると、柱を掴み反動をつけて触手を離す。

 離津留の柔軟なボディで落下スピードを緩和し、夜衣は破切果のいる狭い足場へと見事着地した。


「お師匠様!」


 とびきりの笑顔で駆け寄ってくる破切果。この短い間に夢魔や協会兵器、精鋭部隊に鬼雀の隊員と渡り合った夜衣は、緊張感の欠片も無い破切果の様子を見てようやく肩の力を抜いた。

 思っていたよりも時間を食っていたのか、空はもう白み始めている。


 しかしまだ気は抜けない。あの程度の足止めがそう長く持つとは思えない。すぐに次の行動を起こさなければ立ち直った輝士団が総攻撃を仕掛けてくる。


 特に女司令官は今度こそ本気で殺しにかかってくるだろう。


 幸い予言を温存していたので帰還には問題無い。

 輝士団本部に打撃を与え、生贄の輸送車両を破壊。難攻不落を誇っていた協会に秘密結社の名を刻みつけた。

 ついでに大勢の輝士団員の前で総帥が魔物を飼いならしていた事を白日の下へ晒した。


 任務は十分果たした。これで自分に掛けられた死の予言も回避出来る。


「とりあえずてめぇは後回しだ。一旦秘密結社に戻る」


「ええっ!こんな危険な場所に置いてきぼりにするなんて夜衣ちゃん、外道にも程があるわ」


 悲劇的な声を出すリリガス。対魔物兵器満載の建物に取り残され、血魂銃と予言兵器で武装した輝士団から逃げるなんてどんな拷問だ。

 しかも力はほぼ使い果たして変身出来るかも怪しい。置き去りにされてたまるものかと必死で夜衣の足に掴みかかる。


「おい、コラ」


 体は小さくても中身は最強の魔物。ぎりぎりと締め付けられてはさすがに夜衣でも痛い。


「夜衣様に何するのよ!」


 夜衣に代わり、離津留が体当たりを食らわせた。離津留の全身全霊の愛の力を込めた攻撃に、リリガスは吹っ飛び投げ出された。

 建物から落ちそうになるリリガスを破切果がしっかりとキャッチする。


「リリガスさん、お師匠様が言っているのはそういう意味じゃないですよ」


「えっ?」


 今までのやりとりからリリガスはここで見捨てられるとばかり思っていた。一応嫌われているという自覚はあったのだ。

 ただブラッドマンが好かれるはずが無いと一般論的に考えていて、リリガス個人の人格が否定されているとは思っていなかったが。


 いい加減怒るのも面倒になってきた夜衣は、これからする事を淡々と述べた


「てめぇをガキ共の所へ帰すのを後回しと言ったんだ。一度秘密結社に全員で戻って俺は寝る。体力を回復したらうちの上司に任務の報告をする。送り届けるのはその後だ。いいな」


「ええっ!自宅に招待してくれるなんて。まさかご両親に紹か、ごめんなさい捨てないで」


 思わず冗談を口にしてしまったリリガスは、建物の先端で逆さ吊りにされた所で我に返り慌てて謝罪した。

 今まで何度も痛い目に遭わされてきたというのに全く懲りていない。

 夜衣の脳内にあったブラッドマン最強説は最強の馬鹿に塗り替えられた。


「いいの?魔物が秘密結社に入り込んじゃっても」


「別に構わねぇよ。それに勝手に潜り込まれる方が厄介だからな」


 どうせ置き去りにしようとしても、お節介野郎が連れてくるに決まっている。夜衣は破切果に視線を向ける。


「良かったですねー、リリガスさん」


 そのうち夢流のような腹黒い本性を現すに違いない。夜衣は破切果に対する警戒を強めていた。

 当人は純粋にお師匠様のためを思ってとの行動をしているのだが、上司に対する強い不信感が彼の疑心を加速させていた。


 夜衣はリリガスを破切果に放ると右手を出した。


「筆と札だ」


「はいっ!」


 元気良く応えた破切果から天我涼清丸と予言札を受け取ると、夜衣は外壁に素早く張り付けていった。

 札を張り終えると大きな一枚の予言札が出来上がる。縦の長さは夜衣の身長を超え、大きな垂れ幕のようになっていた。


 風を受けて揺れる大札に書かれたのは「扉」と「夜幻秘密結社 5号室」の文字。これをくぐれば秘密結社内にある彼の自室へと一気に行ける。追手が使用出来ないよう「使い捨て」の文字を入れるのも忘れない。


「使えるのは一度だけだ。離れるなよ」


「「「はいっ!」」」


 夜衣の言葉に人外の生物達がすぐさま彼の体を掴んだ。

 別にくっつけとは言っていないだろと心の中で呟いた夜衣は、一気に札をめくり上げた。やけに重い気もしたが早く任務から解放されたい彼は気にせず扉をくぐった。


 見慣れた自室が視界に入ると夜衣は豪快に寝台に倒れこむ。

 靴を脱ぎ余計な付属品共を放り投げて、呪い除けの幕をしっかりと下げるのを忘れない。


 所要時間わずか5秒。彼はようやく疲れを癒すための休息を得られたのだった。

 



 こうして夜幻秘密結社ナンバー5、夜衣は短くも厳しい任務を終える事に成功した。


 彼の予想通り協会の総帥は精鋭部隊や鬼雀の証言で失脚。

 協会は指導力を失い解体され、輝士団が主体となって今まで通り治安維持を行う事になる。


 一つ変わったのは人間狩りが行われなくなったというもの。夜衣達の襲撃後に輝士団が協会職員を尋問して得た情報により、ハァズの血液を使えば血魂銃の弾丸が容易に生産出来ると分かったからだ。


 それがハァズを隠していた本当の理由。


 十人分の生贄の血液を精製してようやく一発作れる弾丸を、なんと一人で一日に百発以上作り出せるというのだ。

 しかも次の日には同じように血液を作り出せる。


 おまけに単独で魔物を殲滅出来る能力とくれば、協会の権威が落ちるどころか存在意義まで疑問視されてしまう。

 ハァズを作るために協力したブラッドマンが人間との和解を目的としていたのか、それとも協会を潰そうと考えていたのかは分からない。


 もしかしたら何も考えていない馬鹿だったのかもしれない。

 リリガスのように間の抜けた魔物を見れば、夜衣がそう思ってしまうのも無理は無いだろう。



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