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(旧) 逃亡奴隷少女、拾いました……  作者: しゅんかしゅうとう
第1章:ウルスドの森
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第26話:第5の胃袋

服を置きに宿に一旦戻った後、再びコスモスと手を繋いで、雑貨屋を探して通りを歩く。

雨を警戒してと言い訳して、コスモスにも買ったローブだけは着用させた。

ローブを着用していると「魔宝使いかも」と判断され、襲われにくいことが期待できる上、袖が長く手のひらまで隠れるので、不用意に大粒の指環をしている様子を見せないで済むのだ。


宿に残してきたのはは女物の下着とワンピースと布だけだ。部屋の鍵も掛けてきたし、盗むやつは居ないと信じる。


雑貨屋はすぐ見つかった。

通りに面して大きく戸を開き、雑多に雑貨を並べてあったからだ。

本当に雑貨屋だ。奥に店主が見える。

ここで魔宝具も手に入るのか?

少々不安になる。


「ヤギかウシの胃袋はありますか?」


コスモスの口を借りて問いかける。

コスモスの通訳(?)が便利すぎて、中々カイン王国の言葉を覚える気になれないな。


「あぁ、あるよ。何番目だ?」


なる程、魔宝具も扱っているのは確かなようだ。


「ヤギの1番と5番はいくらですか?」


「1番は銀貨1枚、5番なら金貨2枚だ」


第5の胃袋は魔宝具だ。水などの液体を所有者の魔宝量に応じ大量に溜め込める上、いくら入れても重さが増えないという優れものである。森を旅していた時は緊急措置として、本来魔宝石をしまうはずの『強欲の胃袋ストマック』に水を入れてきたが、彼女が機嫌をそこね、これ以上水は運びたくないという。そう言う理由から『ヤギの第5の胃袋』の購入は旅する上で必須だったのだ。

そして第1の胃袋は、単なる水筒代わりに使われる一般道具である。

普通の胃袋と魔宝具の値段差がたった200倍か、良心的な価格設定に思える。


「魔宝糸、魔宝布はありますか?」


「聖金の糸、白金の糸は高価過ぎて扱っていない。聖銀の糸、白銀の糸、青銅の糸ならある。何番手がほしい?」


少し考えてから、残り少なくなった『聖銀のスレッド』をボビンごとコスモスに手渡す。

コスモスがソレを店主に見せる。


「これと同番手のものを希望します」


「うーん、見事な糸だな。流石にソレ相当のものは扱っていない。このクラスで良ければ」


と、糸巻きに巻かれた糸を見せる。


「聖銀の糸が金貨5枚、白銀の糸が金貨3枚、青銅の糸が金貨1枚だ」


「わかりました。では、ヤギの胃袋1番と5番を各2、糸を各1巻きずつ下さい」


この段階で使った金額が金貨13枚、銀貨2枚だ。魔宝具はやはり高い。

残金、金貨64枚強。


「魔宝布は、お嬢さんたちが身に付けている、耐魔用、耐剣用の物はない。隠しポケットに使う遮蔽用ならある」


「いくらですか?」

まぁ、値段がいくらでも買うつもりではあるけど。


1m四方の布を店主は広げ

「この大きさで金貨2枚だ」

と言った。

勿論買う。


そのほかに、普通の道具も買った。

財布用の皮袋、小額用財布と高額用財布を各2、コスモス用のハンティングナイフとボク用の果物ナイフ。

服屋に無かったレースのリボンもこの雑貨屋にはあったので即くらいついた。

針と針刺しも念のため購入。


「石鹸は扱っていますか?」

期待せずに尋ねると


「あぁ、あるよ」

と望外の返答があった。


「安い獣油を使った軟石鹸と、海に生える草を使った硬石鹸、どっちがいい?」


聞かれるまでも無い。軟石鹸では充分に鹸化が進んでおらず脂臭いことが想像される。


「硬石鹸を」


「銀貨20枚」


「頂きます」


この段階で残金、金貨62枚、銀貨59枚、銅貨60枚。

うん、まだ金貨62枚強残ってる。考えていた必要なものはそろってきた。


でも、ここでも店主が男性なので、婦人用品に付いて尋ね辛い。

薬屋さんとか、後で覗いてみよう。


これで旅に必要なものは、後は、コスモスの靴、雨具を兼ねたコスモスの帽子、買った衣類を入れて雨に打たれても大丈夫なカバン、そして地図、食料、位かな。

あ、そうか。コンディショナー用にワインビネガーも欲しいな。

武器とか買っても、多分ボクもコスモスも使えないから意味無いよね。


靴は多分オーダーメイドになる。そしてサイズ合わせをするなら足が一番充血している夕方がいい。

コスモス用の靴を作る作らないで、又少しだけもめる。


「カノン様。私にはカノン様に作って頂いた布靴が御座います。これ以上靴は必要有りません」


「コスモス。その布靴は、靴裏は魔宝糸で纏ってありますが、それ以外は只の布地です。そこから破れてしまいます」


「では、まわりも魔宝糸で纏って頂ければ」


「おそらく、靴を買うより魔宝糸代金の方が高くなります」


「では、靴が破れたら私は裸足で」


「コスモスが足を怪我したらどうすれば良いのです?コスモスがいないと、私は買い物1つ出来ないのですよ」


「ですが」


「お願いします。コスモスは私の為に、革靴を作って履いて下さい」


ようやくコスモスが折れたので雑貨屋に靴屋の場所を聞く。

すると、店の場所だけでなく良い情報も貰った。


「お嬢さん方、靴を作るのかい。なら作る時、少し魔宝糸を渡しておくといい。革を縫う麻糸に魔宝糸を縒りこんでもらうと靴が長持ちする」


大金貨を1枚金貨10枚に両替してもらった後、靴の情報の礼を言って雑貨屋を出る。

この店だけで金貨を20枚弱、日本円で200万円弱使ったのだから、サービスが良いのも当然か。


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