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第4話 幼馴染の前で全て吐き出す

 新聞部の部室の中には、作業用の机、1つの場所に纏められた新聞、本棚には文章のスキルの書籍などが並んでいた。他にも文房具や事務道具などの備品が机や引き出しに存在していた。


「適当に空いてる場所に座っていいよ」


 美月は俺の後に入室する。俺に座るように促す。


「うん」


 俺は近くの空いたイスに腰を下ろす。


 美月も俺と向き合う形でイスに腰を下ろす。それから俺に真っ直ぐ目を向ける。


「それで。何があったの? 陽太君の好きなタイミングで話していいから。私が全て受け止めてあげるから! 」


 美月は胸を張り軽く叩く。ドンと来いというように。


「…美月…」


 俺は美月の優しさに感動する。先程の教室の出来事と相まって泣きそうになる。


 だけど、涙は流さずに、目の中で留める。不思議と幼馴染の前では泣きたくなかった。これもつまらないと俺のプライドなのかもしれない。


「実は––––」


 俺は降り掛かった出来事を全て幼馴染に話した。


 クラスのイケメンの青井から彼女のあまねを寝取ったといったメッセージが、裸で2人でベッドに寝転がる写真と共にモーインで送られてきたこと。


 追い打ちを掛けるように彼女のあまねからモーインで青井に寝取られた告白と罪悪感から別れを切り出されたメッセージが送られてきたこと。


 次の日に今朝に登校したら、青井が俺の彼女のあまねを寝取ったことをクラスの教室で武勇伝として自慢していたこと。


 元カノのあまねもクラスメイト達も誰も注意せずに笑っていたこと。


 その理不尽な現実に、怒り、悔しさ、悲しさ、恥ずかしさ、そして絶望して、さっき教室を逃げて来たこと。


 悪いのは青井とあまねなのに俺だけが笑いものにされて損していること。それが理不尽でおかしいということ。


 今は特に悪い青井と元カノのあまねが憎くて仕方がないこと。


 全てを幼馴染に思いをぶつけるように語った。


「はぁ…はぁ…」


 俺は全てを吐き出し終え、大きく息を乱す。走ってもいないのに、荒い息が止まらない。


「…」


 幼馴染の美月は黙って1度も話を遮らずに最後まで俺の話に耳を傾け続けた。


「陽太君、話してくれてありがとう」


 美月は静かに立ち上がる。向かう俺の場所まで進む。


 俺の目の前の到着すると、立ったまま俺を抱きしめる美月。


「辛かったね。本当に大変だったね。陽太君の言う通り理不尽だと思う」


 美月は豊満な胸で俺の顔を包み込む。


 柔らかくダメにされる感触が俺の顔全体に伝わる。


「俺、間違ってないよね? 悪いのは2人だよね? 寝とった奴と寝取られた奴が悪いよね? 」


 俺は自分が間違ってないか美月に尋ねる。自分が間違ってないと正当化して欲しかった。だって、どう考えても俺は悪くないから。笑いものにされたり、損したりする理不尽に遭う理由がないから。


「うん。陽太君は間違ってない。私も陽太君と同じだから。悪いのは、話出てきた2人だよ。絶対にそうだから。安心して」


 美月は安心させるように俺の頭の後ろに手を添える。そのまま軽く自分の胸に引き込む。


 むにゅっ。


 柔らかい感触がさらに俺の顔に伝わる。さっきよりも美月の豊満な胸が強く押さえ付けられる。


「うん。…ありがとう。肯定してくれて」


 俺は美月の胸に身を委ねる。


「ううん。当然のことだから。だって私は陽太君と幼稚園の頃からの仲の幼馴染だから。高校からの付き合いの男や女とは違うから。この学校で誰よりも陽太君のことを大事に思ってるから」


 美月は俺の耳元で聞こえるように思いを伝える。


「…美月…」


 俺は安心して美月の胸に包まれて両目を瞑った。



 そのまま、しばらく美月の温もりに包まれる時間を新聞部の部室の中で過ごした。


 それこそ朝のホームルームの開始時間などすっかりと忘れるほどに。


 美月と2人だけの時間に浸るように。

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