表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/14

第3話 幼馴染

「はぁはぁ…」


 俺はしばらく廊下を走り続けた。既にどこに向かっているのかも分からない。ひたすら目的地を定めずに走り続けた。


「はぁはぁ…はぁはぁ…」


 体力の限界に達し、廊下の途中で急に立ち止まり、両膝に手を付いて、大きく息を乱す。もうどこに居るのかも分からない。


 クソ! クソ! クソ~!!


 おかしい! おかしい! おかしい!!


 俺が悪いなんて絶対に有り得ない!悪いのはあいつらなんだ! 青井と元カノなんだよ!!! それなのに何で俺なんだよ!! 何で俺が損な役回りなんだよ? 誰か教えてくれよ!!


 俺は疲労で息を乱しながらも、先程の教室で起こった出来事に対する怒り、悲しみ、悔しさ、恨み、などの感情は決して消えない。頭から離れることはない。逆に、どんどん増幅している。止まる気配は感じない。


「どうしたの? 新聞部の前で息なんか荒らして」


 聞き覚えのある声が俺の鼓膜を刺激する。


「はぁ…はぁ…」


 俺は咄嗟に息を整えながら、何とか顔を上げて声のした前方に視線を向ける。


 目の前には、白髪のロングヘア、水色の瞳、純白な肌、薄い唇、豊満な2つの胸が目立つ美少女の姿があった。見た目が整っていることから非常に存在感を感じさせる。


「…美月」


 俺は目の前の幼馴染の名前を呟く。


 白井美月。俺の幼稚園からの幼馴染だ。部活は新聞部に所属している。美月が言うには精力的にも活動しているらしい。


「ああ。ちょっとな」


 俺は理由をぼかす。先程の出来事での自分の対応が情けなさすぎて、幼馴染に真実を話せない。変なプライドが優勢してしまう。自分の不幸を話したくない。俺はプライドが高いのかもしれない。


「本当に? 何か変だよ? 廊下で疲れて息を乱しながら両膝を手に付いてるなんて。何かあったの? 」


 美月が心配そうに尋ねる。


 流石、幼稚園からの幼馴染。鋭い。俺に何かしらの出来事が有ったことを理解している。やっぱり俺はいつもと様子が違うのかもしれない。


 俺と美月が無言で視線を合わせる。しばらく静寂が続く。


「…話、聞いてくれる? 美月にとって多分、つまらないと思うけど」


 俺が折れて美月に思い切って尋ねる。 


「もちろんだよ! 幼馴染の陽太君に何かあったら放っておけないよ! 」


「…ありがとう」


 俺は心の底から感謝を伝える。今は美月の優しさがありがたい。さっきまで何でプライドが優勢して話さなかったんだろうと、疑問と後悔を抱く。


「まだ朝のホームルームまで時間あるから。話は新聞部の部室で聞くよ。この時間は私以外に誰も来ないから安心して」


 美月は部室のカギを開け、俺に入室するように促す。


「ありがとう」


 俺は美月の誘導に従い、新聞部の部室に入った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ