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第17話 ズル休み中にベッドへ押し倒される

(赤岩陽太視点)


「いやいや何言ってんの」


 思わず呆れた声が出た。


 幼馴染の口から飛び出した言葉が、あまりにも突拍子もなかったからだ。


 さすがに――本気とは思えない。


「私は本気だよ?」


 美月はにこっと笑った。


 けれど、その瞳は真っ直ぐ俺を見据えている。


 冗談を言う顔じゃない。


 むしろ妙に真剣で――困る。


 しかも、少しだけ胸がドキッとした。


「いやいや。さすがに冗談はよしてよ」


 俺は顔の前で手を振って否定する。


 しかし――。


「……本気だよ。じゃあ見せてあげる」


 美月は少しむっとした顔になると、いきなり俺の手を掴んだ。


「ちょっ!? は!?」


 ぐいっ、と腕が引かれる。


 美月は俺の反応なんてお構いなしだった。


 そのままリビングを横切り、一直線に階段へ向かう。


 そして――駆け上がる。


「お、おい! 待てって!」


 俺は引っ張られるまま慌てて追いかける。


 だが美月は止まらない。


 信じられないくらいの力で、ぐいぐい俺を引っ張っていく。


 気がつけば2階。


 そのまま――俺の部屋の前まで来ていた。


 ドアが開く。


 見慣れた部屋。


 そして、その中央にあるのは――


 俺のベッドだった。


「ほら! 一緒に寝るよ!」


 美月は楽しそうにベッドを指差した。


「だから冗談はいいって。寝ないから」


 俺は首をぶんぶん振る。


「もぅ。頑固なんだから〜。……えい!」


 美月は頬を膨らませた。


 そして――


 ドンッ。


「うわっ!? ちょっ!? 待って!?」


 気づいた時には、俺はベッドに押し倒されていた。


 背中から布団に沈み込む。


 ふわりと柔らかい感触が体を受け止めた。


 そして――


 美月が、その上から覆いかぶさってくる。


「いいから。寝るよ」


 布団に手をつき、逃げ道をふさぐように俺を見下ろす。


 ほんのり赤い頬。


 でも、その目は真剣だった。


「ちょ、み、美月……正気?」


 声が震える。


 距離が、近すぎる。


 幼馴染とはいえ、こんな距離は初めてだ。


 しかも――


 ショートパンツから伸びた太ももが、俺の体に触れている。


 柔らかい感触が、じんわり伝わってくる。


 心臓がうるさい。


 胸の奥でドクドクと暴れている。


「私は陽太君のことになると本気だよ」


「さっ、覚悟はいい?」


 美月が、ゆっくりと顔を近づけてくる。


 え。


 え。


 え……。


 視界いっぱいに、美月の顔。


 唇が――近づく。


 まさか。


 本当に……。


 そして。


 触れる――寸前。


 ふっと、美月は方向を変えた。


 そのまま俺の隣にゴロンと寝転がる。


「さっ。一緒に寝よっか♪」


 そう言うと、美月は俺の左腕にぎゅっと抱きついた。


 頬を腕に押し当てる。


 すり、と甘えるように頬をこすりつけてくる。


 まるで懐いた猫みたいだった。


 俺は――完全に固まった。


(ドキドキした〜)


 今。


 絶対キスすると思った。


 思ったよな?


 マジで。


 というか――


(今から一緒に寝るんですか?)


 無理無理。


 こんな状況で寝られるわけがない。


 絶対無理だろ!!


 俺は天井を見上げながら、


 理性を保つことで精一杯だった。

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