魔導銃
木々の葉が紅く染まり、すっかり肌寒くなってきた頃。
俺は遂に靴を履くことを諦めた。
膝から下がすっかり鱗で覆われ、足の爪は太く鋭くなっていた。
足の裏も靴よりも丈夫な程だ。
そして驚いたことに、歯が生え変わった。
すでに全ての歯が永久歯に生え変わっていたので、歯がぐらついた時には困ったものだと悩んだが、抜け落ちた後から以前よりも丈夫な歯が生えてきたときには正直、俺が一番驚いた。
そんな事が日常で起きる中、今日は地下で一人、魔法道具の作成に勤しんでいた。
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『魔導ライフル』
木製のストックに鉄の銃身。
銃身の中程には『無属性魔法』魔力弾の魔法陣が刻まれた金のプレートが付けられ、引き金を引くことにより銃身下部に取り付けた着脱可能のケースに納められた『魔力蓄積器』(2個直列)と回路が結ばれる。
南地区の職人に木製のストックを依頼した時には、何に使うんだと怪訝な顔をされたが、細かい彫刻が刻まれたそれは、何気に俺のお気に入りとなった。
ひとつのマガジン(魔力蓄積器)で100発の弾を発射することができ、その威力は大木を吹き飛ばす程だった。
その威力には流石に『魔力蓄積器』を3個直列にする事を躊躇ったほどだ。
これを手にするだけで、熟達の魔法使い並の戦力となるのだ。
しかも、この魔法を100発も放ち事が出来る者はそうは居ないだろう。
完全に趣味の産物だが実用して量産しまえば、この世界の戦いの在りようが変わってしまうかもしれない。
そして、もう一つ作ったのが『魔導ガン』
ハンドガンタイプの物で仕組みは『魔導ライフル』と同じだが『魔力蓄積器』は木製のグリップに納める形で数も1個だ。
威力は落ちるが、小型なので持ち運びや取り回しはこっちの方がいい。
ドラゴンの頭部を象ったような銃身で、魔力弾が放たれる様は龍の息吹のようだった。
これは細かい仕上げが終わったらセリアやアオイさんに護身用に持たせてもいいかもしれない。
細かい意匠を気にしなければ、作成は1月程で出来る。
パーツごとに職人に依頼すれば、もっと早いだろう。
ちなみに今回分かったのが、『魔力蓄積器』の再充填が出来ないという事だった。
これを商売にするつもりなら、ありがたい話なのかもしれないが、使い捨てになってしまうのは正直もったいなくも感じていた。
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作る間は一人で作っていても楽しかったのだが、完成してしまうと誰かに自慢したくなってしまった。
俺は衛兵の仕事が休みの日を見計らってセリアとアオイさん、そしてクルガとアルムを連れて郊外の森に来ていた。
お弁当まで作って、軽いピクニック気分だ。
布にくるまれた『魔導ライフル』と『魔導ガン』に、
「なにそれ?」
とセリアは聞いてきたが。
「新しい魔法道具だよ、後で披露するよ」
と言い、森へと歩いた。
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木に向かって『魔導ガン』を構え引き金をゆっくりと絞る。
放たれる魔力弾は木に拳大の穴を空けて、その裏にあった木にも抉ったような跡を付けていた。
「すご......」
セリアは驚いたように目を見開いた。
アオイさんは早く貸せと言った様子だ。
クルガはすでに、この武器に対してどう戦うかという事を考えているようで、ブツブツと呟いている。
なかなかの反応に俺は素直に喜んだ。
昼食を取れば、クルガが避けてみせると言い出し、危険だからと止める俺に、
「あの威力なら、当たっても死にはしない」
と、クルガ対『魔導ガン』が始まってしまった。
結局、素早く動くクルガに魔力弾を当てられたのはセリアだけだった。
魔力弾を避けるクルガも流石だったが、命中させたセリアも大した物だ。
ちなみに帰りはアルムがクルガを背負っての帰宅となった......。
『魔導ライフル』の威力には流石に皆絶句していた。
「なんか、怖い」
と言うセリアの言葉が心に残る。
これは封印すべき武器なのかもしれない......。




