表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

36/106

第35話 開幕5連勝(1)

 ゴッド・オブ・ブレイビアの今シーズン開幕戦から1か月が過ぎ、俺たちライトニング・ブリッツは開幕4連勝で第5節を迎えていた。

(ゴッド・オブ・ブレイビアは1週間に一度、毎週末に開催される)


「そこよ! ライオネル・ストライク!」

 マリーベルが得意のAランク魔法、ライオネル・ストライクを発動する。


 マリーベルは巨大な炎の獅子をその身にまとうと、相手の姫騎士に突撃し、激しく吹き飛ばして一気にガードアウトさせた。


 カンカンカンカンカンカンカン!


『デュエル・オールオーバー! デュエル・オールオーバー! ウィナー! チーム、ライトニング・ブリッツ所属! マリーベルぅぅぅ! これでライトニング・ブリッツは開幕から無傷の5連勝だぁ! 今シーズンの台風の目はまだまだ荒れ狂うことをやめようとしない! 果たして連勝街道はどこまで続くのかぁぁぁ!?』


 ゴングが盛大に鳴り響くとともに、マイクパフォーマンスがデュエル・スタジアムのボルテージを最高潮に盛り上げる中、


「これでリュカに続いてマリーベルも5戦全勝。もちろんチームも開幕5連勝。文句なしの開幕ダッシュだな」


 セコンド・エリアで勝利を見届けた俺は、ホッと一息つきながらつぶやいた。


「よし! よしよしよしよしよしよし! これで開幕5連勝だ!」


 しかし俺の隣でデュエルを見守っていたミューレは、興奮冷めやらぬと言った様子で渾身のガッツポーズを決めていた。


「今日のミューレはいつにもまして、えらく気合が入った喜びようだな。なにか理由でもあるのか?」


 ミューレは元々かなり感情表現が大きいタイプだけど、それにしても今日のミューレはちょっと気合が入り過ぎているように見える。


「メインスポンサーとの間に出来高契約があってね。今シーズン中に5勝するとガッポリ特別ボーナスが付くんだ。それを開幕5戦でもう達成してしまった。これでもう今季はお金のことを一切、気にする必要はなくなるんだ」


「そいつは朗報だな。ガッツポーズに気合いが入るのも無理はない……って、なんだよアスナ?」


 ミューレの説明に納得した俺の二の腕を、アスナがちょいちょいとつついてきた。


「たった5勝でいいの? それで特別ボーナスなんてスポンサーも太っ腹だよねぇ」

 アスナが不思議そうにつぶやく。


「たったとか言うな、たったとか。5勝『も』しないといけないんだ」


「え~? だってゴッド・オブ・ブレイビアは全20チームの総当たり戦でしょ? つまり自分たち以外の19チームと、1試合つずつデュエルと行うってことよね?」


「そうだぞ」


「ってことは5勝14敗でいいんだから、結構、簡単じゃない? ほぼ1勝3敗ペース、勝率26%ちょいでいいわけだし。そりゃ開幕5連勝したのはすごいと思うけどさー」


 やれやれ。

 これだから素人は困る。

 仕方がない、専門家の俺がちょいと講義をしてやるか。


「あのなアスナ。基本的にトップ5の上位常連チームは、下位チームには負けないんだ。よってこの時点で下位チームは5敗が確定してしまう」


「そうなの?」


「ここ10年で、前年TOP5のチームに前年下位10チームが勝ったことは、5回しかない」

「え、たったの5回だけ?」


 俺の言葉に、アスナが驚いた顔を見せた。


「しかもその全てが、5年前は下位に低迷していたバーニング・ライガーが、アリッサ・カガヤ・ローゼンベルクの加入で即、優勝した時の5勝だけだ。つまり実際は不可能と言っても過言じゃない」


 姫騎士デュエル業界でこの頃、諦めとともに半ば笑い話のように言われている『ただしアリッサ・カガヤ・ローゼンベルクは除く』というやつだ。


 常識とか一般論の枠外にいる超越的な存在。

 統計学では除外される、いわゆる『外れ値』(他の数字からかけ離れた異常な数値)。

 絶対的な強者。


 それが『烈火の姫騎士』アリッサ・カガヤ・ローゼンベルクなのだ。


 いや、あまりに強すぎて関係者一同マジで笑えないんだけどさ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ