本編② 孤独
その後、護衛兼メイドとして屋敷に仕えるため、メディアは控室に案内される。
そこで渡されたのは――胸元が大胆に開き、スカート丈も短いメイド服だった
「へぇ〜メイド服ってこんなんなんだ」
「はい。あの売…おっと、ぼっちゃまのお側に仕えるには、格式あるクロン族の家にふさわしい華やかさが必要なのです」
侍女が真顔で説明する
何も気にせず着替えるメディア。
広間に戻ると、小太りで感じの悪い子はすぐさま目を輝かせた。
「おおっ!似合ってるじゃん!僕様専属のメイド!」
小太りで感じの悪い子は笑いながら椅子にふんぞりかえる
「これから君は僕様を護るんだろ?だったら……楽しませてもらうよ〜。それとこれからは僕様のことを「ワイル様」って呼べよ」
とニヤける
こうして、メディアの護衛生活が幕を開けた。
朝一番、メディアは庭園を走りながら洗濯物を抱えていた。
「うーん、これ……普通のメイド仕事って、けっこう大変なんだね!」
普段とは違う慣れない動作で仕事をこなす。
するとバルコニーからワイルの声。
「おっ!新米メイドのおっぱいがめちゃくちゃ揺れてんじゃん!」
「え?」
ワイルの方を向いた拍子につまづき、洗濯物を庭園にぶちまけてしまい侍女たちが慌てて拾い集める。
その時、屋敷の庭の噴水が突然揺れ、触手が溢れ出した。
「ひゃあああっ!?」と悲鳴をあげる使用人たち。
「……やっぱり来たね」
メディアは即座に艶刃を展開し、スカートを翻して触手へ飛び込んだ。
「ここはあたしの仕事だ!」
紫色の光の刃が触手を一閃し、飛沫を撒き散らす。
触手はワイルのいるバルコニーに向かって伸びた。
「メ、メイドーッ!助けろぉぉ!!」
「わかってるってば!」
メディアは床を蹴り、ワイルの前に立ち触手を薙ぎ払う。
触手は切り裂かれ、絶命していった。
メディアが振り返ると、ワイルは
「……ま、まぁ、悪くなかったな。護衛としてご、合格だ…」
ワイルの声が震えている。
「偉そうに」
「……ま、守ってくれたのは事実だし、あ…ありがとう…」
ワイルの少しだけ素直な言葉に、メディアは照れ隠しのように髪をかき上げる。
「ま、これがあたしの仕事だから!」
だが、屋敷の周囲にはまだ“別の気配”が漂っていた。
触手事件は、単なる始まりに過ぎなかった。
その夜、メディアはメイド長にワイルの部屋へ行くように言われ
「こんな寝る時間に何の用だろ……」とぼやきながらドアを開けると、ワイルはベッドに腰かけ、ニヤリと笑っていた。
「来たなメディア!なぁ…寝る前にさ……膝枕とかしてくんない?」
「やだ」
メディアが真顔で拒否ると、ワイルは「冗談だよ冗談!」と笑う。
だがその目はどこか寂しさを隠すように揺れていた。
それを見たメディアは「仕方ない…」とベットに腰掛け、太ももをぽんぽんと叩く。
ワイルは少し躊躇しながらも膝枕をさせてもらう。
「メディアの顔が乳で見えないな。あ、そうだ。僕様くらいの人間なら、膝枕じゃなくて乳枕でもいいんじゃない?」
「それはいや」
「……減るもんじゃないだろ」
「仮に増えたとしてもやだ」
言い合いをしつつも、やがてワイルは頭を上げ、顔を隠しながらベットに倒れ込み照れ隠しのように背を向けた。
しばらくすると、ワイルの呼吸が寝息に変わった。
「あ、寝ちゃった」
メディアが小さく肩をすくめたその時
ワイルの口から、かすれた声が漏れた。
「……母上……行かないで……」
小さな手が布団をぎゅっと握り、頬に涙が伝っていた。
メディアは驚き、しばらくその寝顔を見つめた。




