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艶刃のワームブレイカー  作者: 綿鍋コットン
EP.10 機械触手と魔法男の娘
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本編② 歯車と蒸気の街

蒸気と歯車で出来たコロニー惑星「ハンザード」にある蒸気炭鉱の街「グルマハ」

空は常に白い煤煙に覆われ、巨大な歯車仕掛けの都市が蒸気を噴き上げていた。

列車は真鍮のレールを走り、飛行船が行き交っていた。

そこに停船港から来た列車を降りる二つの人影があった。

一人は頭に白い浮遊式の環状サークレットが浮び、スリングショット水着の様な服にニーハイブーツ姿といういつもの格好のメディア。

もう一人は、魔法少女を思わせるフリルの多い衣装を身につけたフェイリス。

青みがかった銀髪をツインテールにしており、上下セパレートの服に多重フリルのスカート、萌え袖風のアームカバーと装飾付きのロングブーツを合わせている。

杖の頭部と胸元のブローチにはめ込まれた魔導石が淡く光っていた。

「つ、着きましたね…」

メディアの方をチラチラ見ているフェイリス

「ほうはへ〜」

メディアはお弁当のエビフライをもぐもぐ咥えながら答える。

ラグシュオンを停船港に停泊させ、街の依頼所に行く為に列車に乗ったのだが、メディアが駅弁を食べたいと30人前買ってきて着く前にほぼ平らげており、最後の一個を名残惜しいそうに食べている。

そこに

「お待ちしてました」

頭にハットにゴーグル、ワイシャツにデニムのズボン姿の男が現れる。

「女性のワームブレイカーさんとその相棒の男性が来ると聞いていたのですが…男性の方は……?あ、初めましてわたくしガイドの「バイル」と申します」

男は驚く素振りを見せるながら自己紹介をする。

「あ、あの…僕がその男性です」

フェイリスが申し訳なさそうに手を挙げる。

「え?」

バイルは驚くと

「フェイは家庭の事情で12歳まで女の子の格好をしなきゃいけないの」

メディアはフェイリスのフォローをする。

バイルはさらに驚き

「いやはや綺麗な姉妹かと思っていたらそんな事情がありましたか、失敬。」

ハットを脱ぎ頭を下げるバイルに「良いんです!良いんです!」と慌てるフェイリス。

「ではこちらへ」

バイルは二人を案内する為にフェンスに囲われた歯車仕掛けの昇降機の前に連れていき、スイッチを入れると蒸気が吹き出し、蒸気と歯車で下層へと降りた。

そこは常に蒸気が視界は濃霧のように白い。

配管が網の目のように張り巡らされ、そこから時折、金属音と共に冷たい蒸気が噴き出す。

昇降機から降りると油と錆びた鉄の匂いがし、床も敷鉄板の足場になっており、メディアとフェイリスのブーツの踵の音がカッカッ、トットと響く。

「蒸気管から触手みたいな影が煤煙の奥に見えた」「パイプの中に引き込まれた者がいる」「最近観光に来た気怠そうな美人が帰ってから明らかに触手が出る様になった」など声が聞こえる。


不意にメディアが

「……なんか、いる」

メディアの紫の瞳が細められ、艶刃に手をかけた

しかし何もいない……。

配管の奥から金属に絡みつくように伸びる触手が様子を見ている、機械化し蒸気と歯車を操っている

それは「機械触手生物スチームギアワーム」とでも呼ぶべき異形。

蒸気管に寄生し、そこからエネルギーを吸い上げ、闇に蠢く異形の者は確実に進化し始めていた。

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