本編③ 探索
翌朝、メディアはハナエに案内されてワイダの寺院のような建物へ。
石畳を渡り、障子のような戸を抜けると、畳に似た敷物と木造の広間が広がっていた。
僧侶のような衣を纏った人々が座禅を組み、静かに呼吸を整えている。
「ここでは、心を無にして自分自身を見つめ直し、雑念を祓い精神を統一する時間を大切にするの」
ハナエは穏やかな笑みで説明した。
メディアは不慣れながらもハナエに教えてもらい"結跏趺坐"という座り方をして、目を閉じて呼吸を整えた。
目を閉じると周囲の空気はひんやりと澄み、時間が止まった様な感覚がメディアを包み込む。
しかし
「これ終わったら何食べよう」
とメディアが考えてニヤニヤしていると肩を警策と呼ばれる平たい棒でパァンと叩かれてしまう
「痛〜い!」と声を上げるメディアに微動だにせず「余計な事は考えちゃダメなんよ」とたしなめるハナエ。
口を尖らせながらもメディアは目を閉じ、心を無にして精神を集中させる。
すると今までは大小の波があり、制御してなかったメディアの体に流れている艶力がまるで清流の様に穏やかに流れ、自然に身体中に馴染んでいった。
その事にびっくりしてしまい、また肩を叩かれるがすぐ座禅に戻り、艶力の循環を確認するメディア。
(これ上手くいけばもっと艶力を効率良く使えるかも!)
いままでは生まれ持った古代種で群を抜く圧倒的な艶力量の高さと
子供ながらの自由で柔軟な発想でやっていたが、艶力を効率良く使えばまだまだ色んな事が出来るとワクワクしていた。
座禅が終わった後、メディアはハナエに「ありがと〜」興奮気味に抱きつきハナエは少し驚いた顔をしていた。
その日の午後、町を散策する二人。
人々は和やかに生活しているが、路地裏に入ると異様な印が何かの目印の様に書かれていた。
「ハナちゃ〜ん、これ何?」
メディアが指差すと、ハナエは険しい顔をした。
「これは……本来の印じゃない…。触手様を崇めている人はこんな書き方しない…これはまるで……ほんまにあのクソども……」
と印を睨みながら声がどんどん低くなるハナエをメディアが宥めた。
心地よいはずの静かな文化体験の中に、じわじわと不穏な影が忍び寄っていた。
メディアは胸の奥に小さな嫌な予感を抱えながら、ハナエと共に歩を進めた。
その夜、宿に戻ったメディアとハナエは机を挟んで歴史書と地図を広げていた。
「あの印の書き方は…本来のワイダの教えとは違うんよ、触手様を利用していたあいつらの間違った書き方にそっくり…」
ハナエは神妙な面持ちで呟く。
「聞きづらいけどハナちゃん、この印ほかに見覚えある?」
「彼らが当時アジトとしていた廃寺院があるんよ」
「……よし、とりあえずその廃寺院に行ってみるか」
メディアはやる気満々でいた
「わたしも行くよ」
「ハナちゃん…?」
「わたしにも知る権利はあるんよ…」
メディアとハナエは一緒に夜道を歩いた。
昼間は和やかな街道も、夜になると妙に不気味な気配を帯びる。
廃寺院の近くになると石碑や石像があり、そこに奇妙な印が刻まれていた
「この印だ、これ、何の意味……ハナちゃん!!」
メディアがハナエの方を向くと大声を出す
ハナエの後ろに大きな触手生物がいた




