本編② 触手信仰の惑星「ワイダ」
数日後、体が戻ったメディアはリオンから新しい任務を告げられた。
「ワイダで妙な動きがある。触手を神聖視する文化を逆手に取った連中が暗躍しているようだ」
「ワイダか…触手を大事にする星なんだよね。ハナちゃんが言ってた」
空間に表示されている資料に目を通しているメディア。
「昔、行き過ぎた触手信仰の触手教団が存在していたからな、それの再来になるのが危険なんだ。調べてきてくれ、場合によっては…」
リオンの言葉にメディアは重い表情で何も言わずにうなずいた。
ワイダの京「西京東」に降り立ったメディア
すぐ目に飛び込んだのは独特な景観だった。
木材、土、紙などの自然素材を使い、気候や風土に合わせて造られた街並みの中央には巨大な触手を祀った神社。
田んぼがありそのすぐ側の触手を模した石像に花や供物が捧げられている。
市場では「触手」を象った木彫りの工芸品が並び、人々の態度は穏やかで、触手に対しての「敬愛」が感じられる。
「……すごいや。触手が“神様”みたいに扱われてる」
メディアは少し圧倒され、足を止めていた。
すると道ゆく人々はメディアのスリングショット水着の様な服とニーハイブーツに「異星の人は大胆だねぇ…」「よっぽどスタイルに自信あるんね…」など目を丸くしており、それに気づいたメディアはイエ〜イとピースをしたりしていた。
すると遠くから「メディアちゃ〜ん!」と声が聞こえる。
そこで合流したのは、かつて研修生として共に過ごしたハナエだった。
ハナエとは事件以降メールで連絡をとりあいお互いの事を報告しあう中で、今回ワイダに行くと聞いて里帰りを兼ねてガイドを買って出てくれた。
メディアも「ハナちゃ〜ん」と再会のハグを交わし
「いらっしゃい、メディアちゃん。ここが私の故郷で惑星ワイダの京 「西京東」 だよ」
ハナエの表情はどこか誇らしげだった。
だが、同時に彼女は真剣な眼差しで続ける。
「……でも、今は触手様を悪用しようとする者たちがいるんよ。私たちにとって神聖な神様を汚す行為……絶対に許せない」
メディアは無意識に自分の胸に手を当てた。
「……わたしにとって、触手は……うん、ちょっと複雑かな」
その言葉にハナエは小さく微笑んだ。
「わかってるよ、ワームブレイカーになるくらいだもん…むしろ依頼を引き受けてくれてありがとうね」
その後ハナエに連れられて甘い物と美味しい物食べ尽くしツアーが開催され、メディアは鯖の味噌煮、カツ煮、焼き魚をおかずに白米をいっぱい食べ、デザートとしてたい焼き、どら焼き、羊羹、きな粉餅を平らげる。
「さすがメディアちゃん、どれも美味しそうに食べてくれるから食べさせがいがあるね〜」と上機嫌のハナエとまだまだいっぱい食べたいメディアの食べ歩きは夜まで続いた。
その夜、宿に行く前に見回りで街を歩くメディアは妙な気配を感じた。
供物が荒らされ、触手像の前に不穏な印が刻まれている。
「……やっぱり、何かが起きてる」
メディアは腰に手を当て、闇の中を見据えた。




