本編⑦ 黒衣の男
メディア、フェイリス、そして巨大ネズミのグラストはさらに壁や床の紋様は赤黒い光が血管のように脈動している地下道を奥に進んで行く
やがて開けた空間に出た時に天井から吊るされたように鎮座する巨大な繭。
中には何かが蠢いており、時折手足のようなものが外殻にぶつかっては形を歪ませていた。
「な、なに…これ…?」
メディアは繭の周りを見渡すと繭の前にメディアが広場で見た黒衣の男がいた
その人は古びた鍵を繭の根元に差し込み、赤黒い光を流し込んでいた。
鍵は脈動し、繭全体が不気味に赤く輝く。
「……成長せよ……目覚めの時は近い……」
男の声は恍惚に震え、まるで我が子をあやすようだった。
「この子が目覚めれば…調停者が…ルルリ様が俺のものに…ふひははは」
男は狂ったような笑みを浮かべる
「やっぱり、この街を乱していたのはあの人か……!」
メディアが飛び出そうとした瞬間、フードの下の目がぎろりと光り、こちらを捉えた。
「……見ーたーなー」
冷ややかな声が響き渡り、繭にヒビが入り、内部の何かが生まれようとしていた
その瞬間ヒビから触手がフェイリスに伸びる、フェイリスが防御の魔法陣を展開するが繭から放たれた触手は魔法陣ごとフェイリスを薙ぎ払う
「フェイリス!」
メディアが叫ぶ
背後でグラストが震えながら囁く。
「やべぇぞお嬢ちゃん達……」
メディアは艶刃の刃を形成した
繭が裂け、内部から現れたのは
巨大な蜘蛛の様な他脚
海鼠の様な細長い胴体に艶めく鱗のような皮膚
蟻様な頭と大顎
背中には黒茶色の粉をまき散らす蛾の羽。
そして体の中を無数の触手が飛び出したり引っ込んだり蛇のよう蠢いている
異形の蟻の様な触手生物は奇声を発した。
黒衣の男が
「産まれた!これで俺はここの覇者に!!」
男は恍惚とした顔で鍵を掲げた。
しかし次の瞬間
触手生物は真っ先にその男へと襲いかかり
「なっ……なぜ……! 我は選ばれし――ぐああああッ!!」
悲鳴は飲み込まれ、骨が砕ける音とともに大量の血が地面にかかる
「……食べられた…」
メディアは目を見開き、艶刃を構えている
「メディアさん…気を…つけて…」
薙ぎ払われたフェイは体を起こし杖に光を集めていた
触手は地面を叩き割りながら鞭の様にメディアに襲いかかる
メディアは跳躍し、艶刃を横一文字に振るった。
触手が一瞬で両断され、断面から蒸気のような瘴気が噴き出す。
メディアは触手生物の懐に入ろうと近づこうとするが触手に阻まれ距離を取り、指先に艶力を集中させ弾の様に飛ばすが触手が集まり盾になり本体への攻撃は阻まれる
(くっ…どうしよう?このまま艶撃を撃ち続けても艶力を消費するだけだし…)
メディアは苦笑いする
その時フェイリスは……
フェイリスの足元に魔法陣が発現し
「ズ・ゼヒル・ジャ《我、癒す者なり》」
体の傷を癒していた
「考えてる場合じゃない!」
メディアは背中に羽、左手に鉤爪を作り、脚に艶力を集中させて駆け出す
高速で動き触手生物はメディアを追いきれず
メディアは胴体を蹴り上げ艶刃と艶爪で切り刻み、頭に踵落としを入れる
「これでぇぇぇ!!」
艶爪を触手生物に突き刺すが、刺した傷口に触手が集まりメディアは捉えられてしまう
「しまっ……」
「ズ・ゼライ・ジャ《我、雷を操る者なり」
と声が聞こえ、どこからか雷が触手生物を襲い、メディアを拘束している触手が緩み艶刃で触手を切り裂く
声の方を向くとフェイリスが杖を構えていた
「ありがとう、フェイリス!よーし!!」
メディアは高く飛び上がり、艶力を体に纏い触手生物に突っ込んでいく
「これが、新しいわたしの必殺技!!「艶突撃」だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
触手生物の頭から体を貫き、唸る蛇の様に何度も触手生物を貫いた




