本編⑥ 下水道での出会い
地下道は古い魔法陣の回路で組まれており、壁には流れるような紋様が光っていた。
だが壁や床のところどころに赤黒い紋様が脈動が走っている。
「……あの鍵の影響…ですかね…。」
フェイリスの声は緊張を含んでいた。
メディアは赤黒く脈動している紋様を指先でなぞりながら呟く。
「まるで血管みたいで気持ち悪い」
突如、湿った空気を震わせるような羽音が響いた。
「――ッ!?」
暗闇から現れたのは、巨大なゴキブリの群れ。
黒光りする外殻に赤い魔導光が脈打ち、目は不気味に光を放っている。
「ゴキブリ?!デカっ!気持ち悪っ!」
「こ、こんなの……普通じゃない!」
リズはすぐに杖を構え、メディアはニーハイブーツのホルダーから艶刃を取り出し紫色の光の刃を形成した。
先頭の一匹が突進してくる。
メディアは咄嗟に横へ跳び、艶刃を振るう。
火花のような光を散らして、甲殻が割れる。
一方、リズは杖を構え唱える。
「ズ・ゼエン・ジャ《我、炎を操る者なり》!」
杖先から炎の球が飛び出し、ゴキブリの群れの中で炸裂する
群れを退けた後、壁の紋様の赤黒い光が無くなっていた
「も、もしかしてあの赤黒い光の影響…?」
フェイは真剣な表情で呟いた。
「あの鍵を放っておいたら…」
そう呟くメディアの後ろに巨大なネズミがいた
「メディアちゃん!」
フェイの言葉に振り向きながら切りつけようとメディア
「待った待った待った、俺は敵じゃねえ!」
170㎝くらいありそうな巨大ネズミは両手をぶんぶん振って叫んだ。
メディアは艶刃をピタリと止めつつも、じとっと睨む。
「暴力反対!ネズミにも人権…いや、ネズミ権がある、今裁判起こしたらこっちが勝つぞ!良いのか?!罪もないネズミを殺してSNSでも総叩きで大炎上確定だぞ?!な?な?頼むよ〜、その光る剣を収めてくれよ〜」
とゴマをする様に手を擦り命乞いしていると
メディアはネズミから光刃を離し、「あっぶね〜」とぜぇぜぇ言いながら汗を拭う仕草をするネズミにフェイリスが
「……ず、ずいぶん人間くさいネズミですね…」
「そりゃこんな風になっちまったら人間くさくなるわ」
とネズミが反論した
ネズミは胡座をかきまるでタバコを吸う様な動作で喋り出す
「オレはグラスト。下水の帝王って呼ばれてんだ。あ、俺の事は気軽にグラと呼んでくれて構わないぜ」
「は…はぁ……」
フェイリスはなんかめんどくさい人に捕まった時の様な苦笑いする、メディアはそんな様子を見て艶刃の刃を消す
「いや〜地下道で悠々自適に暮らしてたら変な鍵みたいなのを持った黒衣の奴が現れてな、そしたら地下の空洞に繭みたいのも現れて、そこらじゅうに赤黒い紋様が現れるは虫は暴れるわ、川の魚はまずくなるわで、生活がたまったもんじゃねぇ!」
「それどこ?どこなの?!」
メディアはグラストに掴みかかる勢いで問い詰める
「おいおいおい、どうしたんだよ?!」
「僕たちはその鍵を持った黒衣の人を調べに来たんです」
「なるほど……、そんな理由か、まあ、あの黒衣の連中のせいで俺も地下のエサ場をゴキブリどもに荒らされて他の場所を荒らしに行かなきゃいけなくなっちまったからな…よし、俺もあんたらに協力するぜ。」
「いらない!」
グラストの言葉をメディアは一蹴する
「おいおい、どの道が危ないとか、どこに何があるとか、オレにしか分からねぇ道がいっぱいあるんだぞ?必要だろ?」
メディアとフェイリスはアイコンタクトしてお互いに俯き
「じゃあ、ガイドお願い」
「おうとも!料金は後払いで頼むぜ!」
「じゃあ、いらない」
「おいおい、冗談じゃないか〜、それくらい受け入れろよ〜その乳や尻くらい器デカくなれよ〜」
メディアは少し微笑み、グラストを見つめながら握っている艶刃の紫の光刃を形成する
メディアとグラストを見ながらフェイリスは深いため息をつきつつも、微かに笑っていた。




