本編⑤ 手がかりを探せ
魔導院を出て、メディアとフェイリスは賑やかな大通りを抜け、路地や小さな広場を巡りながら人々に声をかけていった。
街路には魔導灯が等間隔で浮かび、昼でも淡い青白い光を揺らめかせている。
「ねぇフェイリス、この街って歩くだけで楽しいね!」
「観光客にとってはそうですね……僕にとっては見慣れた風景ですけど」
そう言いながらも、フェイリスの口調にはどこか誇らしさが混じっていた。
休憩がてら入った魔導喫茶。
店内のカップは魔力で浮遊していて、注文すると自動でテーブルに並ぶ。
メディアはパフェを食べながら店員にさりげなく尋ねると、彼女は声をひそめた。
「この辺りの路地で黒衣の男を見たってお客がいたのよ。壁に向かって何かしてて一瞬暗くになって……」
その言葉にメディアは表情を引き締める。
さらに川辺に下りると、釣りをしていた青年が話してくれた。
「昨日の夜、川面に赤い模様が浮かんだんだ。魚も逃げて、まるで川の水が血に変わって脈打ってるみたいで……怖くて家に逃げ帰った」
フェイリスは真剣に頷き、メディアも真剣な顔をしていた
その後メディアは市場でお菓子を買ったり、露店の魔導アクセサリーを手に取ったりしてはしゃいでいた。
「あ、これ、かわいい!」
魔導石のイヤリングを持ち上げ買おうとしているメディア
「メ、メディアちゃん、調査中だよ…?」
「ちょっとくらい、いいじゃん」
そんな調子で、真面目な聞き込みの合間に子供っぽい笑顔を見せるメディアに、フェイリスは戸惑いつつ口元を緩めてしまう。
夕暮れ時、二人はまた大通りへ戻ってきた。
赤く染まる空に浮かぶ魔導塔が、低く不吉な音を響かせていた。
「あと調べてないのは地下道ですね」
フェイリスは顎に手を当てて考えていた
「ベタすぎるから敬遠されがちだけどアジトがある可能性もあるね」
メディアは夕日に照らされた横顔をきりっとさせた。
フェイリスもまた、真剣な瞳で頷いた。
「行ってみる価値はあります」
メディアとフェイリスは下水溝前で人目を避けて下水溝の鉄格子を開けた。
湿った空気と魔導灯の残光が漏れ、地下へ続く道がぽっかりと口を開けている。
「……臭い。けど、仕方ないね」
メディアは鼻をつまみながら降りていき、フェイリスは持っている杖の杖頭の魔導石を灯した。




