本編② 現れた魔法使い
鍵が差し込まれた魔法陣は、赤黒い光に包まれ、街の明かりを脈動するように少しづつ奪い取っていった。
華やかだった魔法陣はすっかり色を失い、ただ冷たい黒く沈んでいく。
「……あれ、ただの鍵じゃない……」
メディアは眉をひそめ、視線を向けた。
やがて、鍵は満足したかのように鈍い輝きを放ち始めた
黒衣の男はそれを確かめると鍵をすっと引き抜いた。
その瞬間、赤黒い光はすべて収まり、魔法陣は何事もなかったかのように再び光を取り戻す。
通りの人々は気づきもせず、踊りに夢中だ。
「……ちょっと、今の……!」
メディアが駆け出した時には、男の姿はもうなかった
まるで最初から存在していなかったかのように、人混みの中へ溶けて消えていた
残されたものは何もない
鍵が挿し込まれた柱も何も変化はない
「…………」
メディアは広場の熱気に紛れながらも、肌の奥を撫でる冷たい悪寒に肩を震わせる。
その時、背後から鈴のような声がした。
「あの……、あなたが、星間警察から派遣されたワームブレイカーの方ですか?」
振り返ったメディアの前に青みがかった銀髪をツインテールにした愛らしい女の子が立っていた。
声も仕草も可愛らしく柔らかく
まるで魔法少女を思わせるノースリーブに萌え袖風アームカバー、お腹の出る上下セパレートのデザインになっていて、持っている杖頭部に魔導石が埋め込まれた杖と胸元に飾られたブローチの魔導石が淡く光っている。
「あれ?ガイドの子って男の子って聞いてたんだけど?」
メディアは目を丸くしてつい口に出す。
ツインテールの子は持っていた杖を壁に立て掛け、スカートの裾を摘まんでお辞儀をした。
「はい。僕はフェイリス・リリアス。こんな見た目ですが男です。サウザリー星間魔導院から、あなたの案内を任された者です。」
「え?えっ?えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!」
メディアはその言葉に目が飛び出しそうなほど驚くとフェイは慣れた感じで
「僕のリリアス家では魔力は女性から生まれるものと考えられており、「男子の魔力を高める為に12歳まで女性として育てる」と言うしきたりがありまして…」
「へぇー」
メディアはそんな文化もあるんだと斬新な驚きを楽しんでいた
フェイリスは歩き出しながら、街の奥へとメディアを誘った。
「この星では、魔法と科学を織り合わせることで都市を守っています。ですが最近、見慣れない魔導具を使う者たちが現れて……それが、メディアさんに調査をお願いしている件と関わっているようです」
「堅苦しいからさん付けやめて」
「え?」
「せめてちゃん付けで呼んで!」
「で、でも…」
頬を膨らますメディア
「メ、メディアちゃん」
フェイリスのその言葉にメディアは頷きながらも、先ほどの光を吸う鍵を思い出す。
「……やっぱり、あれもそうなんだ」
「……えっ?なにがですか?」
フェイリスの瞳が一瞬、真剣な光を帯びた
「うん、さっき柱から光を吸ってた」
メディアのその言葉に驚き考え込むフェイリス
(こうして見ても女の子にしか見えない…)
とメディアはフェイリスの愛らしさに見惚れてしまう
「???ぼ、僕の顔に何かついてますか?」
フェイリスは慌てて手で顔を擦る
「え?ううん、なんでもない」




