本編① 魔導の星
ーラグシュオンブリッジー
スリングショット水着のような服とニーハイブーツ姿で頭に白い浮遊式の環状サークレットが浮かんだメディアがくつろいでいるとリオンから通信が入った。
「メルディア、次の依頼だ。行き先は魔導の惑星「サウザリー」だ」
「え?あの平和な惑星?」
メディアは首を傾げる。
リオンは真剣な声で続けた。
「サウザリーは魔法と科学が融合した特異な星だ。街そのものが魔法陣で組まれていて、魔法を操る文化を持っている。だが最近、その魔法の力を触手に転用させようとしている奴がいると依頼が入った」
メディアは顔をしかめ、艶刃の柄頭に触れる。
「あんな平和な惑星なのに」
「平和だからこそ、狙われるんだ」
リオンの声にどこか不安が滲んでいた。
ラグシュオンの結晶が強く輝き、周囲の空間が揺らぐ。
星々の光が溶けて線となり、時の川のように艦を飲み込んでいく。
視界は白に包まれ、身体がふわりと宙に浮いたかと思うと
次の瞬間、ラグシュオンのブリッジに淡い光が差し込む。
《目標座標に到達しました。惑星サウザリー、軌道上に突入します》
人工知能AI「ラグ」の落ち着いた声が響く。
メディアは座席に腰かけたまま、パフェを食べており「早っ!」と漏らす
ラグは少しだけ間を置いて返す。
《これから着艦許可を取りますのでメルディア様は何もしないでください。余計な事すると話がややこしくなるので》
「ちょっとラ〜グ〜」
とメディアは不満げな顔をするが、ラグはメディアの前にパフェを差し出して機嫌を取る
その後メディアの服装に関して惑星間宇宙ドックの管制室とやりとりがあったが無事
着艦許可が下り
《着陸許可、下りました。メルディア様、準備を》
ラグの声に頷いたメディアは
「よ〜し、最強美少女ワームブレイカーのメディアちゃん、出動!」
スリングショット水着の紐を引っ張りパチンと音を鳴らし、ブーツの踵を鳴らし、胸を張って笑う。
サウザリーの都市「バチプ」に降りたメディア、そこは科学と魔法が一つに溶け合った都市だった。
建物は科学的な合金の骨組みと、魔法で編まれた光の布で覆われており、現実と幻想が融合していた。
街ゆく人の服装もRPGの世界の様な格好をしており、メディアの格好が目立たない
光に包まれた大通り、石畳の上を走る電脈のような光は、歩く人々の靴に反応して小さな魔法陣を描き出す。
「わぁ…………!」
メディアは跳ねるように歩き、その度に魔法陣が弾む光を放つのを楽しそうに眺めた。
市場に入ると、露店には魔導楽器や魔科学工学の小物が並んでいる。笛を吹くと魔法陣が浮かび、簡単な火花や水滴が舞う「魔導笛」。
魔法陣とランタンを組み合わせ、振れながら動く「浮遊ランタン」。
魔法石に情報を記録できる「メモリクリスタル」。
メディアは思わず目を輝かせていると
「この街は初めてかい?」
露天の老人が話しかけてきた
メディアは「うん!」と首を振ると老人はメディアに笛を渡す
メディアは笛を手に取って吹いてみる。
「ぴぃーっ」
その瞬間、頭上にハート型の光がぽんっと浮かび上がり、通りすがりの子供たちが笑い出した。
「えへへっ、楽しい! これ、ちょっと欲しいかも!」
広場の中央では、市民たちが舞踏ショーを披露していた。
リズムに合わせて光の魔法陣が床や空に次々と浮かび、幻想的な空間が広がる
メディアはぽかんと口を開け、しばらく踊りに見入っていた。
「すごい……こんなの…こんなの初めて初めて見た!!」
だが、賑やかな空気の中で、メディアは一瞬の違和感を覚える。
広場の片隅で、黒衣の男が柱に奇妙な鍵を近づけると鍵の先に魔法陣が現れ、その魔法陣に鍵を挿し込んだ。
鍵は赤く脈打ち、周囲の魔法陣の光をまるで血を吸っているかのように見える。
「……あれ、なんだろ」
メディアは無邪気な笑みを引っ込め、艶刃の柄にそっと手を伸ばした。
街は明るく満ちている。
けれど、その裏に潜む不穏な気配は確かに存在していた。




