本編② 超人薬
潜入捜査でサンジェア学園に転入したメディアは「顔と頭とスタイルと運動が凄い子」と一躍有名人になってしまっていた
学園内を歩くと女生徒に囲まれ、「あやかりたい」や「どんな感触なの?!」と胸や腰やお尻を触られ流石のメディアも苦笑いが漏れる
遠くではそんなメディアを気に入らない女生徒が何人もおり、メディアにちょっかいを仕掛け、靴を隠したり運動の授業でわざと体当たりをしたがどれもメディアには効果無く無意識の返り討ちにあい、いつしかメディアの事を「姉さん」「お姉様」等呼び心酔するようになりメディアを困らせていた
「まあ、学園生活を謳歌するは悪くないが調査は進んでるのか?」
人気のない場所でチョーカー型のデータ端末を使い報告をするメディアにリオンが聞きながら問う
「う~ん…なんか全然触手生物の気配が無くて、何も起きてないし」
「もしかしたら急な転入生を警戒して控えているのかもな」
「え?!それじゃわたしがいる間は何も起こらない可能性?」
「あるかもな。ただ向こうさんはメディアがいなくなるまで何年も潜伏するわけにもいかないだろうな、触手生物がいるならその間の食事があるからな」
「近隣の人やペットがいなくなったって話も聞かないから、触手生物に我慢させてるのかな?」
「もう一つ考えられるのは…」
メディアの後方からメルアさーんとメディアを探す声が聞こえる
「ごめん、午後の授業が始まっちゃう」
「あぁ、わかった。ちゃんと勉強して一般常識を身につけてこいよ」
メディアはリオンの言葉に「べぇー」と舌を出してチョーカー型の通信機の通信を切る
「……まったく、お前はあんな感じでも7歳なんだからもっと戦う事じゃ無く平和な学園生活や友達をもっと作ってエンジョイしろ……」
メディアの報告に少し頬が緩むリオン
リオンの近くにあるデータ端末に事件現場で床に転がっていた空容器の中の液体から"超人薬"の成分が発見されたと報告が入る
その報告を見たリオンはやはりか…と呟く
ーー超人薬ーー
体に投与し、適応することで細胞組織を活性化させ、肉体強化、精神耐性、温度耐性・衝撃耐性・汚染耐性・空間耐性など多岐に渡る力が手に入る。
しかし投与者が薬に適応出来ない場合、知能の無い触手生物になってしまう
超人薬の成分はカトレア人の古代種の血で出来ており
「誰の血だ…シェルア……か…?」
メディアの母「シェルア・ガディス・ミルーカ」の名前を呟くリオン
「いや、シェルアはメルディアが産まれてすぐ亡くなっているはずだ…、じゃあ誰が…?他の古代種がいるのか……?」
(メルディアを…お願いね……)
リオンの頭の中にシェルアの最後の姿と言葉が鮮明に蘇る
(今は思い出している場合じゃない…)とリオンは記憶の片隅に追いやりこの事をメディアに伝え、彼女が暴走しないかを考え、深くため息をついた
放課後、人気の無い校舎の裏でメディアはリオンからの通信内容を無言で聞いていた。
その艶やかな紫の瞳がかすかに震えはじめ
左手に過剰な艶力が流れ込んでいた。
「お母さんの……血?」
「あくまで可能性だ、カトレア人の古代種はシェルアとメルディア以外に存在は確認されていない、いやシェルアとメルディアだけが確認されているのか」
「…………」
「確認されていないが他のカトレア人の古代種が関わっている可能性がある、超人薬の出所を…」
メディアは怒りに任せて地面に艶力を叩き込むけたたましい音とともに地面が抉れる
メディアの剣幕に言葉を失うリオンだが
「メルディア落ち着け」
と声をかける
「落ち着いてる…でもお母さんの血を悪用するなら許さない」
静かだが沸き上がる怒りや何かの決意を感じさせる口調だった
突然の轟音に女生徒達が集まり声が聞こえメディアは慌てて艶力を足に集中させ校舎の壁を蹴りながら登り屋上に隠れる
屋上から何人かの女生徒が騒ぎと逆の方向に走っているのが見えた




