第67話 細長きボス
本日作者の誕生日でございますー!
イエーイ!!
海底ピラミッドの奥で、俺達はボスに出会う。
その姿は……
「「「「「ウナギ!/チンアナゴ!/ウツボ!/ウミヘビ!/モンゴリアンデスワームだ!」」」」」
全員がお互いの顔を見る。
「「「「「いや、ウナギ!/チンアナゴ!/ウツボ!/ウミヘビ!/モンゴリアンデスワームだろ!」」」」」
まさかの宗派争いが始まった。ちなみに俺はウツボ派。
「鑑定したらグレートウミミミズって出たよ」
「「「「「……捻りが足りなくね?」」」」」
海のボスなのにミミズはねえよ。
なんてがっかりしてると、グレートウミミミズがヴォォォォと雄たけびを上げる。
「いやどうやって声出してるんじゃアレ?」
「くるぞ!」
グレートウミミミズの攻撃はシンプルだった。
壁に空いた穴からまっすぐに飛び出す突撃攻撃。
さっそくプレイヤーの何人かが迎撃するが、グレートウミミミズはダメージを受けた様子も見せずに反対側の穴に飛び込んでゆく。
よくみればこのへや、四角い部屋の四隅前部に穴が開いている。
どうやらこの穴からグレートウミミミズが出入りしているようだ。
「突撃中は無敵か? それとも正面だけバリアみたいなものがあって側面狙いか?」
さっそく考察班のプレイヤー達がグレートウミミミズの攻略法を考えている。
「気を付けろ! 穴から何か出て来るぞ!」
プレイヤーの声に穴を見ると、壁に空いた穴から無数の何かが飛び出してくる。
「うおお!? なんだこりゃ!?」
どうやらグレートウミミミズの攻撃は穴から突進とランダムにどこかの穴から無数の攻撃を放つ2パターンみたいだ。
「ぐぅっ!」
「これは……針みたいに尖った子ミミズだ」
負傷したプレイヤーの治療をしていたプレイヤーが謎の攻撃の正体を確認する。
「子供を投げるとか……と人間砲弾かよ」
「ミミズだから蚯蚓砲弾?」
「ちょっとカッコ良さそうな漢字になるのやめれ」
読みはミミズ砲弾だけどな。
「ぐわぁっ!」
うっかり突進攻撃を喰らったプレイヤーが吹き飛ぶ。
「う、うう……」
「大丈夫か!?」
だが、吹き飛んだプレイヤーは呻くばかりで起き上がれない。
そんなにダメージがデカいのか?
「スタンがかかってる! あの突進を喰らうとダメージだけじゃなくスタンを喰らうぞ! 気を付けろ!」
スタンはヤバいな。誰かに回復して貰うかターンが経過するまで何も出来なくなる。
特にソロでレイドに参加してるプレイヤーはヤバそうだ。
「パーティメンバーでなくてもスタンを喰らった者が居たら治療してやるのじゃ! 支払いはわらわの所に持ってこい!」
「「「「わかりました!」」」」
本当は本人同士でやって欲しいが、戦闘が終わってからスタン解除を待ってたのに勝手に回復されたとか治療したのに金を払ってくれないとかで騒動になったら困るし、それを警戒してレイド中にソロプレイヤーへの治療を渋られるようになったら堪らない。
ここはギルド運営の必要経費と思っておこう。
「尻尾だ! 突進中でもボスの尻尾は攻撃が通るぞ!」
と、ここでボスにダメージを与えられる方法が判明する。
ダメージを受けたボスは突進を止めてグルリと90度回ると横の穴へと逃げようとするのでプレイヤー達が殺到する。
「駄目だ! 尻尾以外はダメージが通らない!」
どうやら突進時以外でも尻尾しか攻撃は通じないようだ。
「こうなると的が小さくて全員で攻撃出来ねぇな」
「何?」
その言葉に周囲を見ると皆が尻尾を狙っている為、射角の問題で味方に誤射するのを恐れて攻撃を躊躇っているプレイヤー達がちらほら見られた。
そうか、アクションゲームのレイドバトルだとピンポイントな弱点を狙う為にこういう問題が起きるんだな。
「こりゃよくないのう」
一斉攻撃に参加できないとなると手持無沙汰になるプレイヤーが出る。
それは長期戦に繋がるし貢献度の奪い合いに繋がりかねない。
「ねぇ、上から攻撃すれば良いんじゃない? ここ水中なんだし」
「む?」
と、レフリスが天井近くに泳いでいって攻撃を行ってみせる。
「そうか! でかしたレフリス!」
「へへ、さっきディープマーワンが町の壁の上に行って中と話してたからさ」
成程、アレはこのための布石だったのか……いや違うか?
「よし、全員味方に当てない様に気を付けて尻尾に集中攻撃じゃ!」
「「「「おおーっ!!」」」」
円でボスを包囲していたプレイヤー達がフィールドを利用して半球の陣形に切り替わる。
そうしてプレイヤー達の総攻撃を受けたグレートウミミミズはたまらず穴の中に逃げていった。
「よし! これならいけるぞ!」
「へっ、逃がすかよ!」
と、プレイヤーの一人がギリギリまで尻尾を攻撃しようと穴の中に飛び込んでゆく。
「入れるのかアレ!?」
「普通のゲームなら無理だろうけどILLだからありなのか!?」
「あだだだだっ!」
が、すぐに全身を小ミミズに串刺しにされたプレイヤーが転がり出て来る。
「中は小ミミズの巣窟だ!」
成程、あの穴はミミズの巣なのか。
「ってことは中に攻撃すれば小ミミズの攻撃を妨害できるんじゃねぇの?」
「「「「っ!!」」」」
モヒカンのアイデアにプレイヤー達が一斉に穴の中に範囲魔法をぶちかます。
「こういうのをハメ技っていうんじゃろうなぁ」
「復帰待ちの一種と言えばいいんでしょうか」
ともあれプレイヤー達が穴に向かって一斉に攻撃したおかげか、小ミミズ攻撃の圧が下がった気がする。
「おっしゃパターン嵌ったな!」
などと調子に乗った事を言ったせいか、ボスの攻撃パターンが変化した。
なんとグレートウミミミズが穴から飛び出してきた瞬間回転を始めたのだ。
「うわぁぁぁぁっ!!」
たまらず吹き飛ばされスタンを喰らうプレイヤー達。
「クソッ、回ってるから尻尾に当たらねぇ!」
猛烈な勢いで回りながら反対側の壁までたどり着いたグレートウミミミズはトラックよろしくバックで穴に潜っていく周到さまで見せる。
更に巣を攻撃された怒りか、小ミミズの攻撃パターンまで変わった。
今までは各壁の一カ所の穴から飛び出してきたのが、全ての穴から飛び出してくるようになった。
「うぉぉぉっ!!」
流石に全部の穴から一斉に飛び出してくると圧がどうとかいってられない。
俺達は必死で回避に専念する。
「盾で壁を作って仲間を守れ!」
「「「「おう」」」」
すぐさま盾職のプレイヤー達が円形に整列して小ミミズの攻撃から皆を守る。
更に魔法職が盾職に防御魔法と回復魔法をかけて壁を強固にする。
中にいるプレイヤー達もただ守られている訳じゃない。盾にぶつかって弾かれた小ミミズを攻撃して敵の数を減らしてゆく。
しかしここで再びグレートウミミミズが突撃してくる。
しかも小ミミズの弾幕が止む前に。
「げぇーっ!!」
盾職の半分がこれに対応できずに吹き飛ばされる。
「弾幕ゲーかよ!!」
「リアルで弾幕ゲーは鬼畜すぎんだろ!」
「範囲攻撃だ! 範囲攻撃で確実に尻尾に当てろ!」
モヒカンの咄嗟の指示にプレイヤー達が範囲魔法を放つ。
「盾職は範囲攻撃を使える者を守れ! 無敵突進攻撃持ちは穴に向かってスキルを放て! 小ミミズの弾幕を防ぐんだ!」
「「「「おおっ!!」」」」
更にヒメキの指示を受けて突進時無敵状態になるスキル持ち達が小ミミズ達の弾幕を減らすべく穴に向かって飛び込んでゆく。
「おっしゃ敵の圧が減った! 撃て撃て撃て!!」
範囲攻撃の嵐はたまに味方にフレンドリーファイアするものの確実にボスを削ってゆく。
そして遂にボスが地面に崩れ落ちた。
いや最初から転がってるけど。
「「「「倒したぞーーーーっ!!」」」」
ボスを倒すと子ミミズ達も消滅してゆく。
『グレートウミミミズを討伐しました』
『経験値:26351』
「厄介なボスじゃったが、なんとか倒せたのう」
「思わぬところでレイドになっちゃったねー」
そうしてボスを倒した俺達は奥に転がっていた遺物を回収する。
「これでディープマーワン達も安心して神殿に入る事が出来るね」
「うむ、みな喜ぶじゃろう」
探索のし足りない一部のプレイヤーを残し、俺達はディープマーワン達にボス討伐の報告するため海底ピラミッドを出て町に戻って来た。
「おーい、魔物のボスを倒し……」
「大変だギョポォォォォォォォォォッ!!」
た、と言おうとしたのだが、当のディープマーワン達は大パニックに陥っていてそれどころではなかった。
一体何事?




