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のじゃロリ魔王姫さまはNPCじゃありません!~ネタキャラ? いえ、レアキャラです!~  作者: 十一屋 翠
第4章 幻妖大陸大戦編

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第51話 妖精大陸上陸…なんでや

 船に乗っていた筈が気が付いたら妖精の大陸に来ていました。なんでや。


「まさか初めての遠征で妖精の大陸に来てしまうとは……」


「シリーズ物のゲームで何も知らずに最高難易度のヤツから入っちまった新人ゲーマーみたいだな」


 分かりにくいたとえやめれ。


「あー、それで何故お主等は国家転覆を企んでおるのじゃ?」


「今我々妖精は大きく分けて二つの派閥に分かれているのです。ひとつは解放派。若者に多く他種族と積極的に国交を結ぼうとする派閥です」


 多分プレイヤーだな。


「あー、プレイヤーの事か」


「次に他種族との交流を嫌う鎖国派なのですが、この鎖国派が現在二つの派閥に分かれて争っているのです」


 おおっときな臭くなってきたぞ。


「大陸の一部を解放してそれ以外は鎖国する部分鎖国派と我々が所属する他種族の侵入を断固拒否する完全鎖国派の二つで、実質三つの派閥に分かれております」


妖精版三国志かな?


「部分鎖国派と完全鎖国派の違いは何なんじゃ?」


「部分鎖国派は国際社会から孤立すると危険だと考える者達の集まりで、情報収集と他種族を敵に回さない為に一部地域に限定して解放する事を考えている者達です」


 現代社会を知っている身としては理解できる考え方だな。


「しかしそんな事をしたら何か弱みを見せる度に解放された地域を増やす事を要求され、いずれは大陸全土を他種族に土足で荒らされかねません! 我々はそんな弱腰な者共からこの大陸を守る必要があるのです!! だから我が大陸から他種族を! 他種族を追いだ……っっ」


「お、おいバーソン!?」


 興奮したバーソンの頭に浮かんでいた魅了エフェクトがブレ始める。


「マルスくんちゃん歌って!!」


「っ!?『魔姫咆哮』!!」


 慌てて歌を歌うと、バーソンの表情がトロンとして魅了状態のエフェクトのブレが消える


「時間経過で効果が切れるのか? それとも精神が激しく興奮するのがマズイのかどっちだコレ?」


「ふーむ、姫のスキルも検証が必要だな」


 正直驚いた。いつもは魅了したら即カッシーが食べてたからな。

 食われるまで大人しくしてたから、外的要因で魅了が解ける可能性があったとは想定外だ。


「ええと、どこまで聞いたかの。ああそうじゃった。部分鎖国派は何かあった時に解放されたエリアを拡大される危険があるというのが完全鎖国派の主張じゃったな」


「はい、その通りです」


「けどよ、それだと解放派と部分鎖国派の両方を敵に回すことになるから不利じゃねぇか?」


「……」


「どうなんじゃ?」


「そのための遺物です。我々は大陸各地から強力な力を持った遺物を集めて回り、大陸の派遣を手にする為の準備をしているのです」


遺物、さっきの戦いで俺の攻撃を防いだヤツだな。確かに敵の攻撃を使い捨てでも完全にガードしてくれるとかいざという時の切り札としてこれ以上ない程頼りになる。


「船に乗っていたのもそのためか?」


「はい。強力な水属性モンスターを呼び寄せる遺物の力を試す為に持ち込みました」


「うん? 何でそんな厄介なものを船に乗っている最中に使ったんじゃ。自分が乗っている時に使ったら自分も襲われるじゃろ」


 実際船で遭遇した時、バーソンは想定外みたいな感じだった。


「遺物には壊れているものもあるので、壊れていたり勝手に起動したりする事もあるのです」


「何と、それでは迂闊に頼る事は出来んな」


 ギャンブルアイテムだったかぁ。

 数%の確率で不良品とかそんな感じなんだろうな。


「ん?じゃが人族の大陸行の船に乗っておったよな。本来はどうやって使うつもりだったんじゃ?」


「はい、人族の大陸にある他大陸への交易船が停泊する港でモンスターを呼び寄せ、交易船を始めとした人族の船に被害を出す事が目的でした。これで効果が確認出来たら我々の大陸の周辺に大型の水棲モンスターを呼び寄せ、他の大陸の船が侵入できないようモンスターの壁を作る予定だったのです」


「成る程、人族の国で実験してから試すつもりだったのか」


「意外と大掛かりな作戦だったんだね」


「大時化を巻き起こすディープシーツナが相手では水中用装備でも苦戦は必須じゃろうしなぁ」


「しかし呼び出したモンスターを完全に制御できるのか?」


「いえ、遺物では呼び出すだけで制御は不可能です。我々としても外からやってくる船を破壊してくれればそれで十分だったので」


 成程、自立駆動するドローンみたいな扱いなんだな。

 水棲モンスターを選んだのも自分達の縄張りである陸上が荒らされる心配がないからってところか。


「ふむ、その遺物というのは他にあるのか?」


「この砦の倉庫にこれまで集めた遺物を収納しております」


「まだ見ぬ新アイテム!? 見に行こうよ!!」


 という訳でレフリスに腕を引っ張られつつ倉庫にやって来た。


「わぁー! これ全部新アイテムなんだ! すっごー……っ!?」


「遺跡の一つを手にした瞬間、レフリスの目の色が変わる」


「どうしたんじゃ?」


 だがレフリスは俺の呼びかけに答えることなく他の遺物を凄い勢いで調べ始める。

 そして両腕に遺物を抱えあげると俺達の方に猛烈な勢いで駆けよって来た。


「凄いよマルスくんちゃん!! これ全部中間素材だよ!!」


「中間素材? どういう事じゃ?」


「これね! 消費アイテムとしても使えるけど、本質は中間アイテムなんだよ! この遺物達を組みあわせて生産すると新装備が出来上がるんだよ!!」


「何じゃと!?」


「へぇ、新装備とは面白いじゃねぇの」


「アイテムと素材の二つの効果を持つとは興味深いな」


「でも生産する為には一杯素材が必要みたい! だから……ね」


ニマリとバーソン達に流し目を送るレフリス。

成程、そう言うことね。


「バーソンよ、ここにある遺物を全部わらわに捧げるのじゃ!」


「はっ! 全てマルシェラ姫に捧げます!!」


「もっと欲しいなー」


「はいはい、お前達、わらわの為にこの大陸にある遺物を根こそぎ集めてくるのじゃ!」


「「「「ははーーーーーっ!!」」」」


 こうして、俺の為にアイテムを集める働きアリの軍団が誕生したのだった。


「いやー、完全に悪の女王のムーブだよなコレ」


「ある意味正しい姿だな。これはくっ、が捗る」


 うるさいよ外野。

 国家転覆に使われるくらいなら俺達に使われた方が遺物も喜ぶでしょ!


 ◆


それから数日が経過した。

チンピラは情報収集のために魅了した妖精を連れて近隣の町や村を巡り、現在地や交易船が出ている港町までのルート確認と現在の国内情勢を調べ回っていた。

他種族に対し排他的な妖精だが、意外にも妖精を連れていればそこそこ友好的に接してくれたらしい。


「って訳で交易船のある港町までは結構遠いな。国内ではまだ内戦にまでは発展しちゃいないが、かなりきな臭いらしい。お嬢が魅了したお陰で敵の動きが鈍ってるってのもあるだろうな。切り札である遺物をこっちが横取りしてる形だしよ」


 まさかの遺物かき集め作戦が予想外の方向で役に立っているみたいだ。


「とはいえ危険な役割を任せているのは変わりない。いざとなったら転移で屋敷に逃げるのじゃぞ」


「分かってるってお嬢」


 万が一俺達に砦が占拠されている事がバレるとも限らないので、皆にはいざとなったら呼び声の彫像の効果を使って転移で逃げろといってある。

 遺物の転移能力を使えないかという意見もあったんだが、これはこれで使い勝手が悪いらしく、登録した場所にしか飛べないらしい。

 一番の問題は遺物のデメリットでアイテムの効果が発動しない事なんだよな。


 モヒカンとの話が終わると次はヒメキがやってきて、もう完全に俺がこの砦の主みたいなノリで跪いてくる。


「砦内の妖精達から他の地域にいる完全鎖国派の情報を集めてきました。残念ながら全ての拠点と連携が取れている訳ではなく、近くの拠点と連絡を取り合うくらいでそれぞれの砦の内部状況は分からないそうです」


「情報漏洩を恐れてか」


「そのようです。ですので次のて定期連絡のために他の拠点からやって来る使者を姫の魅了で従えて情報を集める必要があるかと」


「あー、魅了のう、魅了……のう」


「どうかなさったのですか?」


 キョトンとするヒメキの問いに、俺はちらりとバーソン達の方を見る。

 尋問の際にバーソンの魅了が外れかけた事もあって、あれから俺は毎日彼等に歌を聞かせ魅了をかけ続けた。

その結果彼等は正気に返る事もなくなり、その頭には『心酔』というデバフ表示が浮かんでいたのだった。


「なんか、新しいデバフが湧いたのじゃ……」

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