第5話 NPCじゃありま……いえNPCです!
「やった! 男装美少女騎士とのフラグたった!」
あれ? もしかして俺NPCと勘違いされてる?
「いや、わら……」
自分はプレイヤーだと訂正しようとした俺だったが、ふと思いとどまる。
ここでバレると俺、のじゃロリ男装キャラを演じている痛い厨二病キャラにならない?
更に中身が男とバレたらのじゃロリ男装キャラを演じている超絶痛いネカマ野郎にならない!?
「……」
よし、NPCと勘違いされよう!。
俺はNPC! 誰がなんと言おうとNPCなんだ!
運営から再キャラメイクが許可されるまで俺はNPCなんだー!
「あ、あの、よろしかったらフレンドになってくれませんか?」
「え?」
フレンドとはゲーム内でプレイヤー同士が遠距離にいてもチャットで連絡したりできる機能だ。
他には戦闘中やイベント中に秘密の会話をするのにも役に立つ。
いいな、他のプレイヤーとパーティを組めればバトルも楽になるしな。
「あ、でもNPCとフレンドになるのは無理か」
フレンド申請を受け入れようと思った俺だったが、そこでNPC設定が阻む!
このゲームNPCとフレンドになれたっけ? いや普通に考えて無理か。
どうする!? やっぱりプレイヤーだったと明かす……事は絶対できーん!
「残念だけど偶然会えるのを待つしかないかぁ」
いかん、このままでは高クオリティ装備を作れるプレイヤーとの交流のチャンスが失われる。
のじゃロリ男装キャラをNPCと勘違いして交流してくれるプレイヤーとかどれだけいるか分かんねぇんだぞ!
何か良い方法は……そうだ!
「バットン、この娘と連絡を取る方法はあるのじゃ?」
教育係のバットンは色々教えてくれるってフレーバーテキストに書いてあった。
何か良い情報を教えてくれるかもしれない!
「遠くの友達と連絡を取りたいのなら魔通輪を使うといいット」
魔通輪? 名前的にマジックアイテムか?
「さっきよったお店に売っていたット」
「おお、さっそく買いに行くのじゃ! お主ええと名前は何じゃ?」
「え? 私? あか、じゃなくてレフリスです!」
「わらわはマルシ、マルスじゃ! マルスと呼ぶが良い!」
一応キャラ的に王族が流石にそのまま名乗るのはマズいよな。
キャラメイクで付ける予定だった名前を名乗ろう。
システムに勝手に女っぽい名前に変えられたからなぁ。
「分かりました!よろしくお願いしますね、マルスくんちゃん!」
「くんちゃん!?」
「あ、ごめんなさい。嫌でしたか?」
「い、いや好きに呼ぶと良いのじゃ」
まさか自分がネットミームみたいな呼ばれ方するとは思ってもいなかったぜ。
俺はレフリスを連れて店に入ると店員に魔通輪が買いたいと告げる。
「こちらが魔通輪になります」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
魔通輪
通信アイテム
対になっているアイテムを持つ者同士で連絡が出来る。
場所によっては通じない場合がある。
30000モール
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「30000!?」
魔通輪の値段に目を白黒させるレフリ。
確かに高いよな。普通の防具とかが700前後でクオリティの高い装備が2000位するのを考えても高い。
「買うのじゃ」
「即決!?」
貴重な高クオリティ装備を作れるプレイヤーとの繋がりの方が大事だからな。
金は後で稼げる!
俺は魔通輪を買うと片方をレフリスに渡す。
ええと、どうやって使うんだこれ? アイテム欄で使うを選べばいいのか?
「ここの宝石を押すット」
バットンの指示に従って宝石を押すと、目の前にサウンドオンリーと表示される。
「聞こえるかの?」
『わっ、耳元からマルスくんちゃんの声が聞こえてくる! ASMRみたい!』
俺の耳にもレフリスの声が響いてくる。目の前のレフリスからも聞こえてくるから変な感じだ。っていうかASMRかよ。
「レフリス、愛しておるぞ」
「ひゃっ!?」
イタズラ心でついそれっぽいセリフを言って遊ぶとレフリスが上ずった悲鳴を上げる。
「ひああ、男装美少女のじゃロリっ子騎士から愛の告白とか情緒おかしくなるぅ、そ、そういうのはもっと段階を踏んでからぁ……」
あかん、何か変な扉開きかけてる。
というか俺ホント外から見ると属性過多だな。
「落ち着くのじゃ。それはお主にやるから新しい装備が出来たらわらわに連絡するのじゃ」
「は、はい! やった! 婚約腕輪、じゃなくて連続クエストだ!」
おっ、アイテムを渡した事で続き物のイベントと勘違いしてくれたっぽいな。
そして前半のセリフは聞き流そう。
「30000モールもするアイテムをポンと買っちゃったし絶対お金持ちのキャラだよねこの子」
興奮したレフリスが独り言を呟いているが丸聞こえなんだよな。
「レフリスよ、いっておくがわらわは男じゃからな。騎士ではないからの!」
「あ、はい! 分かりました! 成程、女の子とバレたくない設定なんだね」
よしよし、良い感じに誤魔化せた。
さて、疑似フレンドが出来たところで他にやっておきたい事はあったかな。
いやあったわ。本命の冒険者登録だ。
ILLはゲーム内でお金や経験値を稼ぐ手段として冒険者ギルドに登録して依頼という名のクエストを受ける形になっている。
余程酔狂な遊び方をしない限り、まずこの冒険者ギルドに登録するのが基本的な進め方だ。
「ところでレフリスよ、お主冒険者ギルドがどこにあるか知っておるか?」
「はい、知ってますよ」
「なら案内してくれ。あと堅苦しい言葉遣いは不要じゃ。わらわはただの騎士じゃからな」
「分かりました! じゃなくて分かったよ! これ、イベントが進むと仲良くなる流れかな!? 男装美少女のじゃロリっ子と親密な関係に!? キャラの性別で関係が変わったりするのかな!?」
何か変な楽しみ方をしてる気がするがそっとしておこう。
「ここが冒険者ギルドだよマルスくんちゃん!」
もう完全にくんちゃん呼びで固定してきたレフリスに案内されて俺は冒険者ギルドにやってきた。
「おお、中々に趣深い建物じゃの」
冒険者ギルドに入ると、中に居た冒険者らしき連中が一斉にこっちを見てくる。
「うぉっ!?」
何だ!? 何かのイベントか!?
「何だ? 美少年騎士? 何かのイベントか!?」
同じこと言われた。
どうやら今のセリフを言った奴はプレイヤーらしい。
「ヒヒヒッ、坊主、ここはガキが来る所じゃねぇぜ。お家に帰ってママのおっぱいでも飲んでな!」
何か西部劇かバトルもののチンピラみたいなセリフ言う奴が出て来た。なお格好は世紀末モヒカン。
今度こそイベントなのか!?
「あ、この人はこういうチンピラロールプレイをするのが楽しみな変態だから気にしないでください。来た人皆にやってるんです」
「あー、バラすなよー」
ただの変態プレイヤーだったでござる。
「って言うか凄い気合入った装備だな。どんだけゲーム勧めてるんだ? それとも性能度外視のなりきりプレイ勢か?」
「いえ、マルスくんちゃんはイベントNPCですよ。ポーンと30000モールもするアイテムを買ってくれたんです!」
「「「「「30000モール!?」」」」」
レフリスが魔通輪を見せびらかしつつ言うと、聞き耳を立てていたプレイヤー達が一斉に立ち上がる。
「マジかよ! 滅茶苦茶金持ちキャラじゃん! 貴族個性でも初期の所持金は5000くらいらしいぞ!」
マジか、って事はやっぱ王族は立場弱いキャラでも色々恵まれてるんだな。
これで普通の経験値だったらもっと恵まれた立場を活用できてたんだが……
「まぁとにかく、冒険者登録をしたいのじゃ!」
俺は窓口にいる妙に色っぽいお姉さん受付毛状に冒険者登録を申し込む。
「あら、可愛い子ね。でも冒険者になるなら危険と隣り合わせよ。最低限戦えることを証明して貰えないとね」
「望むところじゃ!」
これはイベントかな? いや、大抵のプレイヤーは冒険者ギルドに真っ先に行くからチュートリアルか?
「試験は簡単。試験官と戦って勝てば合格よ」
成程シンプル。バトルシステムの説明をしてくれるわけだ。
ギルド内に併設された訓練場にやってくるとその中央に厳つい中年男性が立っていた。
「俺は試験官のベーツ、今からお前の能力を確認するぞ。なに倒せとは言わない。俺の攻撃を避けてこの的を破壊すれば合格だ!」
とベーツは鎧の胸に付けたマークを指差す。
「訓練だからな、ポーションなんかのアイテムは使用不可。準備は良いか?」
「あっ」
しまった、アイテムを見るのに夢中でポーションを買い忘れた!
でもまぁ使用不可ならいいか。
「では来い!」
「行くのじゃ!」
俺は剣を構えるとベーツに向かってゆく。
「動きが単調だ!」
あっさり攻撃を避けられ、ベーツが反撃してくる。
「なんのおわぁぁぁぁっ!?」
反撃を避けて再攻撃をしようと思った俺だったが攻撃が速すぎて回避が間に合わない。
「うわぁぁぁぁ!」
思いっきり吹っ飛ばされた俺はゴロゴロと転がって訓練場の壁に叩きつけられる。
ダメージが表示されHPゲージが減る。
ただダメージは1と弱い。装備のおかげか?
「なんだアイツ、滅茶苦茶遅いぞ!?」
「攻撃もフニャフニャじゃん」
「え?」
俺って遅いの!?
ていうかさっきのプレイヤー達付いてきてるじゃん!
「よそ見している暇はないぞ!」
「っ!?」
「ラッシュ!!」
慌てて視線を戻すと、ベーツがガンガン攻撃をしてくる。
何だこれスキルか!?
ダメージは相変わらず1だけど一度に何発もダメージが来る。
しかも攻撃を避けられないし当てられらない。
見る見る間にHPゲージが削られ、あっという間に0になってしまった。
『失敗』
『経験値10』
って強すぎだろ!!
「うええ!? もう負けた!?」
「弱すぎだろ!?」
マジ!? 俺って弱いの!?
「一体どんだけステータス低いんだよアイツ」
ああーっ! ここでキャラメイク時のミスが響いてる!
もしかしてダメージが低かったのは見習い騎士装備のお陰か!?
「っていうかこのイベントって負ける事出来たのか!?」
「一応クソ舐めたキャラメイクした奴が負けてるのは見たことあるな」
良かった! 他にも居たんだ!
「あとデスティニースロットの結果がクソだった奴も負けてた」
はい、俺の事ですね!
「残念だったな。お前の実力では冒険者は無理だ。鍛錬を組んで再度挑戦するといい」
く、だがこのまま諦める訳にはいかない。
HPが0になっても死なないチュートリアルクエストでよかった。
ここでデスペナルティが発生したら戻ってくるのが大変だったからな。
俺は今手に入れた経験値で受け流しスキルLv1を習得すると試験官に再選を挑む。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
受け流し
戦闘スキル
タイミングよく相手の武器を受ける事で攻撃を回避できる。
消費MP:2
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
見習い騎士相手にミニゲームが5回出来たからこっちでもリトライ出来る筈!
「もう一度勝負だ!」
「あれ? リトライって出来たっけ?」
「いや、ミニゲームと同じで1日1回だから無理だな」
え? そうなの? じゃあこれも無理なん?
「ほう、良い度胸だ! なら相手してやる!」
「「「「ええっ!?」」」」
と思ったらリトライ出来たわ。
っていうかなんか情報食い違ってるな。ミニゲームが1日1回とか言ってるし。
ともあれ今は目の前の試験だ!
俺は受け流しスキルを発動してベーツの攻撃を受け流す。
するとゲーツの武器に細いラインが見えてそれに剣を乗せる様に指示が出る。
「こうか!」
「おお、やるな!」
よし、受け流せた!
「ならこれならどうだ! ラッシュ!」
再びさっきの連続攻撃が来る。
「くっ」
再び受け流しをするも連続攻撃に対処しきれずに半分ダメージを受けてしまう。
そしてダメージを与えられずに負けてしまった。
『失敗』
『経験値10』
くっ、回避スキルだけじゃ駄目だ。
攻撃を当てないと。
『イベントでの敗北が10回を越えました。『一か八か』を習得しました』
「なんじゃ?」
俺はステータスからスキルを確認する。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
一か八か
戦闘スキル
戦闘中一度だけ一つのステータスを二倍に出来る。
ただしHP、MPは残数値が2倍になる。
消費MP:2
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
おお、何かスキルが生えた! イベントに連続で失敗した時に得られる救済スキルって事か。
この説明だとスキルを使って減ったMPが2倍になる訳か。
けどこれで罫線能力が上がったな!
俺は経験値を消費して剣術Lv1を取得すると再戦を希望する。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
剣術スキルLv1
剣を使った戦闘時に命中率、威力が向上する。
上昇する数値はLvに依存する。
消費MP:なし
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「もう一度じゃ!」
「おう、来い!」
「まただ! NPCだからリトライが出来るのか?」
再度バトルのリトライをする俺にプレイヤー達がざわめく。
「成る程、これはクソザコナメクジNPCキャリークエストと見た」
「「「「クソザコナメクジNPCキャリークエスト!?」」」」
いきなりトンデモない暴言が飛んできたんだがー!?
「知ってるのかサンダー?」
「うむ、この手のゲームによくあるダメージ=即死レベルのクソザコをゴールまで保護するイベントに繋がるんだろう。迎撃装備の無い輸送機だけで戦場に出て来るとか死にてぇのかクソが」
何か説明キャラが出て来たと思ったら最後に思いっきり私情が溢れてんじゃん。
ともあれ今はバトルに集中だ。
俺は受け流しで攻撃を回避し、剣術スキルのサポートを受けて反撃に成功する。
だが当てても的が全然割れない。
「おいおい攻撃力低すぎだろアイツ!」
ガーン、ここで筋力が1の弊害がでてしまった! やだ、俺弱過ぎ!
更に戦闘中突然受け流しスキルが使えなくなってしまい攻撃を受けてしまった。
「なっ!?」
「そらっ!!」
その隙を突かれてベーツの攻撃を喰らいまたしてもHPが0になってしまった。
『失敗』
『経験値10』
「な、なんでじゃ?」
「スキルに頼り過ぎるとすぐMP切れになってしまうット」
そうか、受け流しを使過ぎてMP切れになっちまったのか。
「繰り返し鍛練を積んで実戦を経験すれば、スキルに頼ることなく受け流す方法も編み出せるット」
スキルに頼らず受け流すってどういうことだ?
「なぁ、今のってどういう意味だ?」
「おそらくはプレイヤースキルの事だろう。リアルで剣術を学んでいるプレイヤーはスキルに頼らず受け流しが出来る。この辺りはプレイヤーが自分の意思でアバターを動かす恩恵って奴だな。あのコウモリはゲーム中でスキルの動きを参考にして動く練習をするとプレイヤースキルを磨けるって言いたいんだろう」
「「「「おおー」」」」
解説キャラなプレイヤーのお陰でバットンの言いたいことが理解できたのはありがたい。
っていうかアイツ仲間に勧誘して解説役になってくれないかな。
だがどうする?
これでチャレンジは3回連続失敗。
経験値14だとスキルレベルを2に上げる事は出来ない。
別のスキルを取得するかそれとも能力値を上げるか?
「よし」
俺は筋力を2から4にあげる。
これで残り経験値は5
他のプレイヤーの話を聞くに固定値でゲームを始めたならまず負ける事はないっぽいからな。
能力値を上げて最低ラインに届かせる!
経験値の固定値がいくつか知らんから最低値分からんけど。
「いくのじゃー!」
そして負けた。
少し的にひびが入った程度で、壊すには数発当てないと駄目そうだった。
『失敗』
『経験値10』
しまったな、4回目は捨てて経験値貯めて剣術スキルをLv2にすればよかったか?
残るチャンスは1回。経験値15をどう振り分ける俺!
「マルスくんちゃん大丈夫!?」
と、そこにレフリスがやってくる。
「大丈夫、とは言えんが少しずつ分かって来たのじゃ」
とはえ、上手くいくかどうか……
「あの人はキャリークエストだって言ってたけど、ゴメン、冒険者登録イベントって一人ずつ戦うからパーティを組んで戦ったりできないんだよ。私バフスキルも持ってないし……」
確かにここでバフスキルをかけてくれたら滅茶苦茶助かるんだけど、レフリスは生産職っぽいもんなぁ。
「無いものを嘆いても仕方なかろう。人は自分に出来る事をするしかないのじゃ」
とりあえずそれっぽい事を言って慰めておく。
「自分に出来る事って言っても私が出来る事って生産だけだしポーションは禁止だし……あっ! そうだ!」
何かを思いついたのか、レフリスは鞄から何かを取り出す。
「マルスくんちゃん、これを装備して! ポーションの使用は禁止だけど、装備を身に付けるのは違反じゃない筈! ……ですよね?」
「装備は構わないぞ!」
「やった! さ、マルスくんちゃん!」
レフリスが渡してきたのは大きなリボンだった。
「MPがアップする効果のある令嬢のリボンだよ。マルスくんちゃんはNPCだけど私のドレスを装備で来たからこれも装備できるはず!」
成程、装備で能力を底上げするってか!
「うむ、ありがたく使わせてもらうのじゃ」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
令嬢のリボン
クオリティ:7
装備アイテム
MPが80上昇する
制限:女キャラ専用
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
って80ぅぅぅぅっ!? かなり上昇率高くないか!?
「これは良いものじゃが、本当に使って良いのか?」
「うん、MPが上がるけど、女の子限定アイテムなのと……そのかなり高いから誰も買ってくれないんだよね」
ああ、クオリティが高いから値段が跳ね上がってるんだな。
でもMPがこれだけ上がるなら無理してでも買うプレイヤーは居るんじゃないか?
「ちなみにいくらなのじゃ?」
「い、10000」
うわぁ髙い。そら他のプレイヤーには買えんわ。
っていうかゲーム開始直後じゃ欲しくてもそんな大金用意できねぇよな。
というか、そんな高価なアイテムが作れるレフリスってもしかしてかなり凄いプレイヤーなのか?
「では買うのじゃ」
俺は10000モールをレフリスに渡してリボンを買い取る。
「あ、ありがとう! やったぁ! 素材ガチャでお金溶かし続けた甲斐があったよ!」
え? レフリスさんそんなことしてたの!? もしかして実力じゃなくて課金ブースト!?
「うぉぉぉ! 即金で10000! めっちゃ金持ちキャラじゃん!」
「というか女用装備を装着できるって事は、あの子はショタじゃなくてロリ!?」
「マジか!男装ロリなのか!?」
「男装のじゃロリ騎士だって!?」
「くわしく!」
目の前で大金を払ってしまったのがいけなかったのか、一瞬で訓練場がお祭り騒ぎになる。
正直やってしまった感が半端ないが、これでMPが大幅に上がった。
これでスキルの継続時間が延び……いや待てよ。
ここで俺はある事に気が付く。
「リボンでMPが増えるって事は……」
うん、やってみるか。上手くいけば攻撃力の不足をカバーできるかもしれない。
「いくのじゃ!」
「こい!」
「『一か八か』!!」
俺はスキルでMPを2倍にする
これで12から24になる。
それにリボンのブーストで80を足して104! これなら!
「『ロイヤルスラッシュ』なのじゃ!!」
唯一持っていた攻撃スキルを発動させると、俺の剣が光を迸らせる。
ロイヤルスラッシュの効果はダメージ10倍! 俺のザコ筋力でも10倍になれば行ける筈!
「くらえぇぇぇぇぇっ!」
「その技はっ!?」
ベーツの驚愕の声と共に同時にズバァンという滅茶苦茶派手なエフェクトが訓練場を覆った。
「ど、どうじゃ?」
手ごたえはあった。的は……
パキィン!
音を立てて割れる的。
「おみごと、俺の負けだ」
『勝利』
『経験値100』
「やったのじゃー!」
やった! 勝った!
「「「「おおおおーっ!!」」」」
見物していたプレイヤー達が歓声を上げる。
「やったねマルスくんちゃん!」
感極まったレフリスが飛びついてくるのを俺は慌てて回避する。
「ぶぎゃっ、酷いよぉ」
「す、すまぬ。つい戦いのノリで避けてしもうた」
悪い事をしてしまった。ここで抱き留めておけばヒロインとの良い雰囲気がってそうじゃない。
「俺、なんか感動しちゃったよ。あんなクソザコナメクジだったのに最後はなんか覚醒して勝っちゃったぜ」
「そうだな、俺も正直ここで敗北して訓練イベントが始まってぶっ殺したくなるくらいクソな戦闘アルゴリズムのクソザコナメクジをフィールドで介護しながら止めだけ刺させるクソイベントが始まると思ってた」
なんか解説役のお前、さっきから滅茶苦茶私情が漏れてね?
「クソザコナメクジ男装のじゃロリ騎士が必死で頑張って勝利をもぎ取る展開、感動したぜ!」
「おめでとうクソザコナメクジ!」
「おめでとうクソザコナメクジ男装のじゃロリ騎士!」
「って貴様らー! バカにしとるじゃろー!」
悪ふざけしすぎだお前等!! ぶっ殺すぞ!!
「うわーっ! のじゃロリが怒ったー!」
「正直全然怖くないっていうか可愛いーっ!」
「可愛い言うなーっ!」
くそっ! ステータスが違い過ぎて追いつけねぇ! アイツ等いつか絶対ステータス追い越してぶちのめしてやる!!
ゲームなのにゼーゼー息を荒くしながら、俺はベーツから冒険者ライセンスを受け取る。
「これでお前も冒険者の一員だ。期待しているぞ!」
はぁ、とにかく当初の目的は果たせたんだからよしとするか。
―――――――――――――――――――――――――
キャラクター欄
マルシエル=リム=オーヴァロド
種族:魔族
性別:女
HP:10『11』
MP:12『13』
筋力:4『2』
体力:1『1』
魔力:2『2』
素早さ:5『5』
器用度:5『5』
スキル
不屈の闘志:HPが0になった際、確率でHP10%で耐える。
ロイヤルスラッシュ:攻撃スキル:消費MP100:ダメージが1000%増加
一か八か:消費MP2:戦闘中一度だけ一つのステータスを二倍に出来る。
ただしHP、MPは現在値が2倍になる。
剣術スキルLv1:消費MPなし:剣を使った戦闘時に命中率、威力が向上する。
上昇する数値はLvに依存する。
受け流し:消費MP2:タイミングよく相手の武器を受ける事で攻撃を回避できる。
アイデンティティ:魔王姫
王族特権:様々な最高位の特権が行使できる。
大いなる血統:全ステータスが10%増加
最高級教育:ロイヤルスキルを習得できる。
デメリット
女性専用アイデンティティ:キャラクターが強制的に女性になる。
個性:のじゃロリお嬢様
甘えん坊:周りの反応が甘くなる。
教育係:お付きのNPCが付いてくる。
デメリット
口調:のじゃロリ言葉を使わないと一定時間ステータスダウン、一部スキル封印。
身だしなみ:高貴な装備以外装備不能、一定のクオリティの装飾が施された装備以外装着できない。
外見指定:強制的に外見が小柄な美少女になる。
バットン
マルシエルの教育係
さまざまなアドバイスをしてくれる。
王族として相応しくなるための教育を施してくれる。
戦闘には参加しない。
※※※(好感度不足で未開放)
経験値:115
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