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のじゃロリ魔王姫さまはNPCじゃありません!~ネタキャラ? いえ、レアキャラです!~  作者: 十一屋 翠
第4章 幻妖大陸大戦編

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第49話 いざ新大陸へ!!

「という訳で新大陸ツアーをするのじゃ!」


 鱗族の駐在大使の件も一段落したので、漸く俺達は他種族の大陸に行くことにした。


「まず人族の大陸に行き、次に獣族、最期に鱗族の大陸じゃ」


「弾丸ツアーだな」


「妖精の大陸は行けないんだっけ?」


「妖精達が閉鎖的な性格という事もあって、妖精にコネがないと入国できないらしいな。無理に入ろうとするといつの間にか外に出ているらしい」


 そんな訳で妖精関連は妖精のコネが出来ないと難しそう……と後回しにしていたんだが、実は妖精プレイヤーとパーティを組むだけであっさり入れたという情報が発覚する。

その結果プレイヤー達が妖精の大陸に殺到することになっていた。


「妖精の所はプレイヤーで溢れて依頼も素材も奪い合いらしいから、今のうちに空いてる他の大陸に行こうぜ。その間に妖精の知り合いも出来るだろ」


「賛成なのじゃ」


 まるで時期を外した観光地に行くノリで、俺達は人族の大陸に向かう事にする。


「という訳で変装用装備だよ! 性能はそんなに変わらないけど、お姫様とバレたら色々大変だからね!」


「そういう名目で人を着せ替え人形にしたいのは分かっておるぞ」


「えへへ」


 テヘペロと可愛く舌を出すレフリスだが装備を下げる気配はない。


「まぁ変装は必要じゃからな」


「そうそう!」


 王族が来たとなったら人族の偉いさんも対応しないといけなくなるし、そうなると1プレイヤーとしてではなく国賓として接待プレイになってしまう。

 折角ゲームで異世界を楽しんでいるんだから、そんなのは御免だ。


「おや? 珍しくスカートではないのじゃな」


 すっかりゲームで女ものの服を着る事に慣れてしまったことに悲しいものを感じつつ、久々のズボンにちょっとだけ安堵す……んん?


「半……ズボン?」


 レフリスの用意した服は、まさかのキッズ用半ズボンだった。


「うんうん! 似合ってるよ! やっぱ男の子には半ズボンだよね!!」


 そう言いながらレフリスが用意した姿見に映った俺は、半そでのYシャツとミニネクタイ、そして半ズボンというちょっといいとこのキッズ全開の姿だった。


「おっ、新しい商売の予感か?」


 ガメッツステイ。


お忍び少女のシャツ:隙間から見える部分って良いよね。

お忍び少女の半ズボン:生足って良いよね!

お忍び少女の帽子:っぱ、少年探偵はこの帽子よ!

お忍び少女の懐剣:攻撃力200:デメリット:使う度に威力が10%下がる。鞘に納めると1秒10%回復する。低下度が100%を超すと回復に2倍の時間がかかる。隠した刃の威力は何故か高い。何でだ?


「フレーバーテキストの内容はともかく懐剣の攻撃力は中々高いのじゃ」


 デメリットはあるが、屋内での戦いではデカい武器よりも使い勝手が良さそうだな。



お忍びシリーズを装備した事で隠密スキルが使用可能になりました。

隠密発動すると激しい行動をしない限り気付かれにくくなる。

消費魔力2(1秒)


 フレーバーテキストといい、隠密活動用のスキルだな。


「これならお姫様とバレないよ!」


「お嬢はまだ小さいからバレようがないな!」


「おっ、戦争かモヒカン?」


 別にゲームキャラをガキ呼ばわりされても怒りは無いがそれはそれとして売られた喧嘩は買わねば。


「半ズボンの坊っちゃまにわか……アリだな」


 ヒメキの性癖もステイ。

 コイツ真面目な顔して不真面目だよな。


「ではカッシーの世話はゴムレバ達にまかせて出発するのじゃ!」


「あの戦力を頼れないのは残念だけどな」


「まぁカッシーが来たら変装どころじゃなくなっちゃうからね」


「姫様がドラゴンを従魔にした事は目ざとい者なら知っている。当然他国の密偵もな」


 という事情もあってカッシーはつれていけない訳だ。


 ◆


 モヒカンの魔物車に乗って俺達は町を出る。

 目的地は他大陸への定期便が出ている港町だ。


「クォォォン?」


 魔物車が街道を走っていると、湖から顔を出したカッシーがこちらに声をかけてくる。


「暫く出かけるから良い子で留守番しておるんじゃぞー!」


「クォーン!」


 快諾のような、寂しがっている様な声をあげてカッシーは頷く。


「それにしても、皆すっかりあの湖に馴染んじゃったよね」


 レフリスの言う湖とは、今まさにカッシーがいる湖だ。

 だがあの湖は元からこの地に会ったものじゃない。

 ある日突然ポンと出現した湖なのだ。

 最初はなんだコレと皆大慌てして何かのイベントかと警戒したものの、中からカッシーが出てきてなんとなく皆察した。

 ああ、カッシーが作ったんだなって。


 事実とくにイベントらしいものは発生せず、レイドボスだしそういう特殊能力があるんだろと皆納得してしまった訳だ。


「というかなんでか魚が住んでるんだよな」


 リアルだと釣り人が無断で放流するくらいしか人工池なんかに魚は済まないんだが、何故かカッシーの作り出した湖にはいろんな種類の魚が生息していた。


「そのおかげで街の名物が増えると住民の満足度があがっておるんじゃよなぁ」


 何がありがたいって、新しい水源が出来たから飲み水、農業用水、生活用水と色んなことに使える水源が出来た事だ。

 それに加えて魚も獲れるもんだから、爺ちゃん婆ちゃん達がカッシーを拝むのも当然の流れになる訳で。


「気が付いたらカッシー参拝ツアーができておるんじゃよなぁ」


「ご神体の多い町だぜ」


「一夜にして湖が出来るなど完全に神の御業だからな。そろそろ姫のクラスが女神になっても私は驚かんぞ」


「それ神から不敬じゃと罰を受けるヤツだからやめるのじゃ」


 なんてことを話しつつ町を離れると、チラホラとモンスターや盗賊が襲ってくる。


「モンスターはそれほど強くないが、盗賊は妙に動きが良い者達がおるのう」


「ありゃプレイヤーだな」


「それってPK目的?」


PK、いわゆるプレイヤーキラーと呼ばれるプレイヤーを襲うプレイヤーの事だ。

彼等はゲームが用意したモンスターと戦うよりも同じプレイヤーと戦う事を好む。

 システムとして許されている行為だが、だまし討ちや横取りの為に襲うPKも多い為あまり好まれるプレイスタイルではなかった。


「あー、略奪やだまし討ちにしちゃムダが多かったから盗賊ロールプレイ勢だな」


「あー、モヒカンさんみたいな?」


「そう、俺達は人様に迷惑をかけないマイルドチンピラでアイツ等は迷惑上等のハードチンピラだな」


「チンピラにハードとマイルドがあるのか……」


 知らない文化に困惑するヒメキ。寧ろ知らない方が良いよ。


「それでもロールプレイを重視する分マシな部類だな。略奪メインのPKはもっとえげつない手を使うからよ」


「嫌なフラグ立った気がするなぁ」


 レフリスもそう言う事言わない。本当にフラグが立っちゃうでしょ!

 だが幸いにもフラグが発動する事無く俺達は港街に到着出来た。


「さっそく船のチケットを買うのじゃ!」


 船着き場に行くとまるで大型フェリーのような巨大な船が見えてくる。


「おおー、大きいのう」


 リアルな事言うとよく中近代洋風ファンタジーであんな船が座礁せずに港に入れるな。


「他大陸への乗船チケットもうすぐ売り切れだよー!」


「おお、いかん早く買うのじゃ!!」


「おじさーん、人族の大陸行き4人で!」


「はいよー! 船底は5000モール、大個室は30000モール、小個室は15000モールだ。船底は安いが人が多いから襲われたり盗まれたりするから気を付けてな。小個室は一人。大個室は5人までは入れるよ」


「では大個室を頼むのじゃ」


「お嬢は個室でなくて良いのか?」


「別に大部屋で良かろう。それに忘れておるようじゃがわらわは暗殺者に狙われておるんじゃぞ」


「あ、そうだったね」


「確かに、最近は襲われていなかったから我々も忘れていたな」


 という訳で俺達は大部屋を借りて船に乗り込む。


「食事を付けるなら1食300モールだ。自分で用意するなら今のうちに買っておくんだな。おっと、買うならちゃんと保存食を買うんだぜ。たまにいるんだ、長持ちしない食料を買い込む馬鹿が」


 あー、確かに言われないと誰かやりそうだよな。 


「では食事付きで頼むのじゃ」


「……念のため保存食も買っておきましょう。万が一の事態もあり得ますから」


 流石ヒメキ、そう言うところはしっかりしているな。


「出航まで時間がねぇから買うならそこの店に急ぎな」


 と、チケット売りのおっさんが近くの店を指差す。


「むぅ、出向前だから混んでいるな。これは全員で行かない方が良いか。姫、私が買ってきますので先に乗船していてください」


「うむ、任せたのじゃ」


 まぁ食料の買い出しに全員で行く必要も無いか。

 俺達は先に船に乗り、ヒメキが来るのを甲板で待つ。


「一杯人がいるねぇ」


「そうじゃな、魔族以外の種族もおるようじゃ」


 周囲を見れば獣族や鱗族、それに人族の姿が見える。

 対して妖精の姿は少なく、見つけてもすぐにどこかに姿を消してしまう。


「人嫌いが徹底しておるのう」


 暫く待っているとヒメキが船に向かってくる姿が見えた。


「買い出しが終わりました」


「ご苦労なのじゃ。代金は後で必要経費としてセバスティアンに申請してくれ」


「はっ!」


 こういう時領主はパーティ資金を領地運営の経費から捻出出来て便利だ。

 横領? 違うね。視察とか他領の経営研究とかなんかそんな感じのヤツだよ!


「出航するぞー!」


 ヒメキが戻って来て少しすると、船が動き始める。


「おおー、使節団の船に乗った時はまた違う感じじゃのう」


「使節団の船は速度と戦力を重視した船で、こっちは乗り心地と積載量を重視した船らしいぜ」


 いままでどこに行っていたのか、モヒカンが俺達の所に戻ってくる。


「何か調べておったのか?」


「いろいろとな。そんで戦力がいまいちらしいから乗船中の傭兵は随時募集中らしい」


 成程、小遣い稼ぎの情報を探していたのか。


「船の代金は高いが傭兵としてモンスターを倒せばかなり安上がりになるらしいぜ」


「それは良いのう。経験値稼ぎになるし海の魔物の素材も確保できるのじゃ」


「それじゃあ水着に着替えようよ!」


「……水中に潜る必要はないと思うのじゃ」


 流石に必要に迫られている訳でもないのに女物の水着に着替えるのは避けたい。

 アレに慣れたら中身成人男性として色々と終わってしまう気がするからだ。


「……私も遠慮しておこう」


 ほら、ヒメキもそう言ってるし!


「折角つくったのになー。水中戦の出番あると良いなー」


 やめなさいって、客船に乗ってて水中戦の出番があるのは大惨事が起きた時なのよ。


「まぁ他の冒険者達もおるし、そんな面倒事にはそうそうならんじゃろう」


 などと思っていたのですが……


 ◆


「うわーっ!? なんだあのモンスターは!!」


「アイツが現れたら急に海が荒れだしたぞ!?」


 巨大なモンスターの襲撃と共にまさかの大時化まで発生し、絶賛大惨事。


「一体なんなんじゃあのバカデカい魚は!!」


 激しい波でその全容はよくわからないが、ときおり大波の奥から覗く姿はまさに巨大な魚。

 特徴的なのは額に大きな傷がついている事か。


「あの傷!? ま、まさかアレは伝説のマリンブルーツナ!!」


「伝説!? 何か知っておるのか!?」


 モンスターの傷を見て震えだす船員。

 というかマリンブルーツナって聞き覚えがあるような……?


「船乗りの伝説だ。かつて魔王国の海に無法の限りを尽くした化け物魚が居たと。そいつによって数えきれない船と船乗り達が犠牲となったらしい。だが奴は初代建国魔王様によって撃退され逃げ出したと聞いている」


「初代建国魔王……マリンブルーツナ……あっ!」


船乗りの言葉にようやく俺は思い出す。

 そうだ、国交回復式典の時に寄った港街で手に入れた魔王小核の名前だ!

 アレはコイツのだったのか!


「それ以来奴は魔王国の海には現れなくなったはずなのに……何故こんな近海に!!」


「確かに逃げ出す程ボコボコにされたのなら普通は近づきたくは……っ!」


 もしかして、コイツが船を襲ってきた理由って……自分の魔王小核を取り込んだ俺が居るから!?

 だとすれば……この状況、かなりヤバいのでは!?


「ど、どうすれば……」


 もし本当に俺を狙ってきたのなら、俺がこの船から離れれば皆は助かるかもしれない。

 だが近くに陸地も見えない以上、迂闊に飛び出したら大時化も相まってまず助からないだろう。


「くっ! まさかもう追いついてきたのか!!」


「む?」


 そんな時だった。甲板の喧騒の中、誰かの焦る声が聞こえた気がした。

 周囲を見回すと何か小さなものが甲板上に浮いている。


「アレは妖精か?」


 そうだ、大時化で分かりにくいがあれは妖精だ。

 だが彼は大時化の状況に怯えるでもなく、波の合間に見えるディープシーツナを睨んでいた。

 何だ? 追いついて来たって事はあのモンスターと何か関係あるのか?

 それはつまり……」


「わらわ無罪!?」


おっしゃー! 首の皮一枚で繋がった!

アイツをしょっ引けば状況を打開する手段が見つかるかもしれん!


「皆の者! あの妖精じゃ! あの妖精があの巨大魚を引き寄せた犯人じゃ!!」


「なっ!?」


「「「何だと!?」」」


 船員達の視線が一斉に妖精に集まる。


「い、いや俺は……」


「おいアイツ救命ボートの固定を外そうとしてるぞ! 自分だけ逃げるつもりじゃないのか!?」


 あ、ホントだ。こんな大荒れの甲板で何してるのかと思ったら究明ボートで逃げようとしてたのか。


「じゃがあんな小さなボートで逃げるなど無理じゃろ」


 それとも何か逃げ出す為の秘策があるのか?


「何か知ってるらしいな! 教えてもらうぞ!!」


「ちぃっ!!」


 が、船員が捕まえるより前に妖精は救命ボートを海に落とすと、自身も海に飛び込んでゆく。


「逃げる気か!? 無茶だ!」


 船員達も無謀だと目を丸くする。

 だがそんな地獄のような海の中で、妖精の乗ったボートが光始める。


「やはり何か策があったか!!」


 俺は魔姫中翼を展開するとボート目掛けて飛び出す。


「危ないよマルスくんちゃん!!」


「おいお嬢!? レフリス!?」 


「姫!?」


「って掴むなーっ!!」


三人に足を掴まれた所為で、バランスを崩して宙に放り出される。


「「「「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!?」」」」


 いかん、このままだと海に投げ出される!!


「ド根性ぉぉぉぉぉぉっ!!」


 必死で翼を羽ばたかせ僅かに体が浮き上がる。進化してて良かった!!


「ぬぉぉぉぉぉぉっ!!」


 わずかなチャンスに軌道修正をし、ボート目掛けて突っ込んでいく。


「なっ!? く、来るな!!」


 益々光が増したボートに俺達は突っ込んでゆく。


「逃すかぁぁぁぁっ!!」


 そして、光の中の妖精に体当たりをかました所で俺達の意識は途切れたのだった。

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