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のじゃロリ魔王姫さまはNPCじゃありません!~ネタキャラ? いえ、レアキャラです!~  作者: 十一屋 翠
第3章 マルシェラ領運営編

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第41話 水面を制するは装い

「なんと! 湖にドラゴンが!?」


 ヒメキからもたらされた情報を受け、俺達は魔王国南部にあるカサータ湖への遠征を決定した。


「水棲のドラゴンという事は国交回復の時に使った装備が使えるのう」


「ううん、あれはもう型落ちだから新しく作り直さないと駄目だよ」


 あー、確かに。エリアが替わればその分敵の強さも変わるか。


「という訳で新しい水着のデザインは任せてね! さいっこうに可愛いのを用意しておくから!!」


「う、うむ、やりすぎんように頼むのじゃ……」


 ああ、また着せ替え人形にされるんだな……

 頼むからフィギュア化とかしないでくれよ運営。


「そうなると水中用装備の新調を皆に通達せねばならんのう」


 他に必要な事は……


「領主様、それについて申し上げたい事がございます」


 と、作戦会議に珍しくセバスティアンが加わってくる。


「南部の地ですが、こちらは第5王子殿下の統治する領地です。少数ならばともかく大人数で向かえば要らぬ疑いを招くかと」


「ドラゴンと戦う事を事前に通達せよと?」


「いえそれはそれで相手に借りを作ることになります」


 あー、それはよろしくないなぁ。仮にも王位継承者同士なんだし。


「セバスティアン、何か妙案は無いかの?」


「月並みですが少数の部隊に分けて移動し、現地で集合させるのがよろしいかと」


「まぁそうなるか」


「問題は第4王女の妨害ですね。これに関しては第5王子が欲するものを提供する事で交渉が出来るかと」


「兄上が欲しがるものとな? 心当たりがあるのか?」


「はい、実は一週間ほど前に第5王子の領地で盗賊が暴れまわり、討伐隊を組むもそれを察した賊に先手を取られ逃げられたそうです」


 あーなるほどね。討伐隊を組んだにも関わらず逃げられたとあっちゃ第5王子のメンツは丸つぶれだよな。


「そしてその盗賊達の逃げた方角が……」


「わらわの領地の方角という事か?」


「はい。その盗賊達を捕らえ、秘密裏に第5王子に身柄を差し出せば盗賊を逃した第5王子に貸しを作ることが出来るかと」


 そりゃあ好都合だな。


「じゃがそうなると盗賊を探さねばならんな」


「あー、その盗賊だが俺に心当たりがある」


 と、モヒカンが声を上げる。


「俺に任せてくれないか?」


「うむ、頼むのじゃ。予算が必要なら金庫から持っていって良いのじゃ」


「任せておけ」


 後日、モヒカンはどこかからの伝手で盗賊団のボスの首というアイテムを持ってきた。


「こんなアイテムあるんじゃのう」


「これは南部の手配書に描かれていた盗賊団のボスと同じ顔ですね。既に討伐されていたとは」


「持ち主は目立ちたくないらしくてな。金さえ貰えるなら手柄も全部くれてやるとの事だ」


「ほう、それは殊勝な者がいたもんじゃな。まぁわらわとしては助かるが」


「ボスの首なんてモンがドロップしたと聞いた時は驚いたが、まさかこんな使い道があったとはな。まぁマスターも気味悪がっていたし丁度いいだろ」


 セバスティアンに頼んで第5王子への交渉の手紙を送ってもらい、その間に俺達はドラゴンとの戦いの準備を進める。


「そう言えば件のドラゴンじゃが、名称が無いと不便ではないか?」


「あー、確かにな」


「カサータ湖のドラゴン……となると」


 俺とモヒカンはニヤリと笑みを浮かべると同時に口を開く。


「「カッシー」」


 という訳で湖のドラゴンはカッシーと名付けられ、ついでに誰が作ったのか会議室にはカッシー対策委員会という看板が設置されていた。

 皆UMA好きだね。


 ◆


「新装備出来たよー!!」


 いつか見た光景と同じような勢いでレフリスが駆けこんでくる。


「おー、そうかー」


「今回の装備は、これだぁぁぁっ!!」


「こっ、これは!?」


 が、レフリスはさっと水着を隠す。


「あっ、着る前にデザインでゴネられると面倒だから受け取ったらすぐ装備してね。名前も見ないでね」


 その時点で不安しかないんじゃが。


「どうせレイドする為に必要になるんだからゴネるだけ時間の無駄だよ! 性能は良いんだから覚悟して着て! あっ、こっちはヒメキさんの分ね」


「私の分もあるのか!?」


「装備の説明もあるから早く着て!!」


「しょうがないのう」


「わ、分かった」


 そうして装備した新水着は……

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

小悪魔の白スク水アーマー:クオリティ10:防御力125:水中での防御力が25%上昇する。水中での行動デバフを90%カット。背中は大きく開いており羽を使った飛行スキルを阻害しない。水中での酸素ゲージの消費速度を80%抑える。水面に映える水しぶきは白き妖精か。


小悪魔のヒレ飾り:クオリティ9:防御力55:水中での防御力が25%上昇する。水に関するデバフを50%の割合でガードする。纏められた髪の毛がまるで魚の尾のように舞い踊る。


小悪魔の浮き輪:クオリティ8:防御力45:水中での防御力が25%上昇する。水中での移動速度が上昇する。

酸素ゲージが0になった場合強制的に浮上して一度だけ酸欠による死亡を回避できる。完璧な存在とは不完全さすらも完璧の要素になる。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 あー、うん。凄いね。性能は凄いね。

 初のクオリティ10で凄いんだけどさ……


「背中が凄く開いているのじゃ」


「マルスくんちゃんの飛行能力を確保する為だよ!」


「それなら競泳水着で良かったではないか。しかも白スクって」


「のじゃロリならスク水が礼儀でしょ!伝統だよ!!」


 なんの伝統だよ。

鎧のつもりなのか一応肩アーマーはあるが、いや違う、これ腕に付ける浮き輪だわ。

 完全にティーン(かなりマイルドな表現)なのよコレ。


「な、なんだこれはぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


「うわぁ」


 ヒメキの悲鳴に何事かと視線を向ければ、思わず声が出てしまった。

 というのも……


「これのどこが競泳水着なのだ!?」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

夏妖精の競泳水着:クオリティ9:防御力145:水中での行動デバフを85%カット。極限まで水の抵抗をカットする事で回避成功率25%上昇。水中での酸素ゲージの消費速度を70%抑える。極限を攻めすぎて逆に抵抗が大きくなった気がするが反省はしていない。


夏妖精のパレオ:クオリティ8:防御力45:魔法防御力45:挑発効果が30%上昇。スケスケのパレオは何も隠す気はないし隠させる気もない。


夏妖精の貝飾り:クオリティ7:防御力30:スキル『シェルガード』を発動できる。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

シェルガード:防御スキル:自身の防御力を50%上昇。スキル発動中水中でも酸素ゲージが回復する。クールタイム30秒

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 うーん凄い。何が凄いって切れ込みとか布面積とか色々凄い事になってる。

 まさに極限を攻めたの宣伝に偽りなし。

 これを競泳水着と呼ぶのは競泳水着に対する冒涜ではないだろうか。

 まぁ眼福なので良しとしよう。


「こんなものを装備など出来るか!!」


「でもレイドバトルだし最強装備で挑むべきだよ」


「それでも普通の防具にすればいいだろう!!」


「駄目駄目! 相手は水中を自由自在に動きまわるレイドボスなんだよ!普通のレイドボスと同じと思ったら絶対痛い目を見るよ!」


「ぐぅっ……」


 それはまぁ確かに。

 ただでさえ水中での大規模戦闘なんて初めてなんだしな。

 海での戦いは船と言う避難場所があったし、戦ったのも普通のモンスターだった。

 だがレイドボスとの戦いとなるとどんな攻撃をしてくるか予想もつかない。


 正論で詰められたヒメキは反論できずに唸る事しかできないでいた。

 クオリティが必須の俺と違って正直デザインは無難でよくね? と思わないでもないが、俺だけ恥ずかしい思いはしたくないので黙っておく。


「それはそれとしてレフリスの装備はどうなっておるんじゃ?」


 が、こっちの件は黙らずに言わせてもらう。


「え? 私?」


「当然自分の装備も用意してあるんじゃろ?」


「それはまぁ……」


 妙に歯切れの悪い様子のレフリス。


「まさかお主」


「自分だけ普通の水着を用意したんじゃないだろうな!!」


「ソ、ソンナコトナイヨー」


 完全にクロなんだわこの反応。


「ほー、まさかわらわ達にこんな格好をさせておいて」


「自分はイモを引くような真似をするとはなぁ。見損なったぞレフリス」


「ち、違うよ。私の水着はまだ開発中だから見せられないだけだよ」


 苦し言い訳で逃げようとするレフリス。


「それでもデザイン画くらいはあるじゃろ? わらわ達の水着に劣らぬすんごい水着なんじゃろうなぁ」


「是非見せて欲しいものだな」


 ジリジリと詰め寄られ、レフリスはダラダラと冷や汗を滝のように流す。

 このゲームこんなエフェクト表現出来たのか……無駄に凝ってやがる。


「い、いや、完成する前に見せるのはデザイナーとしてちょっとね。まだ詰めてる最中だしギリギリまでかかるかなって。モヒカンさんの水着作りもあるし」


 そう言ってごまかし通す気だなコイツ。


「ならば他の生産職の職人に頼んではどうだ?」


「え?」


「なぬ?」


「我等の家臣団にはレフリス以外の生産職もいる。彼等に私達の水着を見せてこれに匹敵する水着を作ってもらうというのはどうだろう?」


 なるほど確かに。その手があったか。


「はぁーっ!?」


「おお、良いのう! それならレフリスもモヒカンの装備に専念できるというものじゃ!」


「ちょっ、待っ!?」


「だがいきなりデザインを丸投げするのも職人に申し訳ないか」


「であればわらわ達で草案をいくつか用意しておくのはどうじゃ?」


「良いですね!」


 ニンマリと笑みを浮かべ合う俺達。


「ま、まって……」


 くくく、これまでさんざん俺達で遊んでくれた罰だ。さいっこーにセクシーな水着を発注してやろう!!


「ま、待って! ホント待って!!」


「遠慮するなレフリス。勿論性能に妥協はさせないぞ!」


「うむ、予算に糸目は付けぬのじゃ!」


 顔を真っ青にして慌てるレフリスをからかう俺達。


「わ、分かったから! デザインを見せるから!!」


 とうとう観念したのか、レフリスが渋々デザイン画を取り出す。

 そこに書かれていたのは、やはりというか無難なデザインの水着だった。


「ほう、これがレフリスの水着か」


「わらわ達に着せたものに比べると随分とおとなしいのう」


「えっと、ほら、私は二人に比べて地味だし、あんまりハデなのは悪目立ちするかなって」


「そんなことないぞ。レフリスは可愛いと思うのじゃ。だからこの辺はこんなデザインにした方が良いと思うんじゃ」


「はぁっ!? いくら何でもそれは!!」


「私はもっと大胆にここをこうした方が良いと思うな」


「え!? え!?」


 俺達はレフリスのデザインにもっとこうすべきだと加筆してゆく。


「こんな感じでどうかの?」


「完璧だ。私達と共に並び立つ素晴らしいデザインじゃないか!」


「い、いや、その、流石にこれは……」


「「着てくれるよな?」」


「……はい」


 こうして、レフリスの水着デザインが決まり、俺達は揃って地獄に落ちたのだった。


「ヒューッ! コイツはご機嫌な水着だぜ!!」


 なお、モヒカンの水着はファイアパターンの赤いブーメランパンツだった。

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