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のじゃロリ魔王姫さまはNPCじゃありません!~ネタキャラ? いえ、レアキャラです!~  作者: 十一屋 翠
第二章 のじゃロリ王国ギルド設立編

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第28話 襲撃とコンサート

「乱心じゃぁぁぁぁぁぁぁっ!」


 悲報、人族の王子推し活オタクだった模様。

 って人族の第一王子がこれでいいのかよぉぉぉぉぉっ!!

 美形キャラに何つー属性をぶち込むんだ運営―――――っ!!


「お、お主自分が何を言っているのか分かっておるのか!? 人族の代表たる使命を放棄してコンサートに現を抜かすなどあってはならぬことじゃろ!?」


「コンサートの方が大事です! 王族の使命などに現を抜かす方が時間の無駄です!」


「逆じゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


 駄目だコイツ! 完全に目的を見失ってやがる! 見失ってるよね!?


「人族の使者よ、お主等もこの王子に何とか言って……ってこっちも変わっとるぅぅぅぅぅぅっ!!」


 人族の使節団に説得させようと思ったらこっちも推し活ファッションになってる! 何この種族怖い!!


「あ、私達も王子と同じコンサート派閥ですのでお気になさらず」


「なさるぞ!! っていうかなんじゃコンサート派閥って!?」


 あわわわわ、人族がとんでもないことになってる。ねぇこの種族の未来大丈夫なの!?


「はははは、ご安心を、我々使節団は最初からこの会議を台無しにする気はありませんから」


「もうすでに台無しになっておるんじゃけどー!?」


 いやマジでどうなってんだ? さっきまで国家間紛争待ったなしの空気だったじゃん。


「本当にどういうつもりなのじゃ!? さっきまでお主等わらわ達をハメようとしておったじゃろ」


「それは妖精と本国の欲深な家臣団の企みです。家臣をないがしろにすると後が煩いですからね。一応は望み通り案を採用して彼等の望んだ通り進め、失敗したら責任を取らせて首を挿げ替えるつもりだったのです」


「三種族で包囲しておきながらか!? 思いっきり潰す気だったじゃろ!」


「まがりなりにも妖精の入れ智慧が入ってますからね。ですが家臣団が欲をかいて過剰に追い詰める内容に改悪したのでこれは失敗するなと思っていました。まぁ、予想以上にマルシェラ姫に殴り返されて危うく隣の方に噛み付かれそうになりましたが」


 あっ獣族の殺気はマジで危機感感じてたのね。


「本気で噛みちぎってやろうと思っていたぞ」


「おっと藪蛇」


「じゃがわらわ達が本気で追いつめられたらどうするつもりだったのじゃ?」


「ははは、マルシェラ姫には憂いなくコンサートをしてほしいですからね。万が一そのような事態に陥った時は、良い感じに他種族を巻き込んで企みを台無しにする予定でした。そして当初の予定通りの条件に戻して妥協という形にするつもりだったんです」

 

 おおう、最初から自分の手で計画を台無しにするつもりとかマッチポンプじゃん。


「じゃがそんな事をこの場で言ってよかったのか? 本国に戻ったらお主の立場が危なくなるじゃろう」


「その時はマルシェラ姫の国に亡命しましょうか」


 しれっとした様子で亡命を希望してくるロウゼル王子。


「わらわは後ろ盾が碌にないから何の役にも立たんぞ」


「それは残念。ですがご安心を。そもそも過去の大戦以前の確執なんて誰も気にしてませんから。何しろ私達どころか祖父や曾祖父が生まれるよりもはるか以前の話ですし、恨みを体験した世代がもう居ないんですよね」


「それは我等獣族もそうだな」


「その割には殺気が凄くないですか?」


「長たる一族の面子の問題だ。なにしろ人族の王族がさんざん決闘の申し出から逃げ続けたからな。何なら今から決闘をしても良いぞ。長たる者が正々堂々と決闘を受けたのであれば、その結果がどうあれ我等獣族はお前達の意気を受け入れよう」


 わぁ、獣族執念深―い。


「はは、それは国王陛下あたりに問い合わせてください。僕はただの王子なので」


 第一王子はただの王子とは言わなくない?


「という訳で年寄り連中はやる気ですが、僕ら若い世代としては今更過去の確執を蒸し返されても迷惑なんですよ。確かに得られる利権は大きいですが、そんな事をしたら新たな恨みを買って次の大戦の原因扱い待ったなしですよ。過去の大戦の後、全ての種族が国交を絶ったのも、お互いに一度頭を冷やす為の時間を取ろうという選択が理由だったのですから」


 成る程ねぇ。王子にとって今回の件は人族内の膿を全部絞り出すのが目的だったって事か。

 多分家臣団は失敗したら現場責任者の王子に全部押し付けようとしてたんだろう。

だが魔法通信による全世界配信がそれを台無しにした。

リアルタイムで会議の内容が放送された事で、今回の件が家臣団の企みだったと全世界に公表された形になるからな。


「真偽はともかくこんな重要な場でこんな事をするのは相当なリスクだ。それを覚悟して行ったのなら王子の言う事はきっと本当なんだろう、とこの式典を見ている人族の国民は思うだろうな」


 とマガエラが俺と同じ結論を口にする。


これ全部計算してやったのだとしたら、多分これ以外にも幾つもの策を用意してたんじゃないだろうか。

そう考えるとロウゼル王子、思ったより恐ろしい相手かもしれないな。今の時点で十分恐ろしい格好をしているけど。


「という訳で進行役、本来の調印書の読み上げをお願いします」


「え? あ、はい!」


 突然ロウゼル王子に話題を振られて戸惑いつつも、進行係の守り人は新たに渡された調印書の内容を読み上げてゆく。

 その内容を聞いてうちの使節団もホッとした表情を浮かべたので、内容的にも問題なさそうだ。

 そして各国の大使達がサインを記入していき、俺が記入すると最後に鱗族のゴムレバが記入を終える。


「調印書のサインを確認しました。これにて国交回復会議の成立を宣言します!!」


 魔法通信カメラに調印書をかざしてその内容を全世界に送り届ける守り人。


「さぁ! これで待ちに待ったコンサートですね!」


 お前はもっと歴史的瞬間に立ち会った余韻を持てよ。


 ◆


そんな訳で調印式はつつがなく終了し、俺にとっての地獄の時間がやって来ました。

つまりコンサートです。


「お主等ー! 準備はよいかーっ!!」


 この日の為に用意された新衣装を身に纏って俺は観客席にパフォーマンスをする。


「はーーーーーっい!!」


 最前列で人族の国家代表がオタ芸をしてる気がするが、きっと幻覚だ。


「「「「ウォォォーッ!! 生マルシェラ姫ぇぇぇぇぇ!!」」」」


 更に各種族のプレイヤー達も興奮した声をあげる。

 

「最初のナンバーはわらわのデビュー曲! 皆知っておるよな!」


「「「「なんだこの地獄―――――っ!!」」」」


 勘違いがもうすっかり正式な曲名になってしまった始まりの歌が始まる。

 歴史の陰に埋もれてしまった正式タイトルは泣いていい。


 歌が終わると俺は新衣装に着替えて二曲目に入る。

 今回は国際的な式典とあって全ての曲に新衣装が入る。

 レフリスの頑張り過ぎだ。

 あとガメッツが新グッズを増やせるとウッキウキだったのは言うまでもない。


 そうして3曲目に入った時だった。

 突然会場に武装した集団が飛び込んできたのである。


「なんじゃ!?」


「反対派か!」


 あっ、そうか、まだ反対派の問題があったんだった。

 調印式のゴタゴタでもう終わった気になってたわ。

 ともあれ敵が現れたのなら戦わないとな!


「お待ちを! マルシェラ姫はそのまま歌を続けてください! 賊は私達が対応します」


 そういって俺を止めたのはロウゼル王子だった。


「何を言う! わらわも戦うぞ!」


 ようやくイベントらしい展開が来たのに戦わない理由がないだろ!


「いえ、此度の件では皆様には大変ご迷惑をおかけしました。この上コンサートを台無しにしては言い訳のしようがありません! ここは我々に責任を取らせてください!」


「そうだぞ! それにアタシ等もアンタの歌は結構気に入ってるんだ。つまらん茶番に巻き込んだ詫びと思って任せろ!」


 更にマガエラまで戦場に飛び出してゆく。


「そうそう、ウチの姫はマルシェラ姫のぬいぐるみを抱いて寝てるんですよ」


「なっ!? お前何で知って!?」


「姫は寝起きが悪いですからねぇ。毎朝起こしに行かされる連中は皆知ってますよ」


「ぎゃーーーっ! 黙れーーーーっ!!」


 何か聞いてはいけなかったプライバシーを聞いてしまった気がする。

 ええんか? これ全世界放送だぞ?


「やれやれ、しょうがない。ここで儂等が動かなかったら妖精だけ黒幕腹黒種族と思われてしまうではないか」


 自覚あったんだ。


「お主まで戦ってくれるとは正直予想外じゃ」


「孫がお前さんのファンなんじゃよ。おっと、後で孫あてにサイン貰えるかの?」


 この爺さんちゃっかりしてやがるぜ。


「うぉぉーっ! ドラゴンの使者様の歌を邪魔させるなーっ!」


「「「「ドラゴン様に捧げる歌を邪魔させねぇぞー!!」」」」


 いや捧げてないよ?


「おっしゃ、俺達も参加するぜ! 姫様はコンサートを続けてくだせぇ!」


 更にモヒカン達プレイヤーもバトルに参加してゆく。

 ええと、これもう歌わないといけない空気なんですけど!?

 折角のイベントバトルなのにー!


「さぁマルシェラ姫! 全世界に貴方の歌を届けてください!」


「「「「姫、歌ってください!!」」」」


 うわぁぁぁぁぁぁっ! 何だこのヒロインみたいな展開――――っ!!

 これはもう、歌うしか、ない……空気を読んで歌うしか! 無い! ちくしょーーーつ!


「ならば任せたぞ! 三曲目は……!!」


 ああ、バトルが始まってしまった。

 皆楽しそうに戦ってんなぁ。

 あっ、ボスっぽいの出て来た。

 うわー、すげえ威力。


 おおー、他種族のプレイヤー達凄いな。あんなスキルあるんだ。

 ええ!? 合体スキルなんてあるの!? うわすっげぇ、ロイヤルスラッシュよりも威力出てねぇ!?


 ところで俺の新衣装見てる人いる? いや見て欲しいわけじゃないんだけど無視されるとそれはそれで寂しいというか……


「さぁ、名残惜しいがこれが最後の曲じゃ! 最後の曲は……なんと今回の式典の為に書き起こされた新曲じゃっ!!」


「「「「何だってーーーーーっ!!」」」」


 突然反応した王子達が一斉にこちらに殺到してくる。


「え?」


「戦ってる場合じゃねぇー!」


 戦ってる場合だーーっ!!

後ろ後ろーっ!! ボスの全体攻撃来てるーっ!!


『ロイヤルスキル―歌姫の加護―を習得可能になりました』


 何かスキル条件満たした!?

 くっ、この状況で出たなら何か役立つスキルかもしれない! そうであってくれ!

説明を見てる時間は無く、即スキルを習得して使用だ!


『このスキルを発動するには歌ってください』


 歌唱時限定スキルーーーっ!? 

 俺は慌てて流れだした新曲の歌詞を口ずさむ。

 すると俺を中心に波紋が広がるように光が外へと広がってゆく。


 そして観客達の外まで広がると円形の輝くドームが生まれた。

 直後、ボスの全体攻撃がぶつかる。

 が、ボスの全体攻撃はキィンという音と共に消滅する。

 バリアスキルか!?


「な、なんだと!?」


 ボスが驚愕の声を上げるが観客達はガン無視で武器の代わりにサイリウムを振り回している。

 お前等ボスが可哀そうだろ!


「おのれ! 馬鹿にしおって! カタストロフグラヴィティッ!!」


 だから後ろーっ!! ボスがまた範囲攻撃してきてるーっ!!

 そう突っ込みたかったのだが、歌い続けないとスキルが消えてしまう為、俺には歌うことしかできなかった。

で、ボスの範囲攻撃を相殺し続ける。

 そうして、最後の曲が終わると、ようやく観客達はボスへと向き直……らなかった。


「「「「アンコール! アンコール!」」」」


 悠長にアンコールするなーーーーっ!!


「いい加減にするのじゃー! アンコールして欲しかったら後ろのボスを倒すのじゃ!!」


「え? ボス?」


「あっ、忘れてた」


「忘れるなーっ!!」


 ようやくプレイヤー達がバトルに戻って行ったので、俺も歌姫の加護を発動する為に歌を再開する。


「あれ!? HPが全開してる!? 何でだ!?」


「MPもだ!」


「マジだ! あとボスから受けたバッドステータスも消えてる!」


「それだけじゃない、ステータスバフがかかってるぞ!! いつの間に!?」


 回復職とバフ役が頑張ってくれたのか、皆のHPとMPが回復していたみたいだ。

 万全の状態で始まった二回戦は圧倒的で、先ほどまでの戦いでボスに結構なダメージが与えられていた事もあって戦いはあっという間に終わってしまった。


「「「「勝ったぞぉぉぉぉぉぉぉっ!!」」」」


 そんな感じで無事調印式は終わりを迎え、コンサートのついでに反対派も撃退されたのだった。

 ええと、こんな終わり方でホントにいいのか?

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

歌姫の加護:特殊防御スキル:MP消費20:声の届く範囲に物理、魔法に有効な光の防御癖を発動させる。範囲内はHPMPの持続回復効果。全ステータスを5%上昇。発動するには歌い続けないといけない。歌っている最中は他の行動が出来ない。歌が途切れると20秒のクールタイムが必要。

長くなるので今後ステータスは区切りの良い所で入れる事にします。

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