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のじゃロリ魔王姫さまはNPCじゃありません!~ネタキャラ? いえ、レアキャラです!~  作者: 十一屋 翠
第二章 のじゃロリ王国ギルド設立編

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第25話 黒幕の尻尾と水着

 本来の予定から二日遅れて俺達は式典会場のある島へと出発する事となった。


「うへへ。徹夜で修理しましたー」


「うむ、よく頑張ったのじゃ」


 暗殺者達の襲撃によってダメージを受けた船は修理が必要な状態になっていた。

 そこでレフリス達生産職が総出で船の修理を行ってくれたのである。


「お主達にも感謝するぞ。お主等が手伝ってくれなければ、修理にはもっと時間がかかったであろうからな」


 俺は生産職のプレイヤー達と共に地面に転がっている船大工達にも礼を言う。

 というのも俺達が船の修理を始めようとした時、彼等が現れて自分達も手伝いたいと言ってくれたのだ。


「なんの、姫様のお陰で町の船が守られたんです。なら儂等船大工も姫様の力になりたいと思うのは当然のことですよ」


 そんな訳で俺達は無事出航出来るようになったわけだ。

 

「船大工達が手伝ってくれたお陰で致命的な遅れにはならずに済みそうです」


「それはなによりじゃ」


船大工達の協力でスケジュールに致命的な遅れが出なかった事に使節団のメンバーが胸を撫でおろしている。


「とはいえ遅れているのは事実です。急ぎ出発しましょう」


「そうじゃな」


 船員達が急ピッチで物資を積み込み、出発の準備に駆け回る。


「姫様、俺達からの差し入れです! 船旅の間に食べてください!」


「おお、良いのか!?」


 出港準備を待っていると、漁師達が食料を差し入れを持ってきてくれた。


「何から何まで悪いのう」


「何言ってんですか姫様! 皆感謝してるんですよ! 船はこの町の生活の要ですからね!」


「そうそう、船が無かったら町全体の生活が成り立ちませんぜ!」


「そうか、うむ、ありがたく戴くのじゃ」


 そう考えるとあの時経験値を消費してでも消火のための魔法を習得してよかった。

 もしかしたらあの時町の住人の船を見捨てるかどうかがその後の展開の分かれ目になっていたのかもしれない。

 もし俺があの選択をしなかったら今頃この船はもっとひどい事なっていて、出向もさらに遅れていたんじゃないだろうか……


「情けは人の為ならずってこういう事を言うのかのう?」


 そして出航の時刻が近づくと、今度は領主が部下を引き連れてやってきた。


「この度は私共の警護が間に合わず申し訳ありませんでした。あまつさえ住民の船の消火までしていただき感謝の言葉もありません」


「その謝罪は既に受け取っておる。そちらも大変だったのじゃろう?」


 あの襲撃の晩、どうも俺達だけでなく領主の部屋も襲われていたようで、それが原因で領主達は俺達の救援に来ることが出来なかったらしい。

 プレイヤー達の中にはワザとじゃないかと疑う連中も少なからずいたが、今となっては真相は闇の中だ。

 とはいえ、自分の屋敷に招いた王族を守れなかったとあったら最悪身の破滅なので、嘘じゃないとは思うんだが……


「ありがとうございます。おかげで町を反対派の暴挙から守る事が出来ました」


 領主としてもこの件は反対派の行動で間違いないと思っているらしい。


「……これは独り言ですが、おそらく今回の事件の首謀者は第三王子派閥です」


「……これは独り言じゃが、何故そう思うのじゃ?」


「……これは独り言ですが、第三王子の派閥は軍部に所属する者が多いのです。第三王子は自信が王位に就いた暁には武力による領土拡張を目論んでいます。しかし大陸間の交流が平和裏に進むと、彼等が戦う大義名分が失われてしまいます」


 つまり戦争したいから平和的な国交が開かれるのは嫌だって事!?

 もっと国益考えようぜ第三王子っ!


「これは幻覚ですが少し前に第三王子派閥の者が私の下にやってきてこういいました。『近く第三王子主導のもと我が国が覇権を握る日が来る。その時の為に力を貸せ』と。最初は何のことか分かりませんでしたが、その後国交回復のための式典を行うという情報が流れてきた事で事情を察しました」


 ってことは第三王子は俺が魔王に教えられるよりも前に情報を入手していたって訳か。


「正直、話のぼかし方が要領を得なかったせいであの時は何を言われているのかさっぱり分かりませんでしたけどね。それで返事が遅れた事で私は非協力的と判断されたようです」


「それは秘密裏にやってきた使者としてどうなんじゃ?」


「第三王子の派閥は武闘派ですから、相手が察してくれるような洒落た言い回しのできる人材が少ないのでしょう。私のような王国の端の港町の領地相手ならなおさら」


 わー、第三王子派閥の下は脳筋ばっかってことかー。


「おかげで港を燃やすような愚行を行う連中と手を組まずに済みました」


 まぁ港町の領主からしたら大事な稼ぎを生み出す船を燃やすなんて、なにしてくれてんじゃゴラァッ! って気持ちになるよな。


「お主には苦労をかけたようじゃな」


「いえ、至らぬ身で申し訳ない限りです。これは少ないですが使節団の船の修理費としてお納めください」


『100000モールを手に入れた』


「そして我等ゼルレイの港町の住民はマルシェラ姫に忠誠を誓います」


『ゼルレイの港町がマルシェラ姫の傘下に加わりました』


 傘下!? まじで!?


「よいのか? わらわには後ろ盾などないぞ!?」


「私共がその後ろ盾の最初の一人となりましょう。所詮は弱小の子爵家ですが、居ないよりはマシかと。そして今回の件は他の港町の領主達にも伝えるつもりです。第三王子に対し敵対しないまでも協力するような事はしないようにと。下手に関わると我が町のような目に遭うぞと言葉を添えて、です」


 ニヤリと笑みを浮かべる領主。

 どうやら今回の件は相当頭に来たらしい。

 ともあれこれでこの地方の領主達は第三王子と実質的な敵対関係になった訳か。


「姫様! 出港準備が出来ました! すぐに乗船を!」


「うむ、分かった。それではな。世話になったオルカル子爵」


「こちらこそ。外界に出るまでは我が領地の船が護衛に付きます。良い航海を」


 こうして俺達の乗った船はゼルレイの町を出発した。

その周囲を護衛船団が囲み、更にその両脇にゼルレイの町の漁師船や騎士団の船が付き、魔物が現れると彼等が攻撃して引き寄せてゆく。


「姫様ーっ! お気をつけてーっ!」


「お主等もなーっ!!」


 そして小型船では付いてこれないほど波が高くなってくると、彼等は手を振りながら港町へと戻っていった。


 ◆


「おおー、どこを見ても海しか見えんのう」


 周囲は見渡す限り海で既に陸地は見えなくなっていた。

 正直陸地が見えなくなって海に囲まれたこの状況はこれがゲームだとしても怖いものを感じる。


「もしこのタイミングで嵐でも来て海に投げ出されようものならなす術もなく溺れて死んでしまうじゃろうなぁ」


 おっと、リアルの俺が泳げない訳じゃないぞ。あくまで何もない海のド真ん中に投げ出されたらって話だ。


「そうだね、だから水着を着ようねマルスくんちゃん!」


「うぉう!? いきなり何を言い出すんじゃ!?」


 突然背後から水着を持った不審者が現れ思わず声を上げてしまう。


「このマルスくんちゃん専用水着は水中活動を大幅に強化してくれるし水中での酸素ゲージの現象を緩やかにしてくれる効果があるんだから」


「酸素ゲージ?」

 

 うげっ、このゲームそんなシステムまであるのかよ。

 まぁ鉱山で二酸化炭素中毒やら実装するゲームだから水中での呼吸制限くらい当然実装してるか。

 ……だが水着は嫌だ! もう一度言う水着は嫌だ!

 レフリスがその手に持つ水着は多少装甲はあるもののビキニタイプでヒラヒラした布ん付いたいわゆる可愛い系少女水着!


 だがそれを着るのは成人男性マッチョなんだぞ!!

 想像してみろ! この世の地獄じゃないか!!


「断固断るのじゃ!!」


「駄目だよ。マルスくんちゃんは王族で親善大使なんだよ。万が一の時の為に生き残る事を考えて最高の装備を身に付けないと!」


「そういう名目でわらわに水着を着せたいだけじゃろ!!」


「そうだよ!」


「隠す努力をしろーっ!!」


「隠させない努力をしてるんだよ!!」


 駄目だコイツ! 手遅れになってやがる!

 その時だった。海の中から救世主がやってきたのである。


「モンスターが出たぞーっ!!」


「おおっ!!」


 まさに渡りに船! いや今乗ってるのが船だけど。


「うおおーっ! モンスター退治が先決じゃ! 話はあとでなレフリス!」


「あーこらーっ! 逃げるなー!」


 ふへへっ、目的地に到着するまでうやむやにしてやるぜ!


 プレイヤー達が集まっている船の端に到着すると、既に闘いは始まっていた。

 水面から顔をのぞかせたモンスター達がこっちに向かって銛を投げたり水魔法を放ってくる。


「こんにゃろ! 食らえ!」


「剣は届かん! 弓か魔法で応戦しろ!」


 俺達の乗る船は大型な為に海面からかなり距離がある。

 その所為で近接職はモンスターを攻撃できずにいた。


「わらわも攻撃するぞ! ウォーターバック!」


 だが俺が放ったノックバック効果付きの全体攻撃魔法を喰らってもモンスターはのけぞるどころかピンピンしていた。


「相手は水属性だ! 水魔法は効果が無いぞ!」


「なんじゃとーっ!」


「あと火魔法も消えちまうから意味がないぞ!」


「なんだってーっ!」


 あっ、モヒカンが膝から崩れ落ちた。


「仕方ない。威力は下がるがウォーターアロー!」


 風の矢を放ってモンスターをチクチク攻撃してゆくがどうにも威力が心もとない。


「いかん! アイツ等船を攻撃し始めた! 早く倒さないと船に穴が開くぞ!」


 なんと俺達が手間取っている間にモンスター達は船に攻撃を始める。


「くっ、どうする!?」


 こうなったら新しい範囲攻撃魔法を高レベルで習得するか!?


「お困りのようですねぇ」


「うぉう!?」


 またしても背後からニュッと現れるレフリス。


「何かいいアイデアがあるのか!?」


「あるよ、ハイこれ」


 そう言って俺の前に差し出される水着。


「これを使えば直接海に入って接近戦が出来るよ。水棲モンスター相手に速度で引けを取らないくらいにはね」


 こいつ、そこまでして俺に水着を着せたいのか!!


「船に穴が開くか開かないかの瀬戸際なんだ。やってみる価値はありますぜ」


 なんか小物みたいな口調になっとる。


「着るは一時の恥。着ないはイベントの失敗だよ!」


「最悪の脅し文句なのじゃぁぁぁぁぁぁっ!!」


 ああもうやってやるよ! 俺はレフリスから水着をひったくるとそれを装備する。


『アイドルウォーターアーマー:クオリティ8:防御力45:魔法防御力55:水中活動デバフ70%カット:呼吸ゲージ消費低減』


 地味に性能良いのがむかつくーっ!!


「こうなったらヤケなのじゃーっ!!」


 俺は船から飛び降りるとモンスターの脳天に双短剣を突き刺しながら海に沈む。

 当然モンスター達は自分達の縄張りに侵入してきた俺に一斉に襲い掛かってくる。

 動きにくい水中で俺はそれらの攻撃を回避しようとする。すると……



『おお……!?』


 水中にいる筈なのに、まるで地上にいるかのように水の抵抗を殆ど感じない。

 多少は動きが鈍い感じがするがこの程度なら十分許容範囲だ。

 最悪『先読み』スキルで行動を予測して回避すればいい。


「スリープエッジ!」


 とにかく今は船への攻撃を阻止するのが先だ。

 敵を眠らせて動きを止め、止めは他のプレイヤー達に任せる。


「次々行くのじゃ!!」


 そうして船を攻撃するモンスター達を俺が担当している間に他のプレイヤー達が残った魔物を殲滅する事で戦いは収束した。


「ロープを下ろすから掴んでくれ!」


「助かるのじゃ!」


 船員の下ろしたロープを掴むと彼等が力強く引っ張てくれて俺は甲板に戻ってくることが出来た。


「やれやれ、これからもこんな戦いをしないといけないとなると厄介じゃのう」


「「「「……」」」」


 ふとプレイヤー達の様子がおかしい事に気付く。

 彼等は皆俺の方を見て呆然とした様子だ。いやプレイヤ―だけじゃない。使節団や騎士達、それに船員もだ。


「一体どうしたんじゃお主等?」


「み、水着だ……」


「は?」


「「「「姫様の水着だぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」」」」


 甲板がプレイヤー、いやその場にいた全員の絶叫に包まれる。


「って、あーっ!!」


 しまった! 水着に着替えたままだった!!」


「うぉぉぉぉっ! 清純系フリフリ水着! 解釈一致!! ありがとうございます!」


「姫様の手足! 姫様のおへそ! 生まれてきてくれてありがとうございます!」


「キモイキモイキモイのじゃっ!!」


 お前等何言ってんだぁぁぁぁぁぁっ!


「うへへ、やっぱり本物に来てもらった方が最高だよぉ~。脳内シミュレーション採寸では得られない栄養素だね!」


「お前も何言っとるんじゃ!」


「美少女に私の作った水着を着て貰えて嬉しいって言ってるんだよ!」


「言い直せとは言っとらん!」


「いやーただの水着じゃなくてアーマーっぽいのがまたいいんだよな。防御力は疑わしいけど。あとフィギュア化希望」


「いや俺はアクションフィギュアかプラモ化を希望するぜ! 商業において水着デザインは立体化しやすい!」


「寧ろ姫様の人気でグッズ化しない訳ないだろ!」


「お主等恐ろしい事を言うなーーーーっ!」


 水着を着た俺のフィギュアとか考えるだに恐ろしいわ!


「最近はとにかく露出を増やせば良いという風潮があるがさにあらず! このお姿こそがこの世の真理!」


「真理に謝れ!」


「セクシー水着も良いけどやっぱのじゃロリ系姫様にはこういう清楚なのがいいんだよ! しかも恥じらいもセット! 普段強き系ロリお嬢様の恥じらい最高!! 水着の欲張りセットかよ!」



「こんなの恥ずかしいに決まっとろうがっ!!」


 中身マッチョ成人男性なんだぞ!

 ぐおおーっ! こんな格好してゲームしてるのがバレたら俺は死ぬ!

 いやリアルで女児水着を着てゲームをしている訳じゃないよ! ホントだよ!


「「「「みっずっぎっ! みっずっぎっ! みっずっぎっひめさーまっ!!」」」」


「嫌な流れが起きてるのじゃ!!」


 一刻も早く装備を戻さないと!」


「おーっと駄目だよ。モンスターは何時襲ってくるかわからないんだから。それに港と違って海の上じゃ船の修理も格段に難しくなるんだよ。だから状況に即対応できる水着を着替えるなんてもってのほか」


「貴様っ、船を人質に取るつもりか!」


「船質だね。でも修理が難しくなるのは本当。あと修理素材も海のど真ん中じゃ補充が効かないから即対応してたとえ1ダメージでも阻止して欲しいのは本当だよ」


「まさか貴様、そこまで読んでこの装備を!?」


「ふふふ、考え過ぎだよ。でも、ずっと来ていて欲しいって思ってるのは本当だから、大陸に戻るまでは船を守るために強くて便利な水着を着続けようね。マルスくんちゃん」


「騙されたのじゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


◆2週間後◆


『ILL初の大規模イベント、国交回復クエスト終了記念大発表!!』


 その日のSNSはILLのイベント終了後に発表された話題で持ちきりになっていた。


『マルシェラ姫水着Verフィギュア化決定!!』


『〇〇社とコラボした美麗1/3ビッグフィギュア!』


『××社コラボのアクションプラモデル! 表情差分パーツ付き!』


『△△社からぬいぐるみも発売!!』


『ゲームセンターでマルシェラ姫の水着フィギュアが登場!!』


「すっげー! イベント終了と同時に発表とか気合入ってんな!」


「このタイミングを考えるに事前に企画が進んでたんだろうな。業界に詳しい俺にはわかる!!」


 俺はそっとSNSを閉じて天を仰ぐ。


「呪いの人形が世に溢れるのかぁ……」

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― 新着の感想 ―
VRSNS用のアバターも長く続けていると己の手足のように感じますから、フルダイブVRならなおさら自分自身って意識になりそうですね。成人男性マッチョって繰り返してるのが却って……。 いずれ水着マルシェラ…
毎日の更新を楽しみにさせていただいています。 とりあえず、国交回復クエストが無事に終わることは確定のようですね。 (どのような紆余曲折があるかは別にしてですが、楽しみにしています。) 今回の襲撃か…
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