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のじゃロリ魔王姫さまはNPCじゃありません!~ネタキャラ? いえ、レアキャラです!~  作者: 十一屋 翠
第二章 のじゃロリ王国ギルド設立編

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第24話 港町の襲撃

遂に調印式に向かう日がやって来た。

 俺に前には国から派遣されてきた使節団と騎士団、そして俺の私兵であるのじゃロリ王こ……家臣と冒険者達だ。


「これより各大陸の代表が集まる式典会場に向かいます。既に大枠の合意はとれており、我々と姫様のする事はそれに合意し国家代表としてサインする事です」


 使節団の人達が改めて手順を説明してくれる。


「ただし各国の反対勢力がどのような妨害をしてくるか分かりません。その為我々の目的達成は三つの段階に分かれます。一つは調印式前日までに現地入りする事。二つ目は調印式を成功させる事。三つめは調印式で作成した合意の書類を陛下までお届けする事です」


 それはつまり今回のイベントが複数のフェーズで分けられているって事か。


「では参りましょう。姫様、号令を」


「うむ、皆の者、出発じゃ!!」


「「「「おおーーーっ!!」」」」


 肩に胸に、同じ紋章を刻んだプレイヤー達が雄たけびを上げ進んでゆく。

 彼等の鎧には横顔を向いた少女の顔と翼のようなデザインのNがあしらわれていた。

 N=のじゃロリの意味を込めて……


「最悪のデザインなのじゃ」


 なおリアルではかなり有名なデザイナーの作品らしい。

 お前等、クラファンまでしてデザイン依頼するなよ。


 ◆


「という訳で家臣団の皆にも情報の共有を頼む」


『OK、バトルが複数回あるって事だな。任せてくれ』


 魔通輪からモヒカンの応じる声が聞こえてくる。

 今回のイベントでの連絡を考慮して、俺は魔通輪を新しく買い直した。

 新しい魔通輪は一つで同型機種を持っている人物なら誰とでも連絡が出来、更に同時通話も出来る優れモノだ。

 うん、携帯電話だね。


「成る程、複数回戦闘フェーズがあるが連続して起こる訳ではなくある程度余裕がありそうだな」


「その間に生産職が消耗品の補充をする感じなのかな」


 流石はプレイヤーだけあって俺の言葉からイベントの流れを汲んでくれる。

 

 ちなむに別行動なのはモヒカンだけで、レフリスとヒメキは一緒に居る。

 というのも俺は王族なので用意された専用の馬車に乗ることになったんだけど、モヒカンは「俺は自分の相棒以外に乗るつもりはねぇ!」と言って同乗を拒否したのだ。

 まぁそれ以前にモヒカンの世紀末ファッション男が王族の馬車に乗せて貰えるのかって問題があるが……


 ともあれ一行は順調に進んでゆく。


「ところでどこで式典をするの?」


 と、詳しい目的地の情報を知らなかったレフリスが調印式会場の場所を訪ねてくる。


「うむ、調印式の会場は船で海を越え、この世界の中心にあるとされる聖地の近くにある小島で行われる」


「おおー、聖地! ゲームっぽい! でもなんで聖地でしないの? 大事な式典なら聖地でした方が良いと思うんだけど」


「と言っておるがどうなんじゃバットンよ」


 正直俺も目的地の場所を教えて貰ったのはさっきの使節団との会話が初めてで分からないんだよね」


「聖域はこの世界に始めて神々が降り立った場所でとても神聖な場所なんだット。だから聖域に人が足を踏み入れる事は禁忌とされているんだっと。僕達が近づくことを許されるのは聖域の近くの小島までなんだット。それでも相当に光栄なことなんだから気を引き締めて行くット!」


「という事じゃ」


「わー、普通のRPGなら絶対ラスボスとバトルする場所だ」


「もしくは何かのトラブルで聖域に入ってしまって事件の引き金を引くことになるヤツだな」


 うん、俺もそう思う。


 ◆


 ゲーム内時間で半日かけて俺達は港に到着した。

 意外にも反対派の襲撃はなく野良モンスターが襲ってきたくらいだ。


「イベントの本命は船に乗ってからという事か。レフリス、今のうちに水中で使える装備の生産を頼む」


「任せて! 馬車の中で色々作っておいたよ! 設備が今から作ってくる!」


 ヒメキの指示を受けてレフリスは馬車から降りて街中へと駆けてゆく。


「わらわも港町を楽しみたいんじゃがのう」


「姫様は式典の主役なのですからそう言う訳にはいきませんよ」


 うぐぐ、こういう時王族の立場が邪魔をする!

 便利だけど動きにくいな。再キャラメイクする時はそのあたり考えて運営に補填の要望を出そうかな。


 親善大使である俺は町の宿屋ではなく、領主の館に案内された。

 なんでも主君である王族が来たときは領主自らが歓待するのが常識なんだとか。

 そして応接間にやってくるとソファに座っていた領主らしき男が立ち上がり、ガメッツを彷彿させる揉み手をしながら近づいてきた。


「ようこそマルシェラ姫。私はこのゼルレイの港町の領主セイレン=オルカル子爵です。出港まで我が屋敷でおくつろぎください」


「うむ、よろしく頼むのじゃ」


 そんな訳で俺は領主の館で使節団と共に調印式の再確認という名のミニゲームを攻略して経験値を稼ぎつつ、部屋に戻ったら海上での戦いが起きた時の為に新たなスキルの習得と能力値の上昇を行っていた。


「装備作って来たよ! 水場だからなるべく軽く、あと水に落ちても大丈夫な装備だよ! さっそく装備してみて!」


「ってこれ水着ではないか!」


 そう、レフリスが用意したのはどう見ても水着。それにヒラヒラとか肩アーマーや腰アーマーが付いた限りなくビキニアーマーに近いナニカだった。

 って、こんなモン着れるかぁー!

 俺の中身はマッチョの成人男性だぞ! 男がこんなフリフリビキニアーマーを着たらどんな悍ましい光景になると思ってるんだ!!


「なんちゅーもん作っとるんじゃー!」


「ヒメキさんの分もあるよ!」


「私の分も!? これが!?」


 ヒメキの分は更にエグいデザインだった。お前、リアルのファッション現場で色々悩んでゲームで修行する事にしたのにコレをデザインしたのか!?

 あまりにもアレな水着な為、ヒメキの名誉を考えて具体的なデザインのコメントは控えさせてもらう。


「い、いや、私は騎士なのでな。こうも肌を晒すものはちょっと……」


 でも性能は凄く良いですよ! ガメッツさんが急いで高品質な水中素材を集めてきてくれたお陰で防御力はかなり高いですし、なにより水中水上での活動デバフ軽減効果ありで水の中でも大分自由に行動出来るんだよ!」


「む? 水中で活動デバフなど入るのか!?」


 それは初耳なんだが。


「うん、さっき水場で活動してるプレイヤーに教えて貰ったんだけど、ある程度水深が深くなると行動デバフが入るんだって。ほら、水の中って動きにくいから」


 言われてみればプールの中で歩くだけでも凄く動きづらいもんな。そう考えると水辺のパニック映画ってとんでもねぇデバフフィールドだよな。


「もっと良い装備ならデバフ無効とか逆にバフがかかるようになると思うよ」


 そうなったら海底でイベントとか起きそうだなぁ。

 海底遺跡探索とか面白そうだわ。


「じゃ、そういう訳だから装備しようね」


 ちっ、忘れてなかったか!


「い、いや、ここはまだ港の上じゃし、出向もせぬうちからこのような服を着ては周りから遊び気分と勘違いされてしまう故にな」


「そっか、それじゃあ船に乗るまでは我慢するね」


 よし、うっかり宿に忘れていこう!


 ◆


 その晩、俺は思いっきり刺客に襲われた。


「マルシェラ姫お覚悟!!」


 すぐに俺は武器を手に取ると暗殺者の剣を受ける。


「ええい!領主の騎士団は何をしておるんじゃ!」


 やっぱり他の王子の派閥で俺を狙っていたのか!?


「姫に手出しはさせん!」


「えーい!」


 護衛として一緒の部屋に待機していたヒメキとレフリスが他の暗殺者達の抑えに入る。


「はぁ!」


「なんの!」


 暗殺者の剣を受け流して反撃するもこちらの攻撃が避けられる。


「こやつ等、いつもの暗殺者より強いぞ!」


 イベント用の暗殺者だからか、いつもよりも手ごわい。


「ふふふ、我等を下級の者達と一緒にしてもらっては困りますね。我々は選ばれた中級……」


「中級の癖に威張るな! ロイヤルスラッシュ!!」


 金銀兎の双短剣によるダブルスラッシュを暗殺者に叩き込む。


「グワーーッ! 口上の最中に攻撃するとは卑怯な!」


「暗殺者が卑怯とか言うなーっ!!」


 体勢を立て直そうと後ろに飛んだ暗殺者に風魔法で追い打ちをかけ態勢を崩すと、俺は止めのロイヤルスラッシュを放つ。


「パワーブレイク!」


「グワーッ!」


 ヒメキ達の方を見るとヒメキがスキルを叩き込んで暗殺者を撃破していた。


「うひぃーっ!」


 ただ生産職のレフリスには荷が重かったのか攻撃を防ぐだけで精いっぱいのようだった。


「よく耐えたな。後は任せよ!」


「マルスくんちゃん!」


 流石に残り一体だけでは俺とヒメキの攻撃を捌ききれず暗殺者はあっさりと撃沈した。


『勝利』


『経験値500』


『お嬢、聞こえるか』


 戦いを終えると、モヒカンから連絡が入る。


『暗殺者の集団に襲われたんだがそっちはどうなっている?』


「うむ、こちらも撃退したぞ。どうやら一斉に襲われたようじゃな」


『やはりそっちもか。ん? 何だありゃ!? 港が赤く光ってるぞ!』


「港が!?」


 モヒカンの言葉に窓をあけると、確かに港から赤々とした光が見える。


「なんじゃアレは!?」


『なんだって!? お嬢、大変だ! 火事だ! 連中船に火をつけやがった!』


「なんじゃとーっ!?」


 しまった! 船を燃やして出港できなくするつもりか!


『やられた! 暗殺者は囮だ! すぐに火を消しにいくぞ!』


 モヒカンからの通信が切れると、俺もレフリス達に港に向かう事を告げる。


「わらわ達も行くぞ!!」


 港は酷い有様だった。

 幾つもの船が燃えていて、中には完全に手遅れになっている船もあった。


「水魔法を使え! とにかく火を消せ!」


 皆がひと際巨大な船に水魔法を放つ。

 アレが調印式の会場まで俺達を運ぶ船か。

 他にも何隻かの大きな船にも水魔法が飛んでいる。


「俺の船が!」


「行くな! 手遅れだ!」


 だが消火活動が行われない船もあった。

それらは俺達が乗る予定の船ではなく町の漁師が使う小型の漁船だった。


「わらわ達の妨害をするために漁船まで燃やしたのか!?」


 あんな小さな船じゃ近場の海ならともかく外洋には出られないだろ!


「反対派とはいってもこの国の貴族なんじゃろ!? 国民の船を燃やしたりしたら自分達の首が締まるだけではないか!」


 いくらゲームの演出とはいえ、リアルさが売りのVRゲームでこんな演出されたら気分が悪くなる。


 普通のゲームでもシナリオ次第じゃNPCに感情移入する事があるが、このゲームはリアル感が違うから感情移入せずにはいられない。

 特にNPCの反応が生々しいんだよ。

 しかもILLは匂いや熱さも再現している為、木材の燃える匂いや火の熱さが猶更危機感を感じる。


「頼む! 俺達の船も水魔法で消化してくれ!」


「そんな余裕ねぇよ! あの船が燃えたらイベント失敗なんだ!」


「許せ! この船は国家全体の利益のために守らねばならぬのだ!」


 プレイヤーからも騎士達からも断られ絶望の表情で崩れ落ちる漁師達。


「もっと水魔法をかけろ!」


「駄目だ! とても手が足りない!」


「使えない奴は水魔法を習得しろ!」


「貴重な経験値をビルドに必須じゃないスキルの為に使えるかよ!」


 増援を求める声に対し、シビアなプレイヤー達が拒否の声を上げる。

 ああ、彼等の考えは正しい。だってこれはゲームだからな。


「じゃが、ゲームだからこそヒーローを演じてもいいのではないか?」


「え? どうしたのマルスくんちゃん?」


「ああ、俺の船が……」


「心配いらん。わらわが消してやる!」


 俺はステータスを開くと水魔法Lv10を習得して全体攻撃の出来る水魔法をスキル一覧に出現させる。


「使えそうな魔法はこれか!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

『ウォーターバック5Lv:消費MP50広範囲に水の波を放って小ダメージとノックバック効果を発揮する。クールタイム30秒』

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「ウォーターバック!!」


 空に向けて放たれた水の波が重力によって落ちて行き、港の船を濡らしてゆく。


「うぉぉっ! スゲェ範囲魔法だ!」


 だが範囲こそ広いものの威力が低い為消火までは至らない。


「もう一発、ウォーターバック!」


 二発目を放つがやはり強く燃えている船の火が止まらない。


「もっと強い魔法を習得せねば!」


 俺はウォーターバックを10Lvまで習得し、再度放つと小さな船の火が消えてゆく。


「ああ……俺の船が!!」


「助かった! これなら修理できる!」


「ありがとう! ありがとう!」


漁師達から喜びの声が上がる。


だが大きな船の火がまだ消えない。


「これだけの水を浴びて消えないのは異常だ。何か原因がある筈だ、船に乗り込んで原因を見つけるんだ!」


 護衛騎士達の言葉にプレイヤー達が火の耐性魔法でバフをかけて船に突入しようとする。

 だが余りの火の勢いに慌てて逃げ出してくる。


「駄目だ! この程度の耐性じゃ効果がない!」


「あわわ、水中戦用のアイテムは作って来たけど真逆のアイテムは用意してないよぉ!」


 レフリス達生産職が急いで火耐性ポーションを作りプレイヤー達に渡してゆく。


「レフリスわらわの分もくれ!」


「マルスくんちゃんは親善大使なんだから危ないことしちゃだめだよ!」


「今はそんな事言っておられんのじゃ!」


「いや、お嬢はそのまま水魔法を使い続けてくれ! お嬢の魔法なら消えないまでもこれ以上燃え広がるのは阻止できる!」


「そうです、中へは我らが行きます! レフリスポーションを!」


 俺も中に突入しようとするが皆に止められてしまう。

 くっ、こういう時はNPCのフリが悔やまれる!


「長持ちするけど弱い火耐性バフと耐性バフは強いけど短時間しか効果ないやつ! 弱いのは探索の時に使って強いのは原因を見つけてから使って! きっと妨害があると思うから!」


「サンキューッ!!」


「行ってまいります!」


 モヒカン達を見送った後、俺は頼まれた通りウォーターバックで火の進行を食い止める。

 だが本当にこれで食い止められるのか?


「駄目だ!このままじゃ船が持たない! 消化できても式典までに出港は無理だ!」


 プレイヤー達と一緒になって消火作業をしていた船員が悲痛な叫びをあげる。

 しまった! 外の延焼は食い止めれても内部はまだ燃え続けているんだ!


「やはりもっと強い水魔法が必要じゃ!」


 だが都合よく火事を消す為の水魔法が表示されない。

 習得フラグが足りてないのか!!


「MPもやばいのじゃ」


 俺はウサ耳から淑女のリボンに好感してMPを増やしてからMPポーションを飲む。

 だがこのままだと消化するまでMPが持たない。

 何か、何か方法は……


「バットン! あの火を消す方法はないのか!?」


 俺は一縷の望みをかけてバットンに何かいい方法が無いか聞く。


「一つだけあるット」


マジか! あるのかよ!


「取り込んだ魔王核の力を使うット」


「魔王核の力? 既にわらわは貴血に覚醒しておるが?」


「それは元から持っている力を呼び起こしただけット。魔王核を宿していた魔物の力の方だット」


「魔物の力を!?」


 魔王核にそんな能力があったのか!?


「さぁ、魔王核に宿る水の属性の力を解放させるット!」


「……いや、わらわ達の倒したアースドラゴンは地属性じゃぞ」


「あっ、それじゃ駄目ット」


 ……え?


「役に立たんのじゃこのバカコウモリーーーーーーっ!!」


「失敬な! 手に入れたのが水属性の魔王核じゃなかったせいで僕は悪くないット!」


 うおおーーーっ! 肩透かしにも程があるんじゃーっ!!


「水属性? 水属性の魔石があればどうにかなるのか?」 


「え?」


 突然話しかけてきたのは消火作業をしていた漁師だった。


「ただの魔石ではいかん。強力な水属性の力を持った魔石でないと駄目じゃ!」


「強力な魔石……はっ! それなら心当たりがある! 漁師組合の壁に飾ってあるのがスゲェ魔石って聞いたことある!」


「なんと! まことか!?」


 それを使えばこの状況を何とかできるかもしれない!


「じゃが勝手に使ってよいのか!?」


「かまいませぬ」


 今度は誰だよ!?

 そこに現れたのは逞しい体の老人だった。


「組合長!!」


「漁師組合の組合長をしております。それよりも早くこの魔石を」


「う、うむ、使わせてもらうのじゃ」


 魔石を受け取ると目の前に画面が表示される。


『マリンブルーツナの魔王小核を使用しますか?』


「ツナ!?」


 ツナってあのツナ!? 缶詰とかの!?

 あと魔王小核って何!? 魔王核とは違うの!?


「なんてツッコミ入れてる場合じゃないのじゃ! 使うぞ!!」


 魔王小核を発動すると、俺の体に青い光が宿る。


『ロイヤルスキルが解放されました』

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ディープシーティア:特殊回復スキル:消費MP100:膨大な水で全てを流し癒す魔法、水を浴びた敵は通常よりも遠くへノックバックされ、味方はHPを200回復する。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「おおっ! 早速取得するのじゃ!」


 すぐさまこのスキルを取得すると早速発動させる。


「『ディープシーティア』!!」


 すると俺を中心に津波のような水が全方位に放射される。


「うわぁぁっ!?」


「な、なんだぁ!?」


 プレイヤー達から驚きの声があがる。

 だが波が去った後には何事もなかったかのように彼等はその場に立っており、更には消火の際に負った火傷の傷も癒えていた。


「こりゃあ回復魔法か?」


 そして船の方はといえば……


「火事が消えてるぞ!」


 先ほどまで燃え盛っていた炎は完全に消え、あれほど肌を焼いていた熱ももう感じない。

 そして少し経つと、モヒカンから通信が入って来た。


『おいおい、なんかすげぇ水が流れてきて中の火を消しちまったぞ! おまけにボスまで弱体化したがお嬢なんかしたのか!?』


「やはりボスがおったか。こっちは漁師達の協力で何とかなったのじゃ」


『了解、すぐ戻るぜ』


 通信を終えると俺は漁師達に向き直る。


「お主等のお陰で助かったぞ。礼を言う」


「何言ってんだ。こっちこそアンタのお陰で船を燃やされずに済んだんだ。礼を言うのはこっちの方だよ」


「じゃが貴重な魔石を使ってしまった。飾ってあったというからには貴重な品だったのではないか?」


 何せ魔王『小』核って名前だったしな。魔王核程でないにせよ強力なアイテムだったはずだ。


「いえ、あの魔石は貴方様にこそふさわしい物ですマルシェラ姫」


「マル……姫ぇ!? 姫様だったのかこの嬢ちゃん!?」


「馬鹿モン! 頭が高いぞお主等! 王族がいらっしゃっている事は町中の噂になっておったじゃろうが! 使節団の方々が乗る船に関係する高貴なお方となれば当然マルシェラ姫様に決まっておろう!」


「い、いや俺達そういうの詳しくないし……」


「あーっ! マジだ! 姫様だ! 火事でそれどころじゃなかったけどよく見たら酒場の魔法通信で踊ってた姫様じゃねーか!」


「ホントだ! あの姫様だ!」


「ぐはっ!!」


 よりにもよってコンサートで俺の事認識するっ!?


「え? あ、マジだ! スゲェ! 本物だ!」


 本物だ、じゃねーのよ! いっそ全く知名度無い王族の方が良かったよ!


「スゲェ! 俺達の船を守ってくれたのは姫様だったんだ!」


「ありがとう姫様!」


「ありがとうございます姫様!!」


 気が付けば港は姫様コールで埋め尽くされていた。うおお、勘弁してくれぇ。


「騎士達が皆自分達の載る船の事しか見ていなかった中、貴方様だけは我等の船を救ってくれました。それこそが我々にとって救いだったのです」


「あー、いや、それは成り行きというか」


「ほっほっほっ、ご謙遜を。ですがだからこそ、代々伝わって来た魔石を捧げるにふさわしいと判断したのです。初代建国魔王様が退けた伝説の海魔の魔石の欠片を」


「初代建国魔王!?」


 それって確かヴィロゥが言ってた初代国王の事だよな!?


「はい、かつてこの町が出来るより以前、この辺りの海では恐るべき海のモンスターが暴れまわっておりました。そんななか偶然この辺りにやって来た初代建国魔王様がモンスターと闘い、討伐こそ敵わなかったものの魔石を砕く大きな傷を与えて退けたのだと言い伝えられています」


「それがこの魔王小核と言う訳か」


 なるほど魔王核そのものじゃなく欠片だったのか。

 その所為でクラスチェンジこそ出来なかったものの新たなロイヤルスキルを習得出来た訳だ。


「我等ゼルレイの港町の漁師一同、マルシェラ姫お礼申し上げます」


「「「「ははーっ!!」」」」


 こうして、港町の長い夜は朝日と共に終わりを迎えたのだった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

キャラクター欄


マルシエル=リム=オーヴァロド

種族:魔族

性別:女

HP:240『343』

MP:245『357』

筋力:30『43』

体力:30『43』

魔力:35『57』

素早さ:35『50』

器用度:30『43』


スキル

不屈の闘志:HPが0になった際、確率でHP10%で耐える。

ロイヤルスラッシュ(第一覚醒):攻撃スキル:消費MP110:ダメージが1100%増加

一か八か:消費MP2:戦闘中一度だけ一つのステータスを二倍に出来る。

ただしHP、MPは現在値が2倍になる。

剣術スキルLv10:消費MPなし:剣を使った戦闘時に命中率、威力が向上する。

上昇する数値はLvに依存する。

中級剣術Lv5:消費MPなし:剣を使った戦闘時に命中率、威力がより向上する。

上昇する数値はLvに依存する。(倍率は上位スキルのLvに準ずる)

受け流し:消費MP2:タイミングよく相手の武器を受ける事で攻撃を回避できる。

気配察知Lv1:消費MPなし:一定時間魔物の位置が分かるようになる。

狙撃Lv1:消費MPなし:攻撃する際に命中補正。部位狙いにも補正がかかる。

先読み:戦闘スキル:消費MP無し:攻撃補助として一定時間相手の動きの予測ができるようになる:使用後クールタイム30秒

一意専心:戦闘スキル:一定時間集中力を高め部位攻撃が出来るようになる:命中率10%上昇:クールタイム30秒

HP増加Lv2:消費魔力無し:HPを20%増やす。

MP増加Lv2:消費魔力無し:MPを20%増やす。

体力増加Lv2:消費魔力無し:体力を20%増やす。

筋力増加Lv2:消費魔力無し:筋力を20%増やす。

魔力増加Lv2:消費魔力無し:魔力を20%増やす。

素早さ増加Lv2:消費魔力無し:素早さを20%増やす。

器用さ増加Lv2:消費魔力無し:器用さを20%増やす。

風魔法スキルLv10:消費魔力無し:風魔法を扱う為の基礎スキル。覚えた魔法の性能が上がる。効果25%UP、命中率25%UP、クールタイム5%秒減少、成功率25%UP

ウインドアローLv5:消費魔力10:不可視の風の矢を放つ攻撃魔法:威力8:回避率-10%

チャージアップLv2:消費魔力50:武器の攻撃力をLv倍にする。

ダメージ軽減Lv10:消費魔力無し:物理ダメージを10%軽減する。

HP+100Lv2:HPをLv×100増加させる。

MP+100Lv2:MPをLv×100増加させる。

魔姫角:消費魔力無し:最大魔力が15%UP、魔法威力が15%UP

魔姫翼:10秒ごとに2MP消費:小さな翼で滑空が可能。羽は小型化が出来る。

歌唱:10Lv:美しい歌を歌う事が出来る。スキルLv数の曲をオート歌唱できる。

ダンス:10Lv:踊る際に体の動きをサポートしてくれる。

スリープエッジ5Lv:消費魔力5:攻撃を受けた相手を確率で睡眠状態にできる。

疾走10Lv:消費魔力無し:走る速度が2倍になる。

礼儀作法Lv10:消費魔力なし:貴族との交渉や古くからの儀式を行う際に補正がつく

宮廷作法Lv5:消費魔力なし:より高度な作法が見に付く。貴族との交渉や古くからの儀式、式典を行う際に補正がつく

中級風魔法スキルLv5:消費魔力無し:風魔法を扱う為の応用スキル。覚えた魔法の性能が上が上がる。効果50%UP、命中率50%UP、クールタイム10%秒減少、成功率50%UP

水魔法Lv10::消費魔力無し:水魔法を扱う為の基礎スキル。覚えた魔法の性能が上がる。効果25%UP、命中率25%UP、クールタイム5%秒減少、成功率25%UP

ウォーターバックLv10:消費MP70広範囲に水の波を放って中ダメージとノックバック効果を発揮する。クールタイム35秒』

ディープシーティア:特殊回復スキル:消費魔力100:膨大な水で全てを流し癒す魔法、水を浴びた敵は通常よりも遠くへノックバックされ、味方はHPを200回復する。


アイデンティティ:魔王姫

王族特権:様々な最高位の特権が行使できる。

大いなる血統(第一覚醒):全ステータスが20%増加

最高級教育:ロイヤルスキルを習得できる。

デメリット

女性専用アイデンティティ:キャラクターが強制的に女性になる。


個性:のじゃロリお嬢様

甘えん坊:周りの反応が甘くなる。

教育係:お付きのNPCが付いてくる。

デメリット

口調:のじゃロリ言葉を使わないと一定時間ステータスダウン、一部スキル封印。

身だしなみ:高貴な装備以外装備不能、一定のクオリティの装飾が施された装備以外装着できない。

外見指定:強制的に外見が小柄な美少女になる。


バットン

マルシエルの教育係

さまざまなアドバイスをしてくれる。

王族として相応しくなるための教育を施してくれる。

戦闘には参加しない。

※※※(好感度不足で未開放)


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