第16話 ゲームを進めると一気にやることが増える
さて、ここでちょっとILL内でやるべきことを整理しよう。
①上級職へ転職する為に魔王核を集める。
②上記と連動して王位継承権争いへの参加(これは無理に進めなくて良い)
③暗殺者から身を護る為にギルドホームを建築する。
④完成式典と合わせてコンサートを開催する。
⑤コンサートの為に歌とダンスの練習をする。
⑥ゲームを攻略する。
やる事が! やる事が多い!!
①~③と⑥は分かる。だが④と⑤! お前等は何なんだ!?
大体俺の自業自得だよ!!
そんな訳で、俺は今ゲームの中で歌とダンスのレッスンをしていた。
「はいワンツーワンツー! いやーゲームのシステムは良いね! まったくの素人でもシステムの補助でダンスへの適応が早い!」
ちなみに既に歌とダンスのスキルは10Lvまで取得済みだ。
「歌のシステムは微妙ね。オリジナルの歌を歌うというよりも既存の歌をオートで歌うスキルみたい。声は綺麗に出るから、基礎を教えれば最低限形になると思うわ」
結局歌はゲームでもリアルスキル頼りらしい。
ただシステムの補助のお陰で肺活量はスキルで何とかなるのが不幸中の幸いだったらしい。
「完成までのスケジュールを考えるとカラオケで友達より上手に歌えるレベルかしらね」
「いや、スキルレベルを上げればより上手に歌えるスキルが解放されるかもしれないぞ」
「ううん、あんまりスキル頼りになり過ぎると地力が育たないわ。理想は機材トラブルが起きてもアカペラで会場全体に声を響かせられるレベルを目指したいの」
それどこの映画のワンシーンよ。
「分かる。システムの補助はあくまで多少の底上げだよな。基礎の技術が出来ていないとそれを活かせない。現にILL内でも配信者みたいな事をしているプレイヤーが多数居るが、基礎を鍛えているプレイヤーと何もせずに始めたプレイヤーの差は一目瞭然だ」
へぇー、そんなことしてるプレイヤーが居たのか。全然知らなかった。
……俺は配信してなくてよかったー! だってやってたらキャラメイクの時点で事故連発で最後はのじゃロリクソザコスタートで大爆笑の渦だったんだぞ!
まぁ撮れ高的に美味しいのかもしれないが、俺は嫌だ。
普通にゲームで遊びたいんだ!
「「それじゃ通しで一回歌いながら踊ってみようか!」」
……普通とは一体。
◆
「はー、疲れたのじゃ」
あの後俺はコーチ達の訓練が過熱しだした所で、王族としての務めがあるからと理由を着けて脱走した。
NPCのフリしててよかった! その所為でこんなことになったんだけど!
「ってよく考えたらNPCだからアイドルとかよく分からんってフリすれば最初からこんな苦労しなくてよかったのじゃ!」
なんてこった! あの時下手に逃げようとせずにNPCの演技をしていれば!!
新スキルが早速役立ちそうだなとか考えたばかりに!
「と、とりあえずストレス解消と経験値稼ぎを兼ねて討伐依頼を受けるかの!」
ついでに報酬をギルドホーム建築予算に回せるしな!
と言う訳で俺はラーベリー鉱山にやってくる。
「ウサギ装備の試運転じゃ!」
経験値効率を考えるとマール平原で銀のマールビットを狩るのが一番いいんだけど、ウサ耳を装備するとマールビット達が懐いてくるから攻撃できないんだよな。
「ギギッ!」
鉱山の奥へ進んでいくとモンスターが現れる。
「虫系が4体か。では早速『ウサギ姫の突撃命令』!」
スキルを発動させると、後方の通路からドドドドという音と共にマールビットの集団がやってくる。
「おお、来たのじゃ」
「「「「プキーッ!!」」」」
そして俺の横を通り過ぎてモンスターの群れに突っ込んでゆくと、そのまま通路の奥へと消えていった。
残されたのはマールビットの群れに踏みつぶされてピクピクと痙攣しているモンスター達。
「やはり全体攻撃じゃったか。ただ一撃で全滅させるまでではないな」
俺は金と銀の双短剣で生き残ったモンスター達に止めを刺す。すると……
『50』
『50』
バシュバシュッと連続した音が鳴って一発の攻撃で二つのダメージ表記が現れた。
「おお、これが二回攻撃の効果か。自動的にダメージが追加されるんじゃな」
これ、通常攻撃だけなのかな? ロイヤルスラッシュにも効果があるんだろうか?
「試してみるか」
俺は次のモンスターを見つけるとHPの高い個体を狙ってスキルを発動させる。
『ロイヤルスラッシュ!!』
『500』
『500』
「おお! 発動したのじゃ!!」
MPも一回分しか消費してないし便利だなコレ。
「メリットは二回攻撃と軽くて取り回しが楽な事じゃな。回避もしやすい。デメリットは1回の攻撃が弱くリーチが短い事か」
冷静になって考えると他の強い武器一本で済まないか?
寧ろ盾を装備できない分守りが不安になるな。
「実は外れ装備なのか? いやでもレアモンを倒して作った素材が弱いとも思えぬ。何かわらわの気付いていない運用法があるのではないか?」
俺はステータスを開くとスキル習得ページを確認する。
「双短剣とシナジーがありそうなスキルは……これはどうじゃ?」
さっそくスキルを習得すると俺はモンスターに戦いを挑みに行く。
「ギィッ!!」
「よし、さっそく試すのじゃ! 『スリープエッジ』!!」
二本の短剣に紫色のエフェクトが発生し、その刃でモンスター達に切りかかる。
『50』
『ミス』
『50』
『睡眠状態』
「よし! 成功したのじゃ!」
やっぱりそうだ。金銀兎の双短剣の二回攻撃は一度のヒットで二回ダメージを与えるんじゃなく、命中判定を二回しているんだ。
だから確立デバブを使うと判定回数が増えるメリットが生まれるって訳だ!
「これなら他にも毒や麻痺なんかのデバフにも使えるのじゃ!」
テクニカルな戦い方が出来そうでなかなか面白い検証結果になったな。
ただまぁ、今の攻撃力だと一撃で敵を倒しちまうからもっとHPの
俺はデバフの成功確率を調べる為にモンスターと戦い続ける。
「うーん、低レベルだと成功確率が低いの。その分スキルレベルを上げると成功しやすくなるのじゃ」
寧ろスキルレベルが低いときに輝く武器かもなぁ。
バシュウッ!!
『100』
「おお、クリティカルか!?」
睡眠状態になっていたモンスターへの追撃ダメージで妙に派手なエフェクトが発生し、大ダメージが発生する。
「残り一発で発生すると勿体ない気分になるのう」
そこで俺は検証を続けているうちにある事に気付く。
「これ、睡眠状態でダメージを与えるとクリティカルヒットが確定になるのか?」
そう、睡眠状態になった敵への攻撃は確実に大ダメージになっていたのだ。
「こんな副産物もあったとはの!」
これなら一撃の攻撃力の低さもカバーできるな!
◆
『運営からのお知らせ』
「お?」
狩りを終えて町に戻ってくると、突然運営からのポップアップが表示された。
一体何のお知らせだろう?
ILLをお楽しみいただきありがとうございます。
この度かねてより実装予定だった新機能を実装いたします。
①満腹度の実装。
ゲームをよりリアルに楽しむ為に空腹の概念を実装しました。
満腹ゲージが減ると空腹状態になり0になると餓死でゲームオーバーとなります。
食事をとる事で空腹ゲージを回復させましょう。
②料理に味の実装。
満腹度の実装に合わせてゲーム中の料理に味を感じる様にしました。
これからもILLをお楽しみください
「おおー! 料理に味が付くのか!」
これは面白いな。
ゲーム内でグルメを楽しめるのか。
実装日も割と近いし楽しみだ!
◆
「姫様にお願いがあります!」
仕事から帰って来た俺は、空腹度のアップデートが完了した事を確認するとILLにログインする。
さすがに目玉アップデートとあってログインが少しラグかった気がしたほどだ。
で、冒険者ギルドにやってくるなり入り口で土下座された訳だ。
これもアップデートの仕様なん?
「ええと、なんじゃ、踏んでほしいのか?」
「「「「是非ッ!」」」」
なんか変なのが増えた。
「あ、いえ、いえ踏んでほしいのはそうなんですが今回は違うんです!」
踏んではほしいのか。
「実は姫様に折り入ってお願いがございます!」
「まぁ聞くだけ聞こうか」
「ありがとうございます! 私はのじゃロリ王国会員No33番のペッタンと申します! 33番です!」
「う、うむ」
なんか33を強調するのう。それと周囲から「ゾロ目だからっていい気になるなよ」とか怨嗟の声が漏れているが聞こえない聞こえない。
あと名前について突っ込まんぞ。
「姫様にお願いとはこれについて何です!」
そう言ってペッタンが取りだしたのは一つの料理だった。
「料理?」
「はい、私は料理人をやっていまして、今回のアップデートを知って自分の店をオープンしたのです!」
「ほう、それは凄いのう」
いやマジで凄いと思うよ。スケジュール的に公式の発表を見て即動いたって事だろうし。
「ですが開店したての店はなかなか人が寄り付かなく、閑古鳥が鳴く有様です」
「普通開店当日は一番客が来るものではないのか?」
客も物珍しさで入ってくるだろうし。
「リアルならそうなんですが、ゲームだとモールを無駄遣いしたくないからと皆二の足を踏むみたいで。満腹度の回復だけならその辺の屋台の安い料理で十分だろうと……」
あー、ゲーマーのサガって奴だな。
リリースしたばかりだから純粋に味を楽しむ為にやってくるプレイヤーが少ないんだろうな。
「それでも酔狂な者は来ると思うが」
「そういうプレイヤーはまずリアルでは高くては入れない高級レストランを選ぶので」
ここでも悲しい現実が……あとコイツ俺がNPC認定されていることを忘れてるな。まぁ良いけど。
「じゃがそれでわらわに何をせよというのじゃ? 店の繫盛はフラッと立ち寄った客の口コミで少しずつ流行らせていくものじゃろう」
「それはそうなんですが、それだと家賃が払えないんです! ウチの店賃貸なんです!!」
何でゲーム内でまで部屋を借りてしまったのか。
最初は屋台にすればよかったのに。
脱サラして店を開いたら絶対潰すタイプだ。
「それでですね、姫様にお願いしたいのはモデルです!」
「モデル?」
何で料理にモデル!?
「姫様が美味しそうに料理を食べている所をスクショさせて欲しいんです!」
「はぁ!?」
俺がメシ食ってる所をスクショ!? 何の需要があるんだよそれ!?
「姫様は我等魔族プレイヤー勢にとってILLの顔です! なので姫様が美味しそうに食べているスクショを店の外壁に貼れば客が来ること間違いなしです!」
「嫌に決まっておるじゃろーーーーっ!!」
何が悲しくて自分が飯食ってる姿を見せの壁にデカデカと貼られて喜ぶ奴が居るんだ!
そんな客寄せパンダは嫌だ!
「という訳でお願いします」
「この流れで受けて貰えると思っておるのか?」
「思っています!」
ハートが強すぎる。
「報酬もお出します。さらに撮影用に作った他の料理もお渡しします! ただ食べてくれるだけで良いんです! 美味しいと思わなかったらこの話は無かったことにしてくださってかまいません! 報酬も料理もタダで差し上げます!」
「タダじゃと? それは凄い自信じゃの。本心では美味いと思っても平静を保って普通と言われるかもしれんのじゃぞ?」
「それでもかまいません! 必ず美味いと言わせてみせます!」
「大した自信じゃな」
自信満々に言うペッタンに対しそこまでいうなら試してやるという気持ちになる俺。
だが、後になって思えばこの時の俺はペッタンの策に見事にハマっていたのだろう。
「では試食をお願いいたします!」
「うむ」
横でスクショの構えを取るペッタン。
だが甘いな。どれだけ美味くても最初から美味いと分かっていれば誤魔化せるもんだ。
それを耐えれば俺の勝ち!! いざ実食!!
「……美っ味ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁいっ!!」
めっちゃ美味かったです。
まさかの即オチ二コマ。
「無垢顔頂きましたーっ!」
こうして即オチで勝負に負けた俺のスクショは、ペッタンの店の壁にデカデカと貼られることになったのだった……
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キャラクター欄
マルシエル=リム=オーヴァロド
種族:魔族
性別:女
HP:235『336』
MP:235『341』
筋力:25『36』
体力:25『36』
魔力:25『41』
素早さ:25『36』
器用度:25『36』
スキル
不屈の闘志:HPが0になった際、確率でHP10%で耐える。
ロイヤルスラッシュ(第一覚醒):攻撃スキル:消費MP110:ダメージが1100%増加
一か八か:消費MP2:戦闘中一度だけ一つのステータスを二倍に出来る。
ただしHP、MPは現在値が2倍になる。
剣術スキルLv10:消費MPなし:剣を使った戦闘時に命中率、威力が向上する。
上昇する数値はLvに依存する。
中級剣術Lv5:消費MPなし:剣を使った戦闘時に命中率、威力がより向上する。
上昇する数値はLvに依存する。(倍率は上位スキルのLvに準ずる)
受け流し:消費MP2:タイミングよく相手の武器を受ける事で攻撃を回避できる。
気配察知Lv1:消費MPなし:一定時間魔物の位置が分かるようになる。
狙撃Lv1:消費MPなし:攻撃する際に命中補正。部位狙いにも補正がかかる。
先読み:戦闘スキル:消費MP無し:攻撃補助として一定時間相手の動きの予測ができるようになる:使用後クールタイム30秒
一意専心:戦闘スキル:一定時間集中力を高め部位攻撃が出来るようになる:命中率10%上昇:クールタイム30秒
HP増加Lv2:消費魔力無し:HPを20%増やす。
MP増加Lv2:消費魔力無し:MPを20%増やす。
体力増加Lv2:消費魔力無し:体力を20%増やす。
筋力増加Lv2:消費魔力無し:筋力を20%増やす。
魔力増加Lv2:消費魔力無し:魔力を20%増やす。
素早さ増加Lv2:消費魔力無し:素早さを20%増やす。
器用さ増加Lv2:消費魔力無し:器用さを20%増やす。
風魔法スキルLv5:消費魔力無し:風魔法を扱う為の基礎スキル。覚えた魔法の性能が上がる。効果25%UP、命中率25%UP、クールタイム5%秒減少、成功率25%UP
ウインドアローLv5:消費魔力10:不可視の風の矢を放つ攻撃魔法:威力8:回避率-10%
チャージアップLv2:消費魔力50:武器の攻撃力をLv倍にする。
ダメージ軽減Lv10:消費魔力無し:物理ダメージを10%軽減する。
HP+100Lv2:HPをLv×100増加させる。
MP+100Lv2:MPをLv×100増加させる。
魔姫角:消費魔力無し:最大魔力が15%UP、魔法威力が15%UP
魔姫翼:10秒ごとに2MP消費:小さな翼で滑空が可能。羽は小型化が出来る。
歌唱:10Lv:美しい歌を歌う事が出来る。スキルLv数の曲をオート歌唱できる。
ダンス:10Lv:踊る際に体の動きをサポートしてくれる。
スリープエッジ5Lv:消費魔力5:攻撃を受けた相手を確率で睡眠状態にできる。
アイデンティティ:魔王姫
王族特権:様々な最高位の特権が行使できる。
大いなる血統(第一覚醒):全ステータスが20%増加
最高級教育:ロイヤルスキルを習得できる。
デメリット
女性専用アイデンティティ:キャラクターが強制的に女性になる。
個性:のじゃロリお嬢様
甘えん坊:周りの反応が甘くなる。
教育係:お付きのNPCが付いてくる。
デメリット
口調:のじゃロリ言葉を使わないと一定時間ステータスダウン、一部スキル封印。
身だしなみ:高貴な装備以外装備不能、一定のクオリティの装飾が施された装備以外装着できない。
外見指定:強制的に外見が小柄な美少女になる。
バットン
マルシエルの教育係
さまざまなアドバイスをしてくれる。
王族として相応しくなるための教育を施してくれる。
戦闘には参加しない。
※※※(好感度不足で未開放)
経験値:8204
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