『愛』の告白
「紅狐さん、好きー!」
そう言いながら、翠狸が紅狐に抱きついています。
特段珍しい光景ではありません。日常茶飯事です。
「……っていうのは、『愛』の告白であって、『恋』の告白とはあんまり言わないんだよね」
いつもと違うことといえば。
ひたすら甘えるだけの翠狸が、今回は何やら甘えながら考え事をしている、それくらいでしょうか。
「ぼく、思ったんだ。
きっと、『恋』はどこまでも自分だけのもので。
相手と共有できた時点で、それは『愛』に変わるんじゃないかなあ、って。
恋は、時に力をくれるらしいよ。
自分を磨いたり、普段なら考えられない行動力が沸いてきたり。
でも相手には、伝えない限り、伝わらない限り、作用しない。
自分自身を突き動かすものが『恋』で、相手に影響を及ぼすものが『愛』、なんじゃないだろうか」
ひとしきり話し終えたところで、翠狸は満足そうに、また得意げに、ふんすーと鼻息をもらしました。
紅狐は笑いながら、落ち着かせようとするかのように、そんな翠狸の背中をやさしくさすっています。
「だから、ぼくはね。紅狐さんに恋していて、愛してもいるんだあ」
連日の検証から、ようやく答えらしい答えを導きだせたからでしょうか。
疲れが出てきたのか、翠狸はもぞもぞと紅狐のきものの袖にもぐり込んで、やがてうとうと船をこぎだしました。
しばらく時間が過ぎた後。
ぐっすりと眠りこける翠狸を見ながら、紅狐はちいさく呟きました。
「好きでいてほしいし、好きでいたい。
『恋』して、『愛』する。
それが至極、まっとうな在り方なのかもしれないね」
のんきな寝息をたてる翠狸の頬に、そっと口づけをして。
寄り添うように、紅狐も眠りについたのでした。
ここまでお付き合いくださった方、ここだけつまみ食いしたという方、
いずれにせよ、お読みいただきありがとうございました。
初めは童話として書き始めてみたものの、内容がまったく童話チックではなくなってしまったので、ジャンル;その他へ変更いたしました。
ひたすらいちゃいちゃしており、若干うざくもあるかもしれませんね。その内爆発します、きっと。
それでも無傷でけろりとして、更にいちゃつくだけでしょうけども。
一応、なんだかんだシリーズ化しており、こちらは3作目となります。
既に次もある予定(脳内)ですので、またお目にかかることもあるかもしれません。




