実は
「で、どうだった? ファンタジアを使ってみての感想は?」
人生ゲームを終え、現実世界に帰ってきた俺たちにそう問いかけてきたのは顧問の司先生だ。
どうやら俺たちが空想世界に行っている間に職員会議は終わったらしい。
「え、えっと……ファンタジア自体の機能はとても面白いです。ですけど………」
「ですけど、なんだ?」
「空想世界を作る側に問題がある場合、その、大いに疲れます」
「ちょ、ちょっと。夕希。なんで私の方を見るのよ! って、あ! みんなまで! 私の世界になんか文句があったなら言ってみなさいよ!」
どうやらほかのみんなも同じことを思っていたみたいだ。
「まあ、そこはどうしようもないからな。お前らで何とかしてくれ」
「え、お前らでって………」
「ああ。テストプレイといったがな。元々ファンタジアは私の暇つぶしで作ったものでこの部にやるつもりだったんだ」
先生はそう言った。
「えっ! これこの部活に置いていてもいいってことですか?! やったー!」
「これは部活がもっと楽しくなりますね」
柚葉と白奈が驚きと喜びの声を上げている。
「そういえばこの部活って今まで何して過ごしてたんだ?」
ふと前から気になっていた疑問をぶつけてみる。
「今までは特に活動らしいことはやってません。しゃべったりゲームしたりとグダグダしてましたね」
するとその疑問になるみが答えてくれた。
そして続けてある事実を告げる。
「そもそも部自体は今日発足しましたしね」
「……へ?」
ど、どういうことだ?
「ああいや、ただ今までは同好会というだけのことですよ。学校の決まりで部にするには部員が最低五人は必要なのです。夕希先輩が入ってやっと五人になったってわけです」
ああ、なんだそういうことか。確かにそれだと部にはなれないな。
そう納得していると先生がちなみにと言って話し始めた。
「この部は私が暇そうにしていたやつらにファンタジアを体験させてやろうと思って一年前に作ったものだからな。完成まで結構時間が明かると踏み、当時中学生だった成瀬や音無にもすでに声をかけていたんだ」
なぜわざわざ中学生を……と思ったがどうせ先生の思い付きで個性的なメンツを集めたかったというだけのことだろう。
「それはそうとみなさん。今日って確か五時半から各部の予算会議があるんじゃなかったですか?」
なるみや先生とそんな話をしていると横から白奈がそう言ってきた。
「そうでした! もう始まってしまいますよ!」
柚葉が、忘れてました! と時計を見て焦り始める。
俺も時計を見ると、もう会議が始まるまで残り五分しかない。
「おい。早くしないと! 誰が行くんだ?」
「それは部長に決まっているじゃあないですか」
そう言いながらなぜかなるみがこちらを向いてくる。
あ、あれ……
気づけばなるみだけでなくその場にいる全員がこちらを向いているではないか。
「何をのんきにしている。部長はお前だぞ黒宮」
みんなの反応にうすうす気づいてはいたが、え、やっぱり俺なの? なんで?!
「い、いやいや! おかしいでしょ! この部って一年前からあったんですよね? なんで今日来たばかりの俺が部長になってるんですか!」
「いや、黒宮。今までは同好会って言ったろ」
それはそうだがそれでも長はいただろう。
「先輩。そもそもこの学校に同好会という概念は存在しないんです。私たちの言ってる同好会というのはただの集まり、いわばただ放課後残ってワイワイやってる高校生というだけです。…………そんな集団に長なんて必要ないですよね」
俺の思いを悟ったのか、そう教えてくれる柚葉。
顔を見ると、諦めてくださいと目が語っている。
「そういうことだ」
「で、でも俺じゃなくても………」
そう反論しようとする俺だったが先生が近づいて来て耳元でこう囁いてきた。
「考えてみろ黒宮。この部活内にお前以外に部長が務まるものがいると思うか?」
た、確かに……これは説得力がある
この高校の生徒ではない―――というかそもそも高校生でない白奈は除いて、厨二ロリっ子、ド変態美少女、そして
「もー仕方ないわね夕希がどうしても嫌っていうなら私が部長をやってあげてもいいわよ。仕方なくね! どーれ私が全部活の予算を奪い取って見せるわ!」
と、こんなことを言ってるあほガール。
む、無理かな………………
「ということで部長頼むぞ」
「………はい」
こうして俺を部に加え、あまつさえ部長に仕立て上げ、空想研究部は本格的に活動を再開するのであった。




