表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
72/110

第七十二話 レオネルの「反逆」が報われる日



島を出て三日目の昼過ぎ、一羽の鳥が船に降りてきた。

羽の色が金属的な銀色で、嘴の先から淡い魔力の光が漏れている。王都の伝書鳥だ。

レオネルが筒から紙片を取り出して読み始めた瞬間から、その表情が変わった。険しくなったのではなく、緩んだ。長い時間をかけて固めてきた何かが、静かに解けていくような顔だ。

王都評議会からの通達だった。レオネルの反逆告発の取り下げと、名誉の回復。新設される王都外交使節団への参加要請。

ウルが「やった!」と声を上げた。アルが静かに「よかった」と言った。ノアが「やっと、か」と呟いた。

レオネルは紙片を丁寧に折り畳んで、胸のポケットにしまった。

「外交使節団への参加は断ります。今の私にはこの旅の方が先にある」

「後悔しない?」

「しない。国が何であるかよりも、今ここで何をするかの方が重い」

その夕方、夕食が終わった後でウルがレオネルに近づいた。

「レオネルさん、よかったね」

「ああ」

「なんか、嬉しそうじゃないね」

「嬉しくないわけではない。ただ、思ったより静かな気持ちだ」

「どういう意味?」

レオネルが少し考えてから言った。

「名誉を回復してほしかった頃の自分が、もうここにいないから、かもしれない。今の私には、あの評議会の判断よりも、この旅の中での出来事の方がずっと重い」

ウルがしばらく黙ってから「それって、すごくいいと思う」と言った。

「そうか」

「うん。昔の傷より今の方が大事って思える人、かっこいいと思う」

レオネルが、珍しく少し笑った。ウルらしい言い方だ、という顔だった。

私はその場面を少し離れて見ていた。アルが私の隣に来て、小声で言った。

「ウルは、ああいうことを真っ直ぐ言えますね」

「あなたには言えない?」

「……言えますが、タイミングを選びすぎてしまいます」

「今度から選ばなくていいよ」

アルが少し間を置いて、「考えてみます」と言った。その顔が、少し柔らかかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ