343話 残されたすべきこと
どうやら邪神が消えても、既に施した力の影響は消えないらしい。
この目で見てなくとも鮮明に感じ取れる。ウィータルの上空一帯を埋め尽くすほどの侵略者たちの姿が。
お前らに罪はねえ——————今、解放してやる。
「照らせ」
オレの体から滲み出す虹色のオーラは、世界の果てまで広がっていく。
ようやくオレは、全てを守れる存在になれたんだ。
「『グングニル』」
無数の紅き流星が世界の至る箇所へと舞う。
この日、最高神がこの世界を創造してから初めて、オレたちの世界は紅き炎に埋め尽くされた。
世界中に散らばった邪神の力を隅々まで消し去っていく。
生命の魂に刻み込まれたほんの少しの力でさえも、オレの力の前では全て無に帰す。
その後、邪神の力から解放された全ての侵略者を元いた場所へと帰し、オレに残されたすべきことはウィータルの後処理のみとなった。
オレのすべきことは二つ。
邪神による人々の改ざんされた記憶を正常に戻すこと。
もう一つは、傷ついたウィータルとその他の惑星を修復すること。
記憶の改ざんについては、嘘偽りのない真実を人々の記憶へと植え込んだ。
勇者の言う通り、記憶の改ざん時点のみ邪神の力が干渉していたため、一度変えられてしまった記憶は消すしか方法がない。
真実を与えるのならば、記憶改ざんも歴史の真実であるため、消す必要などない。
別にオレは救世主や英雄などと後の歴史で謳ってほしいわけではない。
ここに至るまでにどれほどの命が犠牲となり、未来が作られているのか。残された者たちのため、その重みと功績は語り継がれていくべきだと判断したんだ。
だが、オレはもうみんなの側にはいられない。
そしてわざわざオレのこの先を歴史に刻む必要もない。
だからオレは、オレの存在を邪神とともに亡き存在とした。
それでも、残しちまう大切な者たちは、オレのことを誇りに思えるだろう。
邪神に改ざんされた記憶では、オレは最高神を殺した反逆者だったが、これからは世界の闇を払った希望となったのだから。
「もう時間もあまりなさそうだな」
さて、最後の別れを告げに行くか。




