333話 復讐に燃える蒼き炎
異世界のユーラシアは、既に邪神と同等以上の存在。故に、気づかれることなく魔大陸へと足を踏み入れた。
「見覚えのある景色だな。お前もここで魔力核の修行をしたってことか」
「てことはお前もか」
「まぁな。これは『竜拳』を放った影響だろ?」
こちらの世界のユーラシアは少しだけ驚いた表情を浮かべた後、ふと笑みをこぼす。
「まだ笑えたんだな」
「いいことだ。あん時のオレはちっぽけな存在だったけど、力と引き換えに感情を失っちまった今と比べれば、折れない強い心を持ってた」
異世界のユーラシアが一人過去に黄昏れていると、背後から感じる熱さに意識をグッと引き戻される。
「頼む・・・・・オデをもう一度、あの場所に戻してくれ。あの赤髪をどうしてもぶっ飛ばさないと気が済まないんだ!」
「何の話だ?」
事の全容を知らない異世界のユーラシアからしてみれば、何の事だか検討がつかない。
「あの人がお前の大切だったってことは分かってる。だけど、オデにとっての初めての大切だったから・・・・・」
「止めねえよ。止めるわけねえだろ・・・・・けど、お前じゃあの邪神には届かねえ」
「分かってる」
太陽の意思はギュッと拳を握り込み、蒼い炎を更に濃い蒼へと変色させる。
先ほどまで体全体が蒼い炎に包まれ、その周囲を薄らとした蒼い炎が揺らめいていたのが、今は周囲の炎のあまりの濃さに、太陽の意思本体はその全てが漆黒に染められている。
直線的に燃え盛る炎と相まって、体全体で怒りを体現しているかのよう。
「けど、お前の後ろにはオレがいる。いずれお前の分まで、オレがあいつに復讐してやる」
「うん」
「お前の目的は王級界か。聞くが、奴に何を奪われた?」
「・・・・・シエルだ」
高まりそうになる感情を、二人のユーラシアは冷静に落ち着かせる。
異世界のユーラシアの余る力の全てを使えば、例え相手がギムルであっても勝算は十分にある。しかし、そうするわけにはいかない。
もしも今感情が先行して動いてしまえば、この世界も同様の未来を辿ることとなってしまう。
それだけは何としてでも避けなければならない。
「王級界に飛ばすだけなら、特に問題ない」
そう言うと、異世界のユーラシアは目を閉じ、王級界の存在を探る。
元々は邪神が宿していた創造の力を我が物としているため可能な芸当。
「——————喧嘩ばっかしちゃったけど、会えてよかった。じゃあな——————」
最後の一言がユーラシアの耳へと届いた時には、既に太陽の意思の姿はそこにはなかった。




